ケイケイの映画日記
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2024年03月04日(月) 「 ARGYLLE/アーガイル 」




面白い!凄い面白い!そして大好きなサム・ロックウェルが超絶カッコいい!マシュー・ボーンだから観るか、くらいで(サムが出ているのも知らんかった。ファンとして恥)、全然気合を入れずに観たので、目を見張りました。主軸はアクションコメディですが、現代的な味付けもあり、かつてのボーン作品を知る者として、感慨深くもあります。監督はマシュー・ボーン。

流行作家のエリー(ブライス・ダラス・ハワード)。スパイ小説の「アーガイル」が大人気ですが、彼女自身は人が苦手で引きこもり気味。猫のアルフィーを溺愛しています。それなのに、彼女の小説が実際のスパイ組織の動向と重なってしまい、彼女は組織に追われるはめに。エリーを助けるために現れた、スパイのエイダン(サム・ロックウェル)は、果たして本当に味方なのか?実は敵なのか?

観て来た数々のスパイ物を彷彿させる展開を、散りばめています。この作品のここは「あの」作品だな、これは「あれ」だな、ふむふむ。という感じ。その構成がとても巧みで上手いので、文句ありません。ストーリーが進む合間に、豪華絢爛なスパイアクションがあり、キレキレだったりユーモラスだったり、まるで「007」だったり、とにかく華やか。この辺も飽きさせぬよう、趣向を凝らしています。

それと感心したのは、冒頭の何気ないモブキャラの台詞から始まり、全篇に伏線を仕込んでいますが、それを全部無事回収していた事。遊び心のあるスパイ物ですが、この辺遊ばず、しっかり取り組んでいます。因みに脚本も監督。でもこの作業、多分監督は楽しかったはずです。それが観客にも伝わってきます。

最近ね、前情報はほぼ入れません。作品を楽しむためじゃなくて、面倒臭いだけです(決して投げやりではなく。多分・・・)。.好函璽蝓爾楽しめそう監督が誰か?くらいで、雑な選び方をしているので、こんなにポスターにデカデカとサムが出ているのに、全く目にも入りませんでした。なので、サム初登場時に、誰?この人、またジャレット・レト?くらいで緩々観ていたら、あのつぶらな瞳が目に入る。おぉ!と思わず前のめりになりました。

事前に出演者で知っていたのは、ブライス・ダラス・ハワードとヘンリー・ガビルとデュア・リパだけでした。サムを筆頭に、ブランアイン・クランストン、キャサリン・オハラ、サミュエル・L・ジャクソン、アリアナ・デボーズら、地味で豪華な俳優陣をキャスティングしたのも良かった。ガビルとジャクソン以外は、それ程スパイ物には縁がない人達です。それでもアクションを含み、しっかりと楽しめる。演技派でスパイ物を作ってみようの、意図したキャスティングのような気がします。

ダンスやフィギュアスケートで、男性が女性をリフトしますよね?この作品も三回出てきます。一回目がリパをガビルが、二回目はブライスをサムが持ち上げる。ブライスはとても美人さんで、体型はぽっちゃり。加齢かな?若い時は細かったもんね。話が進むに連れて、この体型は役柄に似つかわしくなく、もうちょっと絞れば良かったかな〜と思っていました。それが三回目のリフトで、彼女がサムを持ち上げました。そこで、あぁ!と、ブライスの体型が、すごく腑に落ちました。

これ、ボディシェイミングですね。だから二回目と三回目を逆転させている。小柄なサムが大柄なブライスを持ち上げるより、ずっと自然でした。ジェンダーレスも含んでいるんでしょう。ブライスくらいの一流の女優さんなら、主役の自覚もあるだろうし、指示されれば痩せてくるでしょう。敢えて彼女の有りのままが、監督には良かったのだと思います。これを自虐的ジョークとは、捉えないで欲しい。

何故自虐的ではないか?エリーとエイダンがやり合う場面があるのですが、エイダンは決してエリーを殴らない。「君を殴りたくない」と言う。エリーにボコボコにされてんのに(笑)。「エリー=女性」と認識しました。男性が子供を産めないように、女性が男性より腕力が劣るのは当然の事。それを示唆していると思います。勿論、女性も暴力がダメなのは当然の事です。アクションとユーモアの中に、この繊細さを滲ませるのに、自虐的な笑いは取らないと思います。

「キック・アス」の感想に、幼かったクロエ・グレース・モレッツの役柄が、児童虐待だとの批判を目にした記憶があります。当時はあまり感じなかった私ですが、今ならどうなんだろう?あれから12年。監督、進化しているんだなぁと、感慨深かったです。

でもこんな考察も野暮というもの。ワクワク、ハラハラして、ガハガハ笑って、あー、楽しかった!で終わっても、全くOKな作品です。次も有りそうなラストでした。にゃんこ好きも、必見の作品です。








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