ケイケイの映画日記
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2009年11月08日(日) 「スペル」




う〜ん、困ったなぁ。「スパイダーマン」シリーズで、娯楽大作の巨匠となったサム・ライミの、久々の原点回帰的ホラーです。あのライミが古巣に帰ってくる!ということで、前評判も上々、すんげぇ怖いと煽られて期待満々に観ましたが、全く怖くありません。
ホラーって言うより汚物モン的傾向が濃厚で、私的にはホラーは血の方が好きなので(←おい)、その辺も私の嗜好には合いませんでした。きちんとは作ってあるんだけどなぁ〜。

銀行の融資係担当のクリス(アリソン・ローマン)。優秀な彼女は、現在次長の席を同僚男性と争っています。そこへ三度目の支払い延期を求める老女ガーナッシュ夫人(ローナ・レイヴァー)が彼女のデスクに。昇進を意識するクリスは、夫人の申し出を断ります。逆恨みした夫人は、帰宅するクリスを襲い、謎の呪文をかけます。以降クリスの身辺には不吉で恐ろしい事が連続して起こるのです。

クリスの健気だけど野心的なところ、その理由などが描いているので、可哀想な彼女に同情し易いのはいい感じ。アリソン・ローマンは結構売れっこさんですが、汚物まみれ泥まみれになって、大奮闘。ホラーヒロインとしては、とてもよく頑張ってます。

でもなんたって最強ホラークィーンはガーナッシュお婆ちゃん。薄気味悪くて汚くて、腕力も年寄りとは思えん力を発揮して、この作品最大の貢献者かと思います。

でも如何せん、私は汚物まみれって好きじゃないのね。普通の人より耐性はあると思いますが、何度も何度も繰り返されると、うんざりしちゃう。作りもオーソドックスにきちんと作ってあるけど、「ポルターガイスト」や「ヘルハウス」チックな悪魔払いの描写も、オマージュというより、これなら元作をDVDで観ればいいや、と思ってしまいます。

あれやこれやと詰め込んでも、お話はちゃんと整理はされていますが、私はこれなら男が痩せる呪いをかけられて、ただそれだけで苦しむ、キングの「痩せゆく男」の方が好みです。

恋人ジャスティン・ロングも誠実さは充分伝わってくるけど、ただひたすら尋常ならざるヒロインを信じて愛するばかりで、一回くらい喧嘩しろよ、金出すだけが誠意じゃないぞと、鼻につきます。それに引き換え、画像のシーンのアリソンは、見違えるように生き生きしていて、この場面のシーンが一番好きです。

ラストのオチもわかったし。人生の選択とは難しいもんですな。とにかく怖くなかったのが致命的でしたが、それは私がたくさんホラー観てるからかも。評判いいようなので、ホラー好きな方は確かめてね。


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