ケイケイの映画日記
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2016年01月07日(木) 「007 スペクター」

明けましておめでとうございます。今年もどうぞよろしくお願い致します。

例年お正月休みの一日は夫と映画なので、やっぱりお正月は華やかに!と言う事で、待ちに待った鑑賞です。ダニエル・クレイグがボンドになって4本目。今回集大成のような作りで、ダニエルがもう一本契約したとかしないとか聞きますが、もう完結篇のような作り。ダニエルになってから、007の芸風だった荒唐無稽さが影を潜め、世相を反映するような現実的な味付けでしたが、今回ちょっと原点回帰かな?私は楽しかったです。監督は前作に続き私の大好きなサム・メンデス。今回あらすじはなしです。

冒頭、メキシコの「死者の祭り」から入る華やかな展開は007のセオリー通り。鮮やかなアクションの連続は、導入としてバッチリでした。

ダニエルになってから、ユーモアの欠如が言われますが、それってボンドに愛嬌がないって事ですね。そして色男ぶりが楽しめない。ベッドインするまでの艶やかでウィットに富んだ会話やしぐさが魅力だったのに、突然始まったりするので、その辺ずっと物足りない。ちょっと生真面目過ぎるんだな。
あんなにハンサムなのに、色男ぶりが低下するって、如何なものか?(笑)。

そんな愛嬌薄いボンドをカバーするため、今回お茶目なQ(ベン・ウィショー)がいっぱい出てきます。と言うか、「ミッション・インポッシブル」さながら、M(レイフ・ファインズ)はともかく、マネーペニー(ナオミ・ハリス)も出番が多くて、一匹狼で行動する割には、雰囲気はチームMI6と言う感じです。

ボンドガールは、個人的にはモニカ・ベルッチが良くて、レア・セドゥがちょっと残念。レアは現在フランスが一押しの女優さんですが、今回は華が足りず、もう少し大人な雰囲気も欲しかったです。モニカは50代では初のボンドガールだそうで、楽しみにしていましたが、出番はわずか。しかし何が感激したかと言うと、ちゃんと50前後の女性に見えたこと。目の下は弛み、隈があり、ほうれい線はくっきり。背中は引き締まっているものの、若い人のようなまろやかさはありません。50代の女が必死になって若作りするのではなく、あるがままです。確かにあの美貌あっての事でしょうけど、そんな50女に、百戦錬磨のボンドが、性的魅力を感じたわけです。あまりメンデスらしさのない作品ですが、唯一メンデスだぁ〜と私が強く感じた箇所は、ここでした。モニカ・ベルッチ、良くぞ出演してくれました。

ストーリーは、前作「スカイ・フォール」がママ恋しなら、今回はパパ恋し。そんな個人的恨みつらみで、無理くりお話を広げて、世界を揺るがしていいもんか?と思いますが、まぁ上手く脚本はまとめているので、この際良しとしよう。要所要所のアクションも007らしく派手だし、ボンドの不死身さもダニエルに似合ってリアルに感じさせる見せ方も良かったです。何より敵役にクリストフ・ヴァルツを持ってきたのは、正解。少ない出演場面でマックスの存在感で、画面が引き締まる。彼が言うなら、パパ恋しも許してあげようと言うものです(笑)。

ダニエルがボンドになって約10年。何だかんだ言われながら、ボンドが板についてきたけど、明るさが欠けているのは、いつも少し不満です。他の作品のダニエルは、決して暗くはないので(明るくもないが)、これは彼のせいではなく、脚本が閉塞的な世相をボンドに反映させていたんだと、四作観て、やっと悟りました(遅いよ)。

しかし、スパイの世界ではビックネームのジェームズ・ボンドやイーサン・ハントが、揃って「失業」の憂き目にあいかけるとは、。思えば東西冷戦終結後は、描く世界観がぶれまくり、題材が迷走したのが受難の始まり。スパイ映画は、国家を描けば歴史がわかり、人を描けば厚い人間ドラマが作れます。そして派手なアクション。娯楽映画にとって、こんな面白いジャンルはないので、これからも試行錯誤して作って欲しいな。

何だかダニエルはもう引退?と思わせるようなラストでしたが、集大成的なこの作品で、身を引いてもいいかも?そして次のボンドは、閉塞どころか、暗黒前夜のような現在の世界情勢をぶっ飛ばすような、元のはっちゃけたボンドが観たいです。ヒュー・ジャックマンが名乗りを上げているそうだけど、彼なら申し分なし。未来永劫、007は不滅です。


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