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2003年02月28日(金) 「歩くのはいたたまれないから歩くので、このぼんやりした前途を抜出す為に歩くのではない」

拝啓 王子様

朝と夜は真冬のような寒さなのに、
昼間の光は春の扉がぎいと開きかけたことを告げています。
私は花粉症のくしゃみをとめるために必死で、
なにやら怪し気な薬を三つも四つも飲み込みこむ毎日です。

お元気ですか。



あなたがすぐ不機嫌になるのなんか知れたことよ。
私の中に自分の負の部分を見るものだから、
居ても立ってもいられなくなるんでしょう。

だけど悪いところを捨てた捨てたと捲し立てたところで、
人はなかなか変われないものだと思いませんか。

なんて。
こんな風に強気なことを書いてみましたが、
じつはあなたからのお手紙を受け取ってから、
しばらく、ある文豪のように腹をかっ切ろうかと思案した程です。
正確には思案してはいないけれども、
「思案した人くらい傷付いた」振りをした程です。



前回、おかしなことを書いていたなら謝ります。
ごめんなさい。
あなたとのやり取りが私にとってどれだけ大切かを知ってください。



私は一ヶ月程続けた田舎暮しを引き払って東京に戻ってきました。

21歳の、普通の女の子である自分の抜け殻をべろっと脱いで
形も定まらないドロドロアメーバのごとき自分の中身だけを逃亡させ、
本屋の一部になったまま息を殺して生きることもできたのに、
そういった生活を捨ておいて戻ってきました。

理由は一つです。
「自分の中身」などという確固たるもの、
体から切り離せるものがないことに気付いたからです。
そして気付いた途端、とても楽になって、何処にいたっていいと思えたのです。

店番仲間の男の子に
私がもうここを出るのだと告げると、
彼もそれが自然の成りゆきであるかのように一緒についてきました。
(あるいは彼も、ちょうどここをでるのだと告げるタイミングだったのかも知れません。)

そして自然の成りゆきのように、
私たちは東京でも毎日一緒に夕御飯を食べます。

それによって関係が深まっているとは言えません。
口論になるということもありません。
ただただ、それは通過儀礼のように
毎日行われて、私たちは主に書物についての話をして
それぞれの家に帰ってゆきます。

それは私にとって幸せなことだと思います。

一人の帰り道も結構好きです。
東京では夜空を見上げてもオリオン座は見えず、
代わりにラーメン屋さんを数える楽しみを見つけました。

秋に金色だった銀杏並木は、街灯に照らされて幹の部分が青白く浮かび上がり、
美しく通りを飾っています。



夏目漱石の「坑夫」を読みはじめました。
「海辺のカフカ」に出てきたからです。

手紙というのは何かを伝えると言う目的があるはずなのにね。
これでははがき一枚の転位届けと変わらない、
ただの言葉遊びです。
それにしてもなんだって、言葉は意味を持たなきゃいけないのかしら。

ともかく、私は引っ越したのです。
たった一人で、東京に。

かしこ

れいこ



2003年02月27日(木)

ニュース10 - 大リーグ、ジャイアンツのホームラン王、バリーボンズ選手のインタビュー。

「僕にとって野球は単なるゲームだよ。
それによって世界が変わるわけじゃないからね。

でも野球は人々を喜ばせることも出来るし
悲しませることも出来る」



本は世界を変えられない。
音楽は世界を変えられない。
映画は世界を変えられない。
ファッションは世界を変えられない。

だけど私はこれまで、
いったいどれだけそれらに助けられて生きて生きたんだろう。



2003年02月25日(火) 急展開

前略 れいこ様

君は僕がずっとずっと言い続けていたことを、
なにひとつ受け取ってくれてはいないんだね。
それじゃあ何度も繰り返して
手紙をやりとりする意味って一体何だい?



