終わらざる日々...太郎飴

 

 

- 2001年08月06日(月)

夢の話。


A:水晶球

夢の中だということを知っている。目覚めが近いということを知っている。
周囲の世界は私の目覚めと同時に滅びるということを知っている。
見上げれば、恐ろしいような空は黄昏とも朝焼けともつかない。

水晶球を持っている。なぜかは知らない。
とても大切なものだということだけを知っている。
これを持って行きたい、夢の敷居を越えて。
抱きしめている。祈るような思いで抱きしめている。

目覚めと滅びは近づき、腕の中で水晶球の溶けてゆく感覚。
強く抱き、消えないでと叫びながら、泣いた。
滅びの恐ろしい轟きが響き渡り、世界が崩れ去っても、放さなかった。

目覚めたら、水晶球はなかった。ひどく哀しかった。泣いていた。


B:学校

夢の中だということを知っている。何を夢見ているのだろうと回りを見回す。
学校だ。高校の、中庭。粗い砂の敷かれた。ロの字に並ぶ校舎、教室の窓。
私は制服、プリーツのスカートは広がる。
日差しが私の影を砂に落とす。砂が私の歩みにつれて軋む。
教室のカーテンが風を受けて揺れて、窓から溢れ出る。

ああ、なんて。
柔らかい。
体を震わせるような、しあわせ。

見上げる。空はよく晴れている。
ふたつの雲が白く浮かんでいた。私は、すぐにわかった。
私の羽根だ。私を探していた私の羽根が、ようやく私を見つけたのだ。
下りておいで、私はここ、と、呼んだ。

目覚めてから、しばらく幸せな感覚だけ残ってた。
中身を思い出したのは、顔を洗っているとき。少し泣いた。


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