終わらざる日々...太郎飴

 

 

- 2001年09月29日(土)

1:義務を果たすようには生きられない。

「正気に返って自己を取り戻せ。
 目を覚まして、君を悩ましていたのは夢であったのに気づき、
 夢の中のものを見ていたように、現実のものを眺めよ」
                  アウレーリウス『自省録』

マルクス・アウレーリウス、
私は、義務を果たすようには生きられない。
そのようなことは望まない。

公正であり、誠実であろうとしつづけるだけで年老いて、
あげくに死ぬことだけを夢見ることにどんな意味がある。


2:あれか、これか。

「あれか、これか」
       セーレン・キェルケゴール『あれか、これか』

キェルケゴール、セーレン。
あれかこれかのようには、生きられない。
仮面を取り替えるように取り替えることのできる人生などいらない。

常に外側から見て冷ややかに評論しつづけて年をとることに、
冷笑の皺を刻むことに、いったいどんな意味がある。


3:このからだ そらのみじんに ちらばれ

「ああ誰か来てわたくしに云へ
 億の巨匠が並んで生まれ
 しかも互いに相犯さない
 明るい世界は必ず来ると」
       宮沢賢治『業のはなびら』

正義の数が多すぎて、全て道は交差しねじれぶつからずにはいない。
そのどれも正しいことはとくから知っている。そこに苦しさがある。
だがグスコーブドリよ、カムパネルラよ。

生の果てには、散華だけしかないのですか。
死によってしか完成されないのが生なのですか。
あなたの道はあまりにも青く暗い、修羅の道だ。


4:人間はなんと多くの人間らしからぬことを

「人間はなんと多くの人間らしからぬことを考へ
 しかもただの人間にとどまることでせうか」
           小林秀雄『私の人生観』

あなたは言う、人間は人間に過ぎない。
そうです、人間は人間に過ぎない。出口はない。
鬼神にもなれなければ、魔に化しおおせることもできない。

けれども、人間の豊穣はどこにあるのですか。
人間として豊かに生きるとはどのようなことなのですか。
あなたはけして答えない。


5:地獄なのか花なのか。

「人間だけが地獄を見る。
 しかし地獄なんか見やしない。
 花を見るだけだ」
       坂口安吾『教祖の文学』


地獄ですか、花ですか。
これは地獄ですか、それとも花ですか。
地獄と花とは同じものですか。

豊穣とは傷の数ですか。
豊穣とは苦しみと痛みと悲鳴ですか。
地獄の中を歩きながら、花の中を行くように歩くことですか。

それとも――花の中を行きながら、地獄の中を歩くように行くことですか。
『いかにして』触れればいいのかということを知らなければ、
花も地獄も変わらないのです。


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