ケイケイの映画日記
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2015年07月04日(土) 「悪党に粛清を」

愛しのマッツ主演作。この作品のために来日もしており、わんさか女性ファンが押し寄せたとか。正直意外で。だって私の映画友達以外でマッツを認知している人は、誰もおらん(笑)。マイナーの中のメジャー的存在になっているんでしょうか?この映画もデンマーク製の西部劇と言う物珍しい作品です。イタリアがマカロニなら、デンマークは狩猟ウェスタンか?主人公がデンマーク出身と言うプロットをきちんと盛り込んでおり、正統派の作品に仕上げています。暗ーい空気が終始充満している様子は、本家アメリカより、イタリアに近いかも?監督はクリスチャン・レヴリング。

1870年代のアメリカ。戦争で荒廃したデンマークから、アメリカで新たな生活を始めようとやってきたジョン(マッツ・ミケルセン)と兄ピーター(ミカエル・パーシュプラント)。7年の月日が経ち、ようやく生活の基盤が出来たジョンは、妻子をデンマークより呼び寄せます。しかし家に帰るための馬車に乗り合わせたならず者二人に、妻子は暴行された殺されてしまいます。行方を捜していたジョンは、ならず者たちを射殺。しかしそのならず者の一人が、街を牛耳るジェラルー大佐(ジェフリー・ディーン・モーガン)の弟であったため、事態は悲惨な方向へ加速していきます。

馬車・馬・荒野。人々のファッション。そして街並の佇まいなど、どれもこれも本格派。黙っていればデンマーク作品だと言うのを忘れそうです。こんな時代から「アメリカン・ドリーム」があったのかと、妙に感心します。

マッツが一番気に入っているらしい、妻子との再会場面は、派手なキスや抱擁などありませんが、夫婦が如何にこの時を待ち望んでいたのかがわかる、静かで美しいシーンです。以降凄惨で暴力的なシーンの連続となるので、後々まで強く印象に残ります。

ジョンたちも大佐も、元兵士。前者はドイツを相手に戦い、後者は先住民族。なのでスナイパーとしての腕は両方確か。銃撃戦の真っ最中の、息詰まる静寂後のマッツのスナイパーぶりに魅了されます。屋根の上の伝い歩きの音で、敵が察する様子、その後の展開なども上手いです。

囚われ救われ、敵味方入交の攻防戦や、お約束の吊るし上げなども入り、非常に端正な作りだなとの印象です。マッツは相変わらず誠実で渋くて、だから怒りの爆発も共感出来るし、ミカエルはマッツに負けず劣らずの渋みがあり(一緒に観た友人も絶賛)、モーガンもほんと、憎々しい敵役ぶりで天晴れ。声を失った弟の情婦役エバ・グリーンも、愛変わらずの妖気的美貌で、口元の傷なんのその、返って眼力が際立って、ミステリアス。作品に棘がいっぱいの深紅の薔薇のような華を添えます。

なのになー。何故かめでたさも中くらいの感じなのです。端正過ぎて、作り込み過ぎて、面白味に欠ける気がしました。いや、正直言うと、面白くなかったんです。

「怒りのデス・ロード」の後遺症かしら?(笑)。尺が昨今の作品にしたら、90分と短いのが物足らなかったのかも?この手の作品にこれ以上の深みを求めるのも野暮だし、何故面白くなかったのか、自分でもわかりません。単に私がウェスタンに興味が薄いだけなのかも知れません。

が!これで私のマッツへの愛が失われずはずもなく、あんなボロ雑巾のように泥だらけ傷だらけでも、渋みは変わらず。ドラマの「ハンニバル」は終わるそうですが、ハリウッド進出順調成るも、故国デンマークを忘れないマッツの男気も感じる作品。なので全てOK!デンマークでは久々にスサンネ・ビアの作品で、マッツが観たいな。ハリウッドなら、是非ドラキュラを。クリストファー・リー翁大往生の後、マッツなら後世に残るドラキュラを演じる事が出来ると思うんだけどなぁ。お願いします!


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