終わらざる日々...太郎飴

 

 

- 2001年10月05日(金)

夢想断片

1:
私はひとりの男である。

私は神のあることを疑ったこともない。
全能なる目の眠ることなく世界を見渡していることを疑わない。

私の行う全てのことがやがて厳正な正しさをもって裁かれることを
その報いの必ず私に返ることを一瞬も疑わない。

全ての裁きは神に返し、私は私の道を歩く。
他の全てのものたちも、それぞれの道を行くことを知る。
対立も親和も惜しまぬが、互いに己の道の上にあることに違いはない。

私が悪を望めば、私は悪をなし、そしてその報いも拒まぬ。
私が善を望めば、私は善をなし、そしてその報いも拒まぬ。
生も死もまた善悪も同一の道の上にあり、私はこれを避けない。

私は、永劫の炎も、楽園も、淡々として受け取る。


2:
わたしはひとりのこどもである。

自分の内側に忙しい。
夢想と行動と思考に忙しい。
わたしは他者を知らない。
わたしは自分自身を知らない。

わたしは安全な場所を知っている。
わたしはまどろんでいる。
わたしは目覚めている。

柔らかな暖かい手は私の安堵、
寒い図書室の本棚の前に座って北への窓を見上げれば
いつでも薄青い空が広がっている。
時々、鳩が羽音をたてる。

ここは静かで、そして誰もいない。
わたしは歌いたいときに、歌う。
わたしの歌はへたくそだが、わたしは気にしない。

誰もわたしを見ていないことを知っているから。
――自由に。


3:
目覚めたいのか、眠りたいのか。
私は未だ生の辺縁にある。


生命と感情とその営みは――


私の眼前で、銀河の鎖を紡ぐ
湧きいずる、尽きぬ泉だ。
その苦しみさえも、なんて美しいのだろう。


――そしておまえは、その瞳の青白い炎を凪がせて見入るのか


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