- 2001年12月02日(日) フョードル親父考。 1: 道化。 そうだ、道化だ。 彼からマスクを剥けば、この世にありえぬ繊細さ、神経質さが現れるだろう。 彼は、わずかも自分自身を晒すことに耐えられない。 それくらいなら、厚顔な道化師のマスクで世界に対する。 厚顔な、破廉恥な、道化のマスク。 わずかもその下が窺い知れないほどに分厚いマスクの下だけに、 ――彼は住む。 否、そのマスクと、内奥の複雑さは、対だ。 そのどちらも、彼の肉の上に生い育った。 どちらも、彼だ。 2: 彼の奥の繊細さ、傷つきやすさ、複雑さを見抜くものを、彼は憎む。 彼は『最も醜い人間』だ。 神を、向けられる同情の故に殺すだろう。 ひとを、向けられる同情の故に、憎み踏みにじり、 彼への同情が不可能なほどに怒らせるだろう。 そのように、彼は牙を剥く。 3: 美しいものを、彼はおそらく、誰よりも愛することができる。 それは、 「深い大きな憎しみの中から、 限りなく深く大きな愛がほとんど一瞬ごとに生み出される」 そのような愛だが。 醜いものを、とりわけ己を、彼はよく知り、そして憎む。 それは、 「深い大きな愛の中から、 限りなく深く大きな憎しみがほとんど一瞬ごとに生み出される」 そのような憎しみだが。 あるいは、この二つは、それぞれ反対かもしれない。 だが、同じことだ。 それは、少しも微温くはない。 4: 彼の情欲は、まるで狂気の発作のようだ。 カラマーゾフ、その宿命なのか。 この世界への愛の発作のようだ。 彼に可能な唯一のかたちの表現であったのか。求めることの。 彼を哀れむことは、誰にもできない。 彼の相克は彼の病だが、彼はその相克そのものではない。 彼はこの世界を、愛している。 ここから生まれるのは、4人のカラマーゾフ。 彼はその、祖型……。 私はアリョーシャに、たどり着かねばならない。 ――――――――――――――――――――― 元ネタ『カラマーゾフの兄弟』ドストエフスキー -
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