終わらざる日々...太郎飴

 

 

- 2001年10月24日(水)

観察

1:
寒くなってきたな、と、思うのは、
猫の座り方が変わったときだ。

夏。

猫はべたっと座る。
前足を投げ出して、後ろ足はそろえて、横に、
胸から脇腹まで、ぺったり床につける

冬へ。

猫は、まぁるく座る。
前足を胸の下に敷き、
後足を折りたたんで腹をのせる。
毛を膨らまし、床に触れる面積をできるだけ、小さく。


2:
アルバイトは五時から七時半。
図書館のカウンターで、ぼんやり座る。
ああ、この本、読みたかった。
この本、資料に使えそう。

日毎に日暮れがはやくなる。
夏には仕事を終えてもまだ明るかったのに。

半分もすればもう暗くなり。
半分もいかないうちに暗くなり。
始まる頃にはもう夕焼け。
始まる頃にはもう夕闇。

――季節は廻り。

満月は、学校から駅までの私の帰り道を照らす。
十六夜は駅から家までの帰り道を照らす。
十七夜、夜半を過ぎて、西側にある私の部屋で。
十八夜、十九夜、だんだん光が射すのが早くなる。

――日々は廻り。


3:
くちなしが香り、
赤い石榴が実り。

金木犀が金色の破片になって散らばり。
柿が真っ赤に熟して行き。

桜葉が次第に乾いて黄ばみ、色あせ、
窓から見える畑の大根が太り、

スーパーに黄色いみかんが並び、
隣家の夕餉におでんの匂い。


ああ、そろそろ冬の服の支度をしよう。
週末に町に出たときに、友達と一緒に選ぼうか。
それとも、明日の夜に一人で行こうか。
布団も、大きい方のを、出さなくちゃ。


4:
こうして私は季節を知ります。
季節は私の周囲でこのように廻ります。
熱いコーヒーを横に置いて、私は机に向かいます。
のんきで暇で、幸福なニ年が終わろうとしています。

もうこれぎりでしょう。

来年、季節はもっと足早に通りすぎ、
私はどっぷりと人々の中に首までつかり、
騒々しく忙しく賑やかでしょう。

ニ年前、私は家族とともにあり、
夕飯はおでんだろうか、それともシチューだろうかと
そのように思いながら、家まで自転車をこいでいました。


ああ、時は廻り、時は廻り。
同じ日々はけして帰ることなく。
同じ夢を再び見ることはかなわず。


それでも、幸福な日々でした。
ただ一人、静かに私はいました。
見ることと読むこと、考えることだけが私の仕事でした。

後は、仕上げ、か。(笑)


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