ケイケイの映画日記
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2006年03月15日(水) 「イーオン・フラックス」


シャーリーズ・セロンが「モンスター」でオスカーを取った後、選んだ出演作。パスする予定でしたが、予告編を観て気が変わりました。だってオスカー直後の作品ですよ。もろ主演ケイト・ベッキンセールという感じのB級SFに主演とは、「お客様は神様です」を感じさせませんか?(違うか)これこそハリウッド女優としてのプライドではないかと、セロンの心意気に感じての鑑賞でした。

西暦2415年、約400年前新種のウィルスによって滅亡寸前までいった人類は、科学者トレバー・グッドチャイルドによって作られたワクチンで、500万人が生き残ります。現在人々は、グッドチャイルド家の子孫であるトレバー(マートン・ソーカス)が指揮する都市ブレーニャで、汚染された下界から隔離されて生活しています。しかし秩序を重んじるあまり、高圧的な政府に反抗する勢力”モニカン”を率いるハイドラ(フランシス・マクドーマンド)は、モニカンの最強戦士イーオン・フラックス(シャーリーズ・セロン)に、トレバー暗殺の指令を下します。

お目当てはセロンの美しさと頑張りだったので、まぁそれには満足でした。元バレエダンサーの資質を生かし、↑の画像の大開脚や、忍者かやもりのような姿勢での移動など、体の柔らかさが目につきます。アクションは足こそ高く上がるのですが、イマイチ切れが悪く、ちょっと体が重たそう。全然太ってはいませんが、彼女は身長が180cmくらいあるので、よほど俊敏に動かないと、強そうには見えません。だからスタントとCGを多用していましたが、もうちょっと訓練しても良かったかも。

衣装は基調はボンデージファッションです。何というか、反政府勢力って、レジスタンスでしょ?こんな格好で歩いていたら、目立ってしょうがないと思うのですが、それはヤボだし綺麗なので置いておこう。私が爆笑したのは寝間着。何か乳房とオヘソの下を数珠みたいなのでぐるぐるしただけので、思いっきりハミ乳していました。こんなんなら、いっそスッポンポンの方が寝やすいかと。それにしてはベッドシーンは思い切りあっさりで、ちょっとサービス精神が足りないような。

お話はこれ以降、よくあるSFの流れになります。使いまわしてどこかで観たなぁという手合いです。これなら「アイランド」の方がずっと面白かった。全体的に話はわかりやすいのですが、あれこれ盛り込みすぎで、全部中途半端に終わっています。

でも私が結構楽しめたのは、セロン以外にも掘り出しもんがあったから。クレバー役のマートン・ソーカスがタイプなのです。いや役者としてはあんまりかも知れませんが、役柄のちょっと気弱で優柔不断気味の温厚で誠実そうな人と言うのは、私の男性のタイプ。容姿はケビン・スペイシーからアクをとって調えた感じで、地味に渋くてこれもグー。亡くなった妻を○○○○になっても覚えていたいなんて、普通執着強すぎて怖いんですが、ソーカスが演じたので純粋に感じてしまいました(バカ)。

他には「ホテル・ルワンダ」で、ドン・チードルの妻を演じたソフィー・オコネドが、びっくりの大変身。「ルワンダ」では、アフリカ人ながらヨーロピアンのようなエレガントさと気品を漂わせていましたが、この作品では、容姿共々とってもワイルドで、イーオン以上に強そうなモニカンの女戦士を好演していました。他にもピート・ポスルスウェイトのお茶目さんな生命の鍵を握る人物も良かったし、イーオンの妹役のアメリア・ワーナーもすっごく可愛かったです。えーと、マクドーマンドは何で出演したのか、よくわかりません。彼女の演技力を持ってしても、謎だけ残る役でした。アンジェリーナ・ジョリーの最初の夫、ジョニー・リー・ミラーも、次男坊の憂鬱的役柄で出ていますが、これもただ私利私欲に走っているように見えて、単なる敵役です。

監督は日系のカリン・クサマ。女性です。私は未見ですが「ガール・ファイト」という、ボクシングに情熱を賭ける女性の映画でデビューした人です。そのせいか、番傘、インテリア、畳、桜などジャパネスクなムードが盛りだくさん。でも意味あるのかな?原作は韓国系の人が書いたコミックだと聞いていたので、ちょっと謎でした。今回はちょっと(本当はだいぶ)力不足の感はありますが、映像的には良かったと思うので、内容の充実を次作に期待したいです。

以上私は期待のセロンが綺麗だったし、副産物で楽しめたので、凡作でしたがそれなりに楽しめました。でもすぐ忘れる作品です。


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