終わらざる日々...太郎飴

 

 

- 2001年10月01日(月)

1:
周期なんだろうか。
ひどく、胸苦しい。
ひどく、孤独感が強い。
だが、これは感覚だけの話だ。

「夜の湿気とねむけがいりまじり
 松ややなぎの林はくろく
 そらには暗い業の花びらがいっぱいで
 わたくしは神々の名を録したことから
 はげしく寒く震えている
 ああたれか来てわたくしを抱け
 しかもいったい
 だれがわたくしにあてにならうか
 どんなことが起ころうと
 わたくしはだまってあるいて行くだけだ」
           宮沢賢治『業のはなびら』異稿より


人間が人間の中でしか生きることができないのはどうしてだろう。
全てを裁く正しさがないのはどうしてだろう。
正しい出口を教えてください。

あなたがたはどうして、そんなにも軽々と歩めるのですか。
私だけがこんなにも重い荷物を抱えているのですか。
それともわたしの背骨だけが弱いのですか。
確かにこの背骨は曲がっている。

誰も傷つけたくないのです。
誰も悲しませたくないのです。
己に誇りを持っていたいのです。


2:
雨の日曜日、長い長い散歩をした。
風が強かった、雨は激しかった。
川沿いに歩いた。
川面には奇妙な影が浮き、強く下流へと流れていった。

橋を幾つも潜った。
服はびとびとになった。
誰もいなかった。川原は灰色に翳んでた。
泣きたかった。


遠い西の空に夕空があった。
そこだけが金色で。
泣きたかった。
理由なんてなかった。体が冷えてた。


「人間は何と人間らしからぬ沢山の望みを抱き、
 とどのつまりは何とただの人間で止まることでしょうか」
             小林秀雄『私の人生観』より


泣きたかった。
泣けなかった。
表情と言葉、殺して、黙って歩いてた。

虹が出た。
半円を描いて見事な虹が出た。
金色の夕日が斜めに射して町を照らした。

泣きたかった。
泣けなかった。
泣き方を教えてください。
忘れてしまった。忘れてしまった、教えてください。どうか。

私はただの人間なのでしょう、
なら、泣けるはずです。教えてください。

「Ora Orade Shitori egumo」
          宮沢賢治『永訣の朝』より


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