ケイケイの映画日記
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2006年02月11日(土) 「プロミス/PROMISE」


監督チェン・カイコー、出演真田広之、チャン・ドンゴン、セシリア・チョン、ニコラス・ツェーの、中・日・韓合作の超大作(?)。いやストーリーはともかく、かなりお金はかかっています(CGにはけちった模様)。予告編を観て、わぁ〜すんげぇ綺麗、絶対観ようと思っていた作品。だから中身なんかどうでも良かったのですが(大暴言)、いっしょに観た友人は「全然こんな内容とは知らなかった」と呆然&大笑い。もっと中身が充実していると思っていたとか。しかし友よ、あなたは器が大きい。普通笑ってすませられませんよ、この「そんなアホな」のスカスカの中身。でも私には絢爛たる映像美と、美男美女の恋のさやあての艶やかさに酔いしいれた、魅惑の2時間でした。

戦乱の昔、親を失い路頭に迷う幼い傾城(成人からセシリア・チョン)の前に、女神が現れ、全ての男性の寵愛と何不自由ない生活を約束するが、引き換えに真実の愛は得られないが良いか?と問います。受け入れた傾城は、美しく成長し、王の妃となっています。しかし今はその王と共に逆臣の侯爵・無歓(ニコラス・ツェー)に捕らわれています。王の片腕の大将軍・光明(真田広之)は、目を見張る俊足の自分の奴隷・昆崙(チャン・ドンゴン)に命じて、王を救出するよう命じるのですが・・・。

まず赤・白・黒を描き分けた色彩が美しいです。赤を基調にした軍の衣装、光明の鎧と兜も威厳と華やかさを兼ね備えたデザインで魅力的。花が満開の様子、ほころんで散る様子、カゴの鳥の捕らわれ部屋、光明の家の周りの自然の風景、屏風や扉など、ため息ものの圧倒的な美しさがもう満開。全てのシーンが見せ場だと言っても過言でないほどの映像美です。見飽きたワイヤーアクションも、演じる人が魅力的なら、それなりに観られます。

ドンゴンの「あなたの〜、肌が〜、大好きで〜す」のCMを見る度、髪切らんかい、髪を!男前が台無しやがな!といつも腹が立っている私。今回その上をいく超ロン毛のドンゴンに、上映開始10分も経たずに大爆笑させられます。襲い来る水牛の群れのなか、何故か水牛より早くハイハイするドンゴン!その後前の主人を背負い、あんたはターミネーターか?の勢いと表情で猪突猛進する彼。しかし普通はこんなシーン、失笑以外の何ものでもないはずが、意外と楽しめたりするんですからドンゴンは奥が深い。その後も「ドラゴン・ボール」のスーパーサイヤ人か?の空を飛ぶ彼に、5回は笑いました。昆崙の純粋さ愚直さを表すおどおどした仕草も、純粋というより愚鈍、もっとはっきり言ったら「あんたアホやろ?」です。しかしそれでも素敵に見えるんですから、ドンゴンの男前オーラたるや、すごいもんです。

真田広之は名前がトップに出るだけのことはある演技で、厭味な人物になりがちの光明を、年齢相応の渋さのある人に仕上げています。私は中国語はわかりませんが、イントネーションなど違和感はなく上手に聞こえました。

クレオパトラか楊貴妃か?というくらいの絶世の美女役のセシリアは、薄衣のエレガントな衣装が似合い、真田広之とのラブシーンも艶っぽく精いっぱい演じています。しかし、何故か私には榎本加奈子に見えてしょうがない。彼女は「パイラン」しか観ていませんが、清楚な美貌に似つかわしくないハスキーボイスだった記憶がありますが、この作品では声まで可憐。吹き替えだったのでしょうか?確かに美しかったけど、私は「パイラン」の貧乏臭い彼女の方が数倍美しく感じました。しかし荷が重い感じはなく、好演だったのは確かです。

一番格好良かったのはニコラス。常に酷薄な微笑を浮かべ、優美で冷酷な姿がとても決まります。「少林サッカー」の敵役の、やしきたかじんそっくりな親父さんから彼が出てくるとは信じられない、「美しいって罪ね」感がいっぱいです。何度も大爆笑させてくれるドンゴンに比べ、2枚目パートは独り占めの感が。やはりカイコーは中国人、香港出身とはいえ、これから自国を背負って立つ若手スターには配慮した模様。

しかし肝心の内容は、ひとことで言えば、女一人のために幅広い年代のイケメン男たちが、幼稚な愛を振りかざし、命がけで右往左往するだけのお話です。同じような作品「LOVERS」で、チャン・イーモウが、ちったぁストーリーの充実も気にかけていた感じは、カイコーには皆無。無理無理タイムトラベラーを作り出し、ちょっと家族愛と同郷人会の懐かしさも描いています、みたいな。しかしながらラストの4人の様子は、息詰まりはありませんが駆け引きも面白く、盛り上がります。お安いですが、ちょびっと愛の哀しみも感じさせます。真田広之のセリフが好印象。

伝説の神話ファンタジーと言う感じでしょうか?筋が命という方には到底お薦めできる作品ではありませんが、私は個人的には見応え充分(目が)、何の文句もない作品でした。しかしこれはマニアな感想かな?


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