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■ 流れる風景、夕暮れる。
ジンバブエに、くっきりとした春が訪れている。 気の早いジャカランダの紫色が、はちきれそうになった枝から次々にあふれ出してくる。 いずれ、ジャカランダ並木が紫色の雲のようなあでやかな花に彩られるのも、もう少しだ。
夕暮れどき。 日が落ちる前に、借りているボルボのキーを回し派手な音のエンジンをかける。 傾いた夕日は、ジンバブエという国をくっきりと映し出している。 ひとりでノラ・ジョーンズを聴きながらアクセルを踏んで、夕暮れどきの光のなか、家々や木々が影を落とすなかを進んでいる。 どこまでも、どこまでも遠くに進んでいる。 いつまでも続く時間であるかのような、この厚みのあるジンバブエの春。ここに溜まった空気の絶妙な重み。
わたしは自分自身の肉体が、この国に根付いてしまったような感覚を覚え、好きなひとのことを考え、散り散りになった色んなことがらを頭の隅にぼんやりと追いやり、車を運転した。
この時間を彼と共有したいと思いながら、一方で、自分だけの肉体と人生の時間がここに吸い込まれている瞬間を、この狭い車の空間を、心地よく思っていた。
流れる風景。 夕暮れていく。
2006年08月30日(水)
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