終わらざる日々...太郎飴

 

 

- 2001年10月28日(日)

遠方への翼。

1:
異なる次元。
異なる角度。
異なる傾斜。
異なる――視界。

モネの絵を見るとき、
我々はモネの目に封じ込められる。
彼の視界で見る。
その――なんと壮麗であること。

モネの眼球とてまた人の眼球であり、
彼が描いたようには彼は見なかっただろう、と。
あなたは言うだろうか。

然り、と、私は答えよう。

然り、モネの眼球はそのようには見なかっただろう。
事実はけっしてそのようではなかっただろう。
だが――

『真実』は、別だ。

『真実』は、そこに転がってはいない。
『真実』は、放っておけばそこに帰るような低地ではない。
それは一つの――高みだ。
それは一つの――


創造だ。


不断の意識化。
たゆみない手の熟練。
貪欲に世界を見渡して素材を探す目。
『真実』を顕現させることの――困難――。


2:
シュヴァンクマイエルを見るとき、
視界と聴覚が物語化される。
彼は難解だ、モネよりも。
だが彼の描き出す『真実』は――モネよりも更に深い!

彼は異次元の目を持つ。
彼は異次元からこの世界を見る。
事実を破砕し、文脈から切り離し、あらゆる意味と奪い――


自らの『真実』に、服属させる!


そこに描き出されるのは、バッハの音楽。
「G線上のアリア」に、実体というものがあるとすれば――
それは確かにバッハの『真実』、他の誰にも関わりない。
だが、そう!

シュヴァンクマイエルは、もう一つのアリアを創造する。
彼のアリア、見間違えようもなく彼の署名の捺されたアリア――
にも関わらず、確かに――「G線上のアリア」

これは感覚の問題だ。誰に感覚を伝達できよう。

異次元の角度、ありえざる交差!
感覚は叩きつけられる、目を見開け!耳を研ぎ澄ませ!


精神病者の確信を持って、私は述べよう。
この世の外の音楽、他界に属する表現、
――そこに響く「アリア」を聞いたと。
彼の精神に封じ込められて、彼の耳と目でアリアを聞いたと。
彼の聞いたアリアを聞いたと。


言葉のなんと稚拙で、不完全なことだろう。


3:
永劫の孤独を私は知る。
未明の闇を私は知る。しかもここの夜はけして明けない。


トッカータとフーガ。


耳を澄ませる。
最初の一音に視界が開ける。
――海辺だ。

音楽は走る。金色の足跡として私の傍らを走り抜ける。
その足は速いが――追跡しよう。
否、その視界に入り込もう。

私は走っている――

海辺は冷たい風が不穏に湿気を含んで吹いている。
私に吹きつける。
灰色と黄色の夕暮れの空には鴎が飛び交う。

私は飛翔するか?

飛翔する――
視界はふいに高い。
海は皺の寄った――平面だ。

――更に高く、更に奥へ!

この足は黄金、この腕は黄金の翼――飛翔はたやすい。
旋回する、上昇する、下降する。
風にもてあそばれているのか、風をもてあぞぶのか。

翼に風を孕ませて滑空する――
髪は頬にもつれて流れかかる。
死に行く太陽の黄色と不穏の灰色の空が――私を囲む。

そして――




そして?


4:
そして私は我に帰るのだ。
果てしない孤独の中で。
音楽は、それより先に私を連れて行かない。


置き去りにされた子供の哀しみに――私は泣こう。
咽び泣こう。忍び泣こう。


バッハは私を連れて行かない。


この視界の果てに何があるのか、私は知りたくて、
もう幾度も――この曲を聴いたのだけれども。
息を殺し、息を潜め、心を添わせて。


バッハは私を連れて行かない。


もう幾度、この音楽を聴いたことだろう。
この飛翔の果てに何があるのか、私は知りたい。
そうだ――太陽が。
見えるような、気もするのだけれど。


――バッハは私を連れて行かない。


――――――――――――――――――――――――――――

セクシュアリティ。

1:
ゲイバーに行ってきた。
ショーパブというべきだろうか。

Jack&Betty。
どう見ても女にしか見えないセクシーギャル(?)の
乱舞に頭もクラクラ……

テーブルについてくれたオネエさん(?)を、
私は非常に興味深く観察したものだが、
彼女(?)の目は、客商売フィルターがかかっていたせいか、
中まではよく見えなかった。
もう少し時間があったら何か見えたかもしれなかったのだが。

ホルモン注射をしているとのことで、
Aカップ↑くらいのバストがあった。
触らせてもらったら、柔らかかった……むぅ。
なお、二の腕のプニプニもあり、
女性と、体格からすればほとんど変わらなかった。

なお、舞台の上のオネエさん(?)がたは、
そりゃもう美人だらけで……そのボディにはかないません。(平伏)


性は、三つの要素がある。
1 身体的な性(ついてるかついてないか)
2 行動の性(男のように振舞いたいか、女のように振舞いたいか)
3 欲望の対象の選定(男に欲情するか、女に欲情するか)


簡単ではない。
少しも、簡単ではない。
「正常」は、社会の持つ事情に過ぎない。
1も2も3も、事情に過ぎない。
問題は。

――問題は、いつも。
どうするか、と、いうこと。


ホルモン注射も、ゲイバー勤めも、とっちゃうのも。
その結果を身に負うのが自分だと理解して行うなら、
少しも倒錯ではない。


と、思った。


2:
梅田堂山、ゲイバー視察。
発起人、Bさん。
私が引っ張り込んだひと、Cさん。

ゲイバーの前に居酒屋。
ゲイバーの後にやきとり屋。

恥ずかしいことに、私は持ち合わせが途中で足りなくなってしまった。
土曜日だからってさっさとATM閉じる銀行が悪い……むーう……
(金曜日に下ろしておかなかった私が一番悪い)

というわけで、Cさんに借金。(笑)
初任給出世払い……だな。
いや、今度うまいラーメン屋、教えますし……。
もうすぐ奨学金入りますし……。
また、飲みましょう。
あなたの話を聞きたい。

Bさん、頭痛は、甘くみてはいけませぬ。
睡眠と、運動と、食事。
緊張、しないこと。
肩凝りにはストレッチ。
体、大事に、ね?
でないと、頭、撫でるよ?(笑)


……などとこんなとこで書いて、
本人さんたち、見てくれるのか?(てか匿名だし。むぅ)
まあいいや、メルしよう……

ちなみに……


私は、オナベ、では、ナイ…………の、だ…………が……


-



 

 

 

 

ndex
past  next

Mail
エンピツ