居留守枯れ井戸スコープ。

「やっぱりそうなのか。」
「騙された。」
今ごろになって気づいたの?

本当はとっくに気づいていたこと。
気づかない振りをしていただけのこと。
気づきたくなかっただけのこと。

けれど現実はそれを突きつける。

裏表。本音と建前。お世辞。処世術。
仮面の中の素顔。

上手なものだと思う。

例外はないのだろうか。
自分も同じなのだろうか。

自分にはできないことなのだけれど。

特別な存在などないのだろうか。
信ずるに値する本当はないのだろうか。
触れたものは偽りばかりなのだろうか。

自分が馬鹿正直なだけなのか。
生きるには不向きなのか。
考えを改めなくてはならないのか。

嘘に嘘で返すのが正解か。
裏と表を使い分けるのが利巧か。
うわべだけの笑顔を作れるようになるべきか。

「貴方のことを信じていたのに。」
「裏切られた。」

今更わかった馬鹿な自分へ。

クライミング不完全密封。

一足遅かったと自覚して予定変更。
ぽかぽか陽気に誘われて自己否定。

手に汗握る展開もそこになく、
見つけたのは他人のおこぼれ。

あからさまな追い立て作業。

機微に思考は泳ぎだして、
隣を見れば応対のそぶり。

遠く聞こえる聞きなれぬ音色は、
次の曲がり角から無意味を伝える。

「火に油を注ごう。」

登り来る半分に一瞥を呉れ、
重石を手に進むのか。

改めて予定変更。
ゆるゆると窓を伝う黄色を眺む。

様々に落下して行くを見ている。

激痛682ファイバー。

時々思うことがある。
口には出さない。

昨夜からずっとだ。
今日一日ずっとだ。

どうしてそこに並ぶのか。

奥へ連れて行かれる。

忘れていたことを思い出す。

流れが不意に乱れる。
流れが止まる。

言葉が通じないのか。
言葉が届かないのか。

白い二つの動くそれは違和感をくれる。

沈黙は今を作っている。

風向無想遷移嬉々として。

この辺りでひとまず話を終えよう。

不断色した外側には出ていない。
昨日も、一昨日も、出ていない。

目前に在るのは壁か。

振れだす。

空楼は華やいでも意味を持たない。
吐息ひとつも茜に彩なす。

触れだす。

踏み抜く縁は左から薄日に温む。
雪ぎ切れない日々から浮遊している。

その目を覆う。
染む。

傾斜は重ねて有意さえ前後に頼む。
散り散りの顆粒は架空の手の中に遊ぶ。

目前に在るのは数か。

臥して話の始まりを待とう。

レジスター旧知。

今日も嘘塗れ。
嘘に嘘が重なれば、嘘の消し方も無くなります。

いつまでも逃避。
逃げに逃げていれば、元の道への戻り方も忘れます。

だから立ち尽くして。
すぐにくらくらして。
しゃがみこみます。

進む世界に着いて行けないから。
進む世界を見ていると怖いから。
足元だけ見ています。
進む世界を見ないように。

終わりが来るまで。
背を押され、引きずられ、進まされるまで。


抱えたひざに跳ねている泥を見つけました。
それは笑っていました。

火映水煙されど薄弱。

みせばや。みせばや。
遅いって言ってんじゃん。

そこを見てりゃ安心なの?
御目出度くて良い。

あな。あな。
夕涼みにゃ早いんじゃん。

もいだ蜜柑が腐っていようが
責任持って始末する宵。

卒塔婆に自分の名前見つけたとか
嘘ばっか言ってんじゃないよ。

其の手がつかんだあれとこれに
土下座して謝ってお世話様。

竹が育む御水を酌んで
見えたらさぞや麗しき酔い。

けらけら。けら。
見世物気取ってんだし、それなりじゃん。
わかってりゃそこまでの正方形。

ハイドアンド嘔吐。
だから言ってるじゃない。
無理なものは無理だって。
駄目なものは駄目だって。

あたしの視界に入らないでちょうだい。
吐きそうになるのよ。
吐きそう。

だから要ってるじゃない。
偽善は役に立たないって。
仮面で隠せやしないって。

ひと目見りゃわかることじゃない。
見て見ぬ振りしてのりしろ確保してないでよ。

言動の不一致に塗れたいならどうぞお一人で。

重ねてもくっつきゃしないって。
そこに隠れてりゃいいじゃない。

応えて欲しくないのに質問しないでちょうだい。
賞味期限が切れた記憶と感情を
思い出したようにまとめて贈って来ないでちょうだい。

水洗便所のほうがずっと綺麗だから
こもって吐いてくることにするわ。

カムバック成れの果て。
待っていましたよ。
あの大騒ぎ以来、ずっと。

あの時、心無い人々はこぞって貴方を叩きましたね。
貴方を叩くだけでは飽き足らずに彼らは、
あの人まで引っ張り出して叩きましたね。
もう何も言い返せないあの人までも。

貴方がした事は確かに許されないことだったのでしょう。

今日、貴方は帰って来てくれました。
償いを誓って、帰って来てくれました。

貴方のこれからに、期待しています。

おかえりなさい。

零と壱の綴れ織。
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