絢爛草々トレイル。

青空は音も無く割れている。
丸くなった鉛筆の先で欠片をなぞる。
密度の小さい境界は粉々になって消える。

融け出す陽射しという名の後ろめたさを包装する。

枯枝はいつまでも掴み取らない。
身につけた季節感は折り紙に閉じ込める。
足の間から見える稀薄さを友に膝を折る。

焦れた遠景は予ねて鈍痛を土産にしわぶきを残す。

鏡に急かされて跳ねる影一つを胸に留める。

再々握り潰しても歳々積み重ねて行く。
欠けた天球に知恵を捧げて回りだす木の実を待つ。
俯瞰を押し付けて駆動する泡沫を並べる。
網に捕われた幻灯機から抽出された彼方を貼り付ける。

航海の先に触れる水滴と接続された異質とが成した落下を唄う。

リネーム窓際祝言。

いつになっても同じあの場所を振り返る。

次第に色を失い崩れて行くいくつもの場所。
かつては容易に触れることも出来た。
今となっては当時の残り香が僅かに留まるのみ。

白く輝いていたあの日々にもう一度触れたくて。
窒素充填したショーケースに保存しておけるはずもなくて。
時とともに薄れ消え行く必然なのは解っていて。
それでももう一度取り戻したい輝く日々だから。

掴んだ手をすり抜けて空に溶けて行く時間。
霧に霞んだ顔はもう笑っていても泣いていても変わらず映る。

時を経たスクリーン越しの再会は痛いほど誤差を感じさせる。
受け入れるしかないと言い聞かせてみても其の笑みは寂しく。

あの日確かに存在したはずの幾つもの容と想いの起伏。
少しずつさらさらと崩れて平淡になって行く。

其処には初めから何も存在しなかった。
いつかそう想うしかなくなる日が来るのだろうか。
振り返ってみてもまっさらな平地がどこまでも広がるばかり。
そうなった時にわたしは何を想っているのだろうか。

この先あと幾度あの場所を振り返り見ることが叶うのだろう。

試験管内ロンド。

とどのつまりは微弱電流の成れの果てです。

変質さもありなんと囁く旧い時計に砂をかけてみます。
身綺麗な寒々しさは抗菌カバーで時期を待つことにします。

電解質を満たしても其れを進化とは云えないのです。

不覚にも再出発を夢想してしまった人を慎重に座らせます。
沸いた季節の接近を理由に二進法で手を繋いだつもりです。

繁り栄えることを放棄して初めて螺旋は動くのです。

先は後に直結しているばかりである事実を見ません。
輪の外に憧れても輪から離れられない水風船です。

周回を続けることも留まり続けることも同一事象なのです。

寄り集まるのは集めたものを都合良く利用するためです。
塵取りに集めて捨てることは合理的であると云えます。

生み出した残り物は繰り返す球体の向こうに届きます。

零と壱の綴れ織。
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