ケイケイの映画日記
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2007年11月18日(日) 「ボーン・アルティメイタム」




15日の木曜日観たのに、虫歯の乳歯が痛く(ええ年こいて、まだ生え換わっていないのですね。もちろん下に永久歯はなし。治療中なのに痛みが引かない。助けてくれ〜〜!)、痛いよ〜〜と言っているうちに書かないまま日が経ってしまいました。御存じジェイソン・ボーンシリーズ三作目にして、最終作です(多分)。このシリーズは全て観ていて大好きですが、今回もクオリティを保って、とても面白く見せてくれました。

記憶を失ったままのジェイソン・ボーン(マット・ディモン)は、自分が”トレッド・ストーン計画”により、暗殺者に仕立てあげられたことを突き止めます。その計画の秘密を握る新聞記者ロスの接触に成功したボーンですが、ロスはCIAから差し向けられた暗殺者に殺害されてしまいます。

と、あらすじはこれくらいに。なんたってマットが超かっこいいのだ!このしりーずが5年前に作られた時は、まだ有望新進俳優の域だったマットですが、シリーズの成功で一躍トップスターに。今一番ハリウッドで稼げる俳優なんだとか。小柄だしゴージャスなハリウッド的美形でもないし、いわば自己主張の薄い個性で、ここまで来るなんて本当に立派。

ボーンの「記憶喪失」という重大な要素は、そんな無個性の彼にぴったりだったんでしょうね。全シリーズに共通して言えることですが、瞬時の好判断や敵と素手で格闘する時のボーンの威力は、彼の平凡な外見からはとても意外なものです。それは記憶を失っても体に染み付く暗殺者としての、ボーンの哀しい習性として、観客に印象づけるのに打ってつけでしょう。

アクションシーンは、カット割りが短くカチャカチャ画面が変わると聞いていたので、後ろの座席をチョイスしたのが正解でした。ここはスタントだろうという箇所まで、きちんと把握出来るくらい堪能出来ました。特にトルコでの屋根づたいのアクションや、バイクで人込みの中突っ走るシーンなどが印象的。その他も平凡な表現ですが、手に汗握るシーンの連続で、全く飽きることがなかったです。特別斬新な手法ではありませんが、見せ方の工夫で充分楽しめました。ボーンが追われているはずが、いつの間にか立場が変わって追う立場になっていたり、目が離せません。

今回はほとんどをサスペンス風な追及に終始するので、ボーンの心の葛藤面は薄かったです。しかしながら、全作通じて出演のCIA職員のニッキー(ジュリア・スタイルズ)が、ボーンと出会った頃の最愛のマリー(フランカ・ポテンテ。今回も回想で出演)にそっくりの姿で出てくる場面があり、そこは少し趣が違いました。ニッキーがボーンに心を寄せ初めているのがわかるのですが、ボーンは彼女の心に応えようとはしません。それは自分といっしょにいては、ニッキーまでもがマリーの様に命が狙われるからでしょう。こうやってボーンは、もう二度と恋もせず一生孤独に生きていくんだろうな。

CIAというと、またまた出てくる「国家に忠誠を誓う」。でも「グッド・シェパード」の昔から、悪い事ばっかりやってるやん、という印象ですが、「ボーン・スプレマシー」に続き出演のCIA上層部のパメラ(ジョアン・アレン)の、「私は殺人マシーンを作るためにCIAに入ったのではないわ。」という言葉が印象的。悪役CIAはデビッド・ストラザーンなど男性ばかりで、正義の心を取り戻しつつあるのボーンの手助けするのが女性というのも、意味が深いのでしょう。

彼を追う暗殺者に、「どんな理由があって、俺とお前は殺し合うんだ?」と問いかけるボーンと、しばし沈黙する相手。後味を良くする演出も上手いです。ニッキーのラストの笑顔を見ると、もう一本作って欲しいなぁと思いました。でももうネタ切れですよね。これでスクリーンではジェイソン・ボーンに会えないと思うと、とっても寂しいです。


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