収拾剥離にして前後不惑。

気づけば降り注いでいた造られたもの。
其れは或る一つの形式を繰り返していた。
まるでそうすることが唯一つの正解であるかのように。

寄せ集めた既製品と使い古された音。

気づけば思い出さぬまま濡れそぼった影。
其れが映る対象を手当たり次第に壊した。
まるでそうすることで自らを曖昧にするかのように。

出来合いの量産品と継ぎ接ぎした音。

いつまでも零れては注ぎ溢れては濯ぐ。
流れ落ちた一部は滞り淀み続けて。

此れだけは特別であるという皮相の深層とは。
思い込む自己陶酔若しくは純然たる空虚。
そして残るものは確認の踏み台の充当で。

千路も掌握すべく彩る脳裏には全てが煤けて留まる。

しとどに濡れたままの歪な理想の真相とは。
思い込みの創製翻って停止線の決壊。
其処に残るものは癒えぬ傷を挟んだ彼我で。

離愁の結露を抱く窓の向こうならば辿り着くこともあるから。

フルコース人形諸賢。

擦り減った自身を認めたことは有意義なのだろうか。
閉じた瞼にさえ其れは眩しくて更に掌で顔を覆う。

空白思考の主義主張から受け入れた何もかもを床に並べる。

擦り減った自身に詰め物を施して身の健やかなれと願う。
閉じた心にさえ其れは突き刺さり更に痛み故に縮こまる。

欠落思想の自画自賛からはみ出した幾許かを高く掲げる。

密やかな其の移ろいは微細な形状変化に依存してばかりだから。

腕の中で爆ぜて。
時に蜜月の退転を擦り付けた褐色と憩う。
逆巻く敬虔さの為す業なら繰り事は転々と残る。
足りる泰治へと注ぐ。

唯一意に刻むと誓えることの涼やかなれと。

高揚を事由に論を持たぬは其の機微を把握していないから。

腕に深く沁みて。
空に香煙の閑寂を漂わせた鈍色の意向。
飾る不甲斐無さも良薬を以て足元を固める。
臨む来示すら雪ぐ。

到る先の愁い。

年計不問リパーゼ。

積むものを掴む其の左手よ汚れきっていて。
掴むものを摘む其の右手よ腐りきっていて。

堕ちても落ちない其れは普遍を垂らす。

切るものを繋ぐ其の左目よ潰れきっていて。
繋ぐものを着る其の右目よ濁りきっていて。

説いても融けない其れは譜面を照らす。

白く浮かぶ其れに遮られつつ白を焦がす。

皮相に於いて定められた其処には何が在るというのだろう。
終えた心算を再び数うかりそめの終点とは。
悲愴に酔いて歪められた其処には何が在るというのだろう。
負えた積りを再び囲うあけなしの周縁とは。

組むものを扇ぐ其の左の人よ懊悩を包んで。
仰ぐものを汲む其の右の人よ抱擁を拒んで。

零と壱の綴れ織。
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