ケイケイの映画日記
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2005年07月29日(金) 「姑獲目の夏」

一週間ぶりに今週の月曜日に観たのに、ズルズル書かないままに、なんかもうすでに色あせてしまった作品。夏休みで朝練の息子のために4時半に起き、入院中の姑さんの見舞いに仕事に家事とvery busyで、レディースデーなどと言っておれず、ラインシネマでのマックス鑑賞料金の1300円で観ました。今年この料金で観たのは「呪怨」だけで、鑑賞後の印象は似たようなもんでした。失礼かしら?(どっちにだ)

昭和27年の東京。久遠寺産婦人科の双子の姉妹の妹梗子(原田知世)は、妊娠20ヶ月にもなるのに出産せず、婿養子の牧朗も一年半前に出奔したまま。この事件を取材することになった小説家の関口(永瀬正敏)は、古本屋の主人にして憑き物落としの顔も持つ京極堂(堤真一)に取材の協力を頼みます。折りしも梗子の姉涼子(原田知世二役)も、京極堂の知人の探偵で、失明した片目から過去が透視出来る探偵・榎木津(阿部寛)に、事件の捜査を頼みに行きました。二方からの捜索から、事件は意外な展開を見せるのです。

と一応ミステリーなんで書きましたが、ツッコミどころ満載なので、あんまりミステリー部分は盛り上がりません。20ヶ月も身ごもったままの妊婦なんて、誰だって○○妊娠だろうと検討がつきますが、何故か産婦人科医の梗子の父は気がつきません。姉涼子にしたって、生きているのが不思議だというくらい体が弱い設定なのですが、それなら○○なんて無理だろうし、第一演じる原田知世は透明感があって美しいですが、全然そんな風には見えないので、なんでこんな設定にしたのかちょっと疑問です。

京極堂と榎木津は、関口に「後は警察の仕事だ」と口々に言いますが、何でそうなのか、関口同様私にも全然わかりません。匂わすような演出もチラっと伺えますが、あれくらいでは種明かしの時、なるほど〜と納得出来る伏線とは思えませんでした。その他、調べられる方の人物たちの造形が甘いので、突飛な行動に同情や共感が沸きにくいです。

私の推測ですが、多分京極夏彦の膨大な原作は、私がいぶかしげに思った数々の事柄を、きっと丹念に描きこんで、ありえないことをありえるように
魅惑的に描いてあるのではないかと思います。その辺が映画では京極堂の印象深いセリフ、「見えるはずの物が見えず、見えないはずの物が見える」という、奥の深いセリフが生きていませんでした。

撮影やセット、登場人物たちの雰囲気などは、終戦直後の活気とはまた別の、淫靡で妖しげな風情が魅力的でした。それだけでもスクリーンで見る価値はそれなりにあると思います。私は昔の東宝の横溝正史の金田一シリーズ(特に「獄門島」)のような雰囲気の作品かと思っていたので、ちょっと肩透かしではありますが、期待せずに見れば、豪華なキャスト共にそれなりには楽しめるかと思います。是非原作が読みたくなるところが、一番収穫でもあり、欠点でもあるかな?金田一シリーズは、映画だけで堪能出来ました。


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