ケイケイの映画日記
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2013年08月16日(金) 「パシフィック・リム」(2D吹き替え)




実は監督のギレルモ・デル・トロが大好きです。なのに「ヘルボーイ ゴールデンアーミー」以降は、プロデュースばっかりで、寂しく思っていました。だから新作が来たと聞いた時は、狂喜乱舞ですよ。それなのに万を持しての新作は、私の興味外の怪獣映画と聞き、気分はがっくり。でも死ぬまで観続けると決めた監督だし、それなりには面白かろうくらいの気分で臨みましたが、冒頭からノリノリ、クライマックスには感動して泣いてしまいました。よく女・子供って一括りで言うでしょう?言うなれば、この作品は究極の「男・子供映画」。男子なら萌えて燃えてもえまくる作品です。

ある時太平洋から巨大な怪獣が現れ、大都市を次々と破壊していきます。人類滅亡の危機に立たされた地球上の国々は、一丸となって怪獣を倒すべく、巨大ロボット「イエーガー」を作ります。イエーガーは中に二人のパイロットが入り操作すると言う代物で、イエーガーの能力を最大限に発揮させるには、パイロット同士の高いシンクロが必要とされていました。ローリー(チャーリー・ハナム)は優秀なパイロットでしたが、ある怪獣との戦いで同じパイロットの兄を失い、失意のまま5年間戦線離脱。そんな彼を司令官ベントコスト(イドリス・エルバ)が探し当て、復帰を促します。再びイエーガーに乗る決意をしたローリーは、以前とは違う現場に戸惑いを見せます。そんな彼をガイドするのは、イエーガーを修復する日本人研究者のマコ(菊池凛子)。しかし彼女の本心は、イエーガーのパイロットになる事でした。

冒頭から超巨大な怪獣が、豪快に大都市をぶっ壊す場面です。あそこまでスケールが大きいと、悪役でも天晴。爽快感すらある。てな事を言っている場合ではなく、打倒怪獣のため、各国が手を結びます。人類は一家、人間は皆兄妹精神ですよ。この辺の設定で、既に感慨深い思いが過ぎる。だって現実は、あっちもこっちも争いばっかだもん。

そして簡単に説明の後、颯爽とイエーガー登場!いや〜、今まで目にしていたロボットアニメを実写すると、こうなるのかと、また感激。だって精巧だしスケールでかいし、アニメそのまんまなんだもん。パイロットは相性が大事なのですが、記憶のあれこれを深くシンクロさせなければならないため、兄弟や親子が選ばれると言うのは上手い設定で、登場人物たちに無理がない。ローリーとマコの場合も、納得出来ます。

その後のストーリーはですね、とにかく皆が命懸けで気球を救う、これ一点でイケイケドンドンです。その間に親子の情や葛藤、武器商人ならぬ怪獣商人(ロン・パールマン)の登場や、オタク博士たちの頑張り、過去のトラウマ、パイロットのプライドなんかが描かれます。そんなに深く掘り下げてないけど、こんなもんで充分です。大事なのは、己を捨てても地球を守ると言う、崇高な正義感が伝わるかどうか?です。もう段々「男・子供」の世界に、洗脳されたかのような気分ですよ。

自己犠牲が国のためなら?これはちょっと胡散臭いでしょ?でも地球のためだもの、すごく素直に立派だなぁと受け取れます。なので、あぁこの人たち本気なんだわと、最終決戦の前にイエーガーに乗り込むパイロット達に感動して、涙が出ました。パイロットの一人の生意気君が、司令官に「あなたと組めて光栄です」なんて良い子に改心して言うから、また涙。なんてことない台詞なんですが、多分どっぷりはまってしまったんでしょうねー。

監督が偉いのは、オタク心満開で、その筋の人だけに向いて、描いてはいない事です。非力なオタク博士たちは、コメディリリーフ的な活躍だけかと思いきや、彼らは彼らで、身を呈して地球を救おうとし、貴重な戦力として描かれています。そしてマコ。作品に華を添えるだけではなく、立派に戦士として戦います。ローリーはマコの事、足出まとい扱いでもなく、守ってやるぞ!でもなく、パートナーとして、本当に尊重していました。彼女の意を汲み、120%の力を出し尽くすまで、ちゃんと見守る。これぞ21世紀の男子ですよ。オタクだって女子だって、ちゃんと地球を守る事に貢献させていて、本当に素晴らしい!

怪獣は豪快で重量感は感じましたが、同じようなシーンが多く、イマイチ私には面白みが欠けましたが、オーラスは空を飛んだり楽しめたので、まずは及第点。それよりイエーガーがカッコよくて、これは大満足でした。スコアもとっても良くて、気分を更に高揚させてくれました。

キャストは日本では無名の人ばかり、有名なのはロン・パールマンと菊池凛子くらいかな?菊池凛子は監督が彼女を当て込んで書いたらしく、私も初めて彼女が良いと感じ、健闘しています。吹き替えはプロの声優、それも大御所ばかりで安定しており、キャストが無名の人ばかりのためか、違和感は全くありません。映画の吹き替えはプロか有名人かが、よくお題に乗りますが、上手けりゃ誰でも良いと思います(笑)。選ぶ方は、その観点で是非チョイスしてもらえたらと思いますね。

観て楽しんだもん勝ちの作品。「男・子供」映画ながら、充分女性も楽しめる作品です。


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