終わらざる日々...太郎飴

 

 

- 2001年11月12日(月)

人間嫌い

1:
今年の夏、
悪友Kと阪神百貨店屋上の
ビアガーデンに行ったときの会話。
夕方から飲み始め、暗くなりはじめた頃。


私>ああ、もう暗くなってきたね。
K>向こうのビルの明かりがよく見えるよ。
私>ほんとだ。人影がいっぱい動いてるのが見えるや。
K>私あんまり見えないわ。あなた、目、いいものねえ。
私>うん。なんか、ほっとする。人の生きてる町だなあって。
K>あなた、人間が好きなんだね……。


Kの口調は、お上品である。
関西ではちょっと名の知れた女子大の院生で、
繊細な感じの、ぱっちりした目が印象的な知的美人、である。
しかしてその実体はっ……

……いや、それはおいといて。

私は、このとき、
人間が好き、と、評されて、びっくらこいた。
Kはゴーストタウンのように人影のない町のが好きなのだろうか?
人影揺らめく窓や灯り、行き交う人の流れにほっとするのは
人間が好きでないとできないことなんだろうか?


2:
私は人間が好きなんだろうか。
今年の7月から、延々と考えつづけている。
ほーら、私に余計なことを言わない方がいい。

ちなみに、この同じ友人Kと梅田を歩いていて、
道に迷っているふうの老夫婦を見かけたことがある。

はっきり言って、私はあんまり、梅田はわからん。
難波や心斎橋がわかるのかと言われれば、それもわからんが、
しかし……

気がついたら、どうかしましたか、と、声をかけていた。
脊髄反射と思ってくれていい。
果たして私はわからず、うっかり先へ行きかけていた
梅田を遊び場にしているKが戻ってきてテキパキ説明した。

老夫婦は、ありがとうございました、と言って道を急いでいった。
私とKは何事もなく喋りながら歩き出し、
しかしこのとき、Kは私に、「人間が好きねえ」とは
言わなかったのである。

どういうことなのだろう?


3:
遠景としての人間と、
見知らぬひととしての人間と。

彼女は何を言いたかったのだろう?
彼女の言う人間とは、なんだったのだろう?


好きキライ、は、感情の領域だ。


町の灯を見てほっとするのと、
困ってるひとに脊髄反射で声をかけるのと、
彼女は自分に引き比べ、私に何を思ったのだろう。


わからないよ。


わからないよ、K。
あなたは町の灯にどのような感情を覚えたのですか?
あなたは立ち往生しているひとに、どのような感情をおぼえたのですか?


あなたの言う人間とは、誰ですか?何ですか?
あなたは私に何を見ましたか?


4:
複雑なプリズムをたくさん持っている、彼女の目は。
私にはよくわからない。
私は結局、私の知っていることしか理解できないから。

何かが内部で渦巻いて、外に出れずに泣いているように思う。
これは勝手な憶測だろうか?

彼女は誰かと約束したのだろうか、何一つ語らないことを。
一つの秘密を隠して、静かに閉じていることを。
スフィンクスのようにそこに座り通すことを。


ねえ、私はあなたの言葉を聞きたい。



そーいや、いっぺん、泣かしたな……(こそこそ)


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