Love Letters
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2007年06月26日(火) 一夜明けて、抱かれて


 ホテルに戻ってから、

 あなたは朝一番で帰ると言い出しました。

 私は帰らないでと言ったけれど、

 あなたは冷淡な表情のままでした。



 確かにあなたは誰かと寝たわけではないし、

 キスをしたわけでもないのです。

 ただ心が他の人に向いてしまうだけ…

 私の所から離れて

 もっと面白い別なおもちゃを探し出してしまう…



 あなたは決して私を抱こうとはしませんでした。

 本当に一足先にホテルを出て、

 そのまま私の所には戻らないつもりだったのでしょう。




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 お互いに自分を防御し合う言葉をぶつけあうよりも、

 そっと肌を寄せ合った方がすぐに仲直り出来たのに…



 あまりにも疲れ果てた夜明け。

 あなたは憔悴しきってベッドに戻り、

 そのまま寝てしまいました。

 ダブルベッドの端と端。

 私達は別々に眠りにつきました。



 チェックイン2時間前、

 もう会うこともないかもしれない

 あなたのそばに寄り添いました。

 もう二度と会えないなら、

 最後に抱いて欲しかったのです。




 「抱いて。」


 「いや、抱かない。

  触るだけね…」


 そう言ってあなたは私のショーツの中に

 指を入れました。


 「濡れてないよ。」


 「そう…

  欲しいのに濡れてないのね。」


 「奥は濡れてるかも。」


 そしてあなたはいつもより丹念に

 熱くなり始めた私のそこを愛撫し始めました。

 優しく、激しく、

 ゆっくりと、性急に…

 寄せては返す波に

 身を反らせ、幾度もの硬直を繰り返しながら、

 私の身体の隅々まで知り尽くしているあなたの指は、

 いとも簡単に私を頂点へと導きました。



 叫ぶような声とともに感じたエクスタシー。

 乾いたような、濡れたようなあなたの目に見つめられて、

 容赦ないあなたの指は

 気が遠くなるほどの快感の頂点に

 幾度も導いたのでした。



 あなたの執拗な指から開放されて、

 私はあなたのものを口に含みました。


 
 「愛している。」と口にしたら、

 あなたに撥ねつけられてしまう今の自分。

 だから、言葉にはせず、

 想いの全てをこめて

 あなたのものを愛しました。




 すっかり欲望を失っていたあなたのものは

 再び逞しくなり、

 私の中に入って来ました。

 ずっと離れたくない…

 あなたの背中にまわした腕に

 きゅっと力をこめました。



 あなたに何度も突かれ、

 甘い鳴き声を上げながら

 どこかの岸へ辿り着こうとする身体…



 白くぼんやりとした頭の中で

 私は飢えた雌になったような気がしました。



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2007年06月22日(金) 揺れ動く心


 あなたに会っている間ずっと

 心が揺れ動いていました。



 あなたと待ち合わせして、

 イタリアンレストランでランチ。

 いつもと同じ穏やかな風景。

 私しか見つめていないあなた。

 何もかも幸せだった頃に戻ったかのように見えた

 土曜日の昼下がりでした。



 夜、行きつけのバーへ行きました。

 あなたのデリカシーのない行為から

 私の心はいきなり揺さぶりをかけられて…


 「もう、別れるから。」


 あなたと飲んでいる時はいつも抑えていた感情が

 この日は一気に溢れ出したのでした。



 あなたの憤りの表情。

 マナー違反の行為に対する謝罪は一切なく、

 あなたはバーを出ると一人で

 ホテルに向かい歩き出しました。

 たった一度さえ振り向きもせずに。



 出会った頃にも似たようなことはあったけれど、

 それでもどこか違う気がしました。

 何かが完全に壊れてしまったような感じ。

 お互いに対する優しさはいつ消えてしまったのでしょう。



 チャイナタウンに一人佇んで

 あなたにコールしました。

 あの時の捨てられた気分を

 二度と忘れることは出来ないでしょう。



 ホテルで一人で過ごすのは嫌。




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 まるで亡霊みたいに無表情な顔で…



 愛はもう消えてしまったか、

 何か別のものに変貌してしまったのでしょう。
 

 
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2007年06月21日(木) あなたの浮気心


 もうずっと前のことだと思います。

 あなたは言っていました。

 風俗で女性を選ぶのは

 バーで好きなウイスキーを選ぶようなものだと。

 それは大人の男の遊びの感覚なのでしょうか。



 今あの言葉を思い出して、

 あなたにとって女性とはそういうものなのではないかと。

 つまり、あなたは好奇心で

 飲んだことのないウイスキーを飲みたがるように、

 古い女に飽きたら新しい女に興味がわくのかもしれません。



 先週末、あなたに会いました。

 バーであなたは無造作に携帯を取り出して、

 当たり障りのない幾つかの画像を見せてくれました。

 私の心はとても穏やかで、

 何の警戒心も持ってはいませんでした。

 あなたもまた注意を怠ったのです。

 一枚の猥褻な画像。

 それはただのインターネットから拾ったものだったのに…

 不器用なあなたは取り乱したのか、

 さらに私を狼狽させる話を始めたのでした。

 取り繕うどころか

 私の心をもっと掻き乱すような話。



 結論。

 男には色々いるけれど、

 あなたのお酒と女に対する執着心は

 私の理解を遥かに超えたもの。

 私は彼女だからステディな存在で、

 その他不特定多数に対する好奇心とは別物。

 つまりは母親のように絶対的な存在なのでしょう。

 
 「君は俺にとってかけがえのない存在。」


 あなたにもそう言われたし、頭では理解出来るのです。

 でも、心と身体が言うことをきかないのです。

 私に安らぎなんて感じないで。

 退屈と同義語の寛ぎなんて求めないで。

 女として見つめられたいのです。

 いつだって求められていたいのです。

 そうでないと、

 自分が全く価値のない存在のように思えてしまうから。



 私から目を反らさないで。

 そう泣きながら叫んでる心と身体。



 こんな心と身体、

 どこかに捨ててしまいたいです。



 一度も具体的な浮気などされたこともないのに、

 浮気心を持たれるだけでも狂いそうになります。

 私のこの負のエネルギーの源はどこにあるのでしょう。




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 いっそのこと別れられたらいいのに。

 あなたが一番愛しているのは私。

 それを確信できる今のうちに。



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小夜子

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