ケイケイの映画日記
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2005年03月19日(土) 「ボーン・スプレマシー」

今頃何をの最終日の昨日観てきました。2月中旬から公開でしたが、前作の「ボーン・アイデンティティ」を観ていないため、ビデオで予習を目論むも貸し出しばかり。仕方なく中古ビデオ980円で買ったものの、忙しくて観ること叶わず。観ずに「〜スプレマシー」を観ようかどうしようかと迷っているうちに、こんな遅くになってしまいました。結局前作は観ましたが、あまりの面白さに今まで観ていなかったのが、損したような気になりました。観なかったら面白さが半減するところでした。

前作から2年、ジェイソン・ボーン(マット・デイモン)は愛するマリー(フランカ・ポテンテ)と共にインドの片隅でひっそり暮しています。記憶は今だ戻らず過去を示唆する悪夢に悩まされながら、記憶を取り戻そうと必死です。そんな時二人はスナイパーに襲われます。それはCIAの女性諜報員ランディ(ジョアン・アレン)が指揮を執る、CIA内部の公金横領事件が絡んでいました。謎を探りに再び危険な旅立ちをするジェイソン・・・。

というのが大まかストーリー。「〜アイデンティティ」を観るまでは、演技力があっても、ちっとも素敵に見えなかったマットですが、このシリーズでのカッコ良さったらないです!元々知性はある感じだったのが幸いし、鍛え抜かれたCIAの元刺客ぶりに説得力があります。このシリーズは派手な銃撃戦や絵空事の爆破などは最小限に押さえ、素手の格闘やアナクロ的な銃の使い方、身体能力と知恵、瞬時の判断力が明暗を分ける様など描いています。体力だけでなく頭脳もクレバーな人でないと務まる仕事ではないと思わせる作りになっており、それが返って非日常でありながら、リアルであると観客に錯覚させるのに成功しています。

事実アクション映画としては地味なはずですが、ストーリー展開と危機また危機の連続にずっと心臓バコバコ、一瞬たりとも目が離せず見応え充分です。前回は主要脇役にクリス・クーパーが出ており、この人は何をやっても上手だなぁと思って観ていましたが、今回は女優としてクリス・クーパーに匹敵するするには、この人しかいないと感じるアレンが登場。キャストの対比も良かったです。アレンは年を取るごとに美しくなるわ、演技に磨きがかかるわでもう最高!50前の女性だと母親役しか回ってこないはずなのに、メリル・ストリープ、グレン・クローズのすぐ後ろはアレンではないか?と個人的に思ってしまうハンサムウーマンぶりでした。

「過去からは逃げられない」とは、ジェイソンとは因縁浅からぬ人物からのセリフですが、彼は過去から逃げようとせず、過去を乗り越え贖罪しようとします。その贖罪部分は、前作で標的を仕留めるのに躊躇した理由を彷彿させ、心の芯まで氷つかせられない人間らしい部分として、記憶のあった時も今もジェイソンの心の葛藤と苦悩が忍ばれ、アクションだけに終わらずストーリーに深みを持たせています。

個人的には自分はいったい誰なのか?というアイデンティティーを模索する部分とアクション部分が相乗効果を生み出し、マリーの存在が苦さの中に青春映画のような光も感じた「ボーン・アイデンティティ」の方が好きです。ですが「〜スプレマシー」も中々良いです。ストーリーにさほど深みを求めず、展開の面白さとキレの良いアクション映画を御期待の向きには、こちらの方が感触が良いかもしれません。原作はあと1作あるそうです。次が待ち遠しい!


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