僕は自分の中に
忘れても忘れても、貫き続けるべき芯を確かに感じる。
だから喋り続けたし書き続けた。
中身も意味も、僕という人間さえ、何もなくてもだ。

気持ちを投げる気がないのなら、
もう書くのはやめてしまったらいいよ。
死んだ方がましだから。



演じるだって?
君に出来るはずがないさ。
むなしいと思って演じるのなら
それはただの絶望だ。

今日は頭痛がひどくて取り乱している。
抽象的ですまない。

後で自己嫌悪になったら
また書き直すけど、言ってることに嘘はひとつもない。
それはいつものことだ。

言いかけたことはもう後には戻せないと、
僕は思っている。

敬具



2003年02月23日(日) 特許窃盗罪

近代と近世の違い
モダンとポストモダンの違い
精密の意味が分からない
やってることは長渕剛だ
「そんなの全然ぐっとこない」
鼻筋や目の位置
文化人
松尾スズキとタッキー
「からっぽだあ!からっぽだあ!」
「最大多数の最大幸福」
芝居という芝居を演じる
こうやったら喜ぶんでしょう?
気付いてないふりをしているふりをしているふりをしている
宗教
御破算
ユーミン
そんなこと微塵も思ってないくせに
ベンサムといえばミル
自分から逃げてもう一人の自分を作り出す
自分は此処にいて外の世界に触れる
退屈でもないし、悲しくなんてない
絶対そうだよ、読んでないけど
中本さん
汎用性
だってバカにしてるでしょ
アネックスビル
ミキちゃんの悪魔メイクの是非
シングルマザー
圧力
何を言ってるのか分からない
飲んでいない時間
ひとごと
私しか残らない
夜中の3時
この平坦な戦場
歪んだ鏡の寄せ集め
物語
肌触り
鬼気迫る
そうやってなんの迷いもなく進んでいけたらいいよね
人生自体が現実逃避
やりゃあできる
浅田彰
町田町蔵
松尾松男
面食いではないことの証明
いい言葉だね
見えない人間
刹那
ネガティブ
イライラする
ママラグ
ダンスの快楽
奥菜恵
ロックとは何か
たいしたことない子ばっか
反吐
ちゃま
嘘つけない感じ
排泄行為




2003年02月22日(土) 「多分このまま素敵な日々がずっと続くんだろう」

拝啓 王子様

どこかの珍しい桜が咲いたと新聞が伝えていました。
それでもこたつから離れるには、まだまだ時間がかかりそうです。

お元気ですか。



今日は休日です。
朝起きて、昨日の夜の黒ごまリゾットのあまりを食べました。
ひとり暮らしには、私の体もすっかり慣れたようです。
テレビも携帯電話もありませんが、
特に不便はありません。

考えてみれば、
あなたの声を聞くことも顔をみることも、手紙を読むことさえも
私にとってはたいして重要なことではなかったのだと最近気付きました。

ただ大切なのは、あなたという概念、あなたという思想。
あなたという亡霊、あなたというゲーム。

ところで、いったいあなたという人は
本当にいるのでしょうか。



午前中いっぱいかけて部屋の掃除をしていたら
随分昔、あなたにもらったウールのセーターが出てきたの。

懐かしい気持ちになりました。

懐かしい気持ちになったのに、
何故だかもらった時の情景や
自分の心の動きを全く思い出すことができませんでした。

ごめんなさい。
何故なのだろうと、本当に不思議です。

あのときは私の誕生日で、
「嬉しかった」と日記にもあります。
しかし包装のリボンを解く時の指の感触や
何度か袖を通したはずの毛糸の暖かさは
どこか遠くのブラックホールにすっかり吸収されたかのように、
忽然と姿を消してしまいました。

そもそも何故、このセーターを着なくなってしまったのかも
覚えていないのです。

記憶というのは、信用できないものね。



先日は二時間半電車に揺られて、東京に芝居を見に行きました。
「ニンゲン御破算」。

松尾スズキは舞台の中で「松尾スズキ」を演じています。

私も私という人間を、
完全に演じきることにこれからの人生をかけることにしました。
毎日の生活は、
私という人間を演じている空っぽの私の寄せ集めに過ぎない。

ああ!なんて楽しい毎日なのでしょう。



電車の窓に流れる郊外の風景は、本当に美しかった。

河岸にぱらぱらと作られた真新しい住宅群や、
やたらと広いゴルフ場のような公園。
平日の昼間なのに、人の匂いがしないの。

ガラス一枚で隔てられた空間は、ぬくぬくと暖かくて、
つい眠りに落ちてしまいました。



私の手紙からは
私の考えていることが分かりやすく伝わっていますか。
私はあなたの考えていることを、
実はひとつも理解できないでいます。

それじゃあなぜ
私はあなたのことを、
こんなにも素敵だと思うのかしら。



いつまで今の生活を続けるかについて、
考えないといけない時期に来ています。

ではまた。次回には状況が変わっているのかもしれないわ。

かしこ

れいこ




2003年02月21日(金) ニンゲン御破算、鬱も御破算。

ああ、ついに見てしまった。
生の松尾さんを・・・




昨日の私。
11:00〜14:00 リクルート筆記
15:00〜17:00 良品計画説明会

  17:30〜    シアターコクーンで当日券を求めて並ぶ
19:00〜22:30 「人間御破算」

22:45〜23:45 スタバで履歴書仕上げる
  23:55     渋谷の郵便局へ
  0:30      高田馬場着→夏目坂のデニーズで一晩
 


夜中までカロリーメイトしか食べる時間がなかったという凄い一日でしたが、
もうそういう凄さとかさ、関係ないの!
お腹空いてるとか、ストッキングすーすー寒いとか、
好きなひと待ってる時は感じない。

二階の立ち見席だったけど、初めてだし贅沢は言えません。



それにしても素晴らしく面白い舞台でした。
あんな複雑な世界が松尾さんの頭の中にはあるんだなあ。
天才だわ。

幕末を舞台にした時代劇。
人生はナンセンスで理不尽だという
彼がいつも言っている世界観が、あちらこちらに見られました。
そして単純に、「ははは」と絶え間なく笑えます。

個人的には
松尾さんのおかしな動きを生で拝めたことが、最も光栄でした。
今月末までに時間がある方、是非どうぞ。
普通にお薦めです。

見たら熱いトークを繰り広げましょう。





2003年02月20日(木) 起きられなかった一日。体が重い。

今週のSPA!(2/25号)で、鴻上尚史の連載
「ドンキホーテのピアス」が印象に残った。

簡単に言うと、
人間の結びつきとして
直接会う、電話での肉声>インターネット
という当たり前になっている前提は本当だろうか、ということだった。

「直接会うことが、一番生々しいのではなく、
自分が生々しいと思うことが、
一番生々しいのです」
と彼は書いている。

ある人がインターネットの不特定多数に向けて語りかけるのは、
周囲の特定多数に絶望しているからだ。
しかし、「私が住む共同体以外の場所に、
私を分かってくれる人がいる」という考えは矛盾している。
なぜなら・・・は来週に、と終わっていた。



基本的に、
インターネットという場所は匿名だから信用できない。
しかしそこが完全に虚の世界かと言われたら、
そうでもないように私は思うのだ。

最近手紙日記を書くようになって、
嘘を堂々と書けるのはこんなに楽なものかと自分で驚いた。
「フィクションでいいんだ」と思えば思うほど、
自分の内面にあったものが出るわ出るわ、という感じ。

(文章は拙くて申し訳ないです)

いろいろな伝え方があると思う。
ただ、
「これはほんとの私じゃないの、あなたにだけは分かって欲しいの」
という気持ち悪いことを考えるのを
最近はやめたんだ。



そうよ。
王子に直接会えなくたって、
王子は確かにいるんだわ。



2003年02月19日(水)

拝啓 王子様

春の足音が聞こえてまいりