ケイケイの映画日記
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2006年11月06日(月) 「デスノート the Last name」


散々前編を、「腹立つ小童どもじゃ」と貶しながら、初日に観て来ました。本当はもっと後でも良かったのですが、前編を気に入った夫が早く観たがり、初日に予約と相成りましたが、肝心の夫が発熱のためダウン。私なら解熱剤を使っても観るのですが、夫には映画的根性はなく(普通は要りません)、ひとり寂しく(←大嘘)観て来ました。ラインシネマでは一番広いスクリーンで公開でしたが、私が観た回、その次の回もソールドアウト。まるで「ハリポタ」並みじゃございませんか。もっと別の作品でこうなって欲しいのー、と思いつつ、今回はLが気に入ったこともあり、前編よりは楽しみました。

キラの逮捕に協力するという名目で、まんまと捜査チームに入り込んだライト(藤原竜也)。しかしL(松山ケンイチ)は、まだライトがキラである疑いを持っています。そんな時リュークとは別の死神レムが落としたデスノートを拾ったアイドルタレント・ミサ(戸田恵梨香)は、ライトを崇拝し、「第二のキラ」として、行動を開始します。

前編でムカついた感覚は、この作品の世界観に慣れたのか、今回も傲慢な正義感とは感じましたが、腹が立つ感情はなくなりました。その代わり前編では感じなかった細部に鬱陶しさを感じました。

まずミサ。恵梨香嬢が嫌いというのではなく、造形があまりにおばさんの私には鬱陶しい。喋り方もアホっぽく、彼女の背景にライトを崇拝する下地はあるものの、これでライトに夢中になるには説得力がありません。彼女のような経験をした者が、こんなに簡単に命を操れる神経がわかりません。

もうひとりの重要人物の清美(片瀬菜那)ですが、彼女も最初の志どこへやら。これらのことは充分に考えられる変貌なのですが、この辺をペラ〜と薄く描写するので、やっぱり説得力不足の感が残ります。

さて期待のライトとLの対決ですが、今回は不遜な輩は女二人に任せたので、たっぷり頭脳合戦が楽しめます。ライトの方は、今回ミサが加わり、何でも有りのデスノート機能もバージョンアップ。圧倒的有利なのですが、Lも負けていません。引きこもっていたLがライトの学校に現れたり、執拗にライトを追い詰める様子も、プロファイリングだけではなく、犯罪者に対する刑事の感のようなものも感じさせ、観客を引き付けます。

特にラストで見せた原作とは違うLの捨て身のアプローチは、頭脳明晰だが奇妙な少年の印象が拭えなかった引きこもりのLの、正義を感じさせるもので、素直に胸を打たれるものがありました。家庭的にも経済的にも恵まれたライトが、歪んだ欲望を何故正義とはきちがえたのか?親を知らず、執事のワタリ(藤村俊二)だけを頼りに生きてきたLが、道を踏み外さず正義を正しく見つめられたのか?この辺をもっと掘り下げると、昨今のいじめ問題や少年犯罪の有り様を探るヒントがあったかもと思うので、その辺が残念でした。

原作もそうなんでしょうか、ミサはツインテールでアキバ系アイドルっぽく、ゴスロリ姿も披露してくれます。清美役の片瀬は、駆け出しキャスターには分不相応なインテリアに囲まれ、セクシーな寝間着姿で、びっくりするくらい長い美脚をみせてくれたり、これはこの作品を指示する層が、案外幅広いのかもと感じさせました。

藤原竜也は、終始クールにライトを演じつつ、ラストの力の入った演技でメリハリをつけ、良かったと思います。しかし今回は松山ケンイチの方が断然光っていました。ユーモアの少ないこのシリーズで笑いを取ったり、つかみ所がなく最後まで淡々としたLの全てを、下手に技巧に走らず素直に演じていて好感度大でした。素顔の松山ケンイチは、爽やかで暖かみのある好青年風で、Lを演じながら、素の彼が良い意味で透けて見えたのが功を奏した気がします。

前編よりは軽薄さもましで、まずまず楽しめました。原作は私の疑問点にも答えてくれているんでしょうか?心優しい死神レムは、映画だけのキャラだそう。やっぱり最強なのはリュークというオチは、人間が人間の生死を操作する、その神をも恐れぬ行いを、戒めているんでしょうか?




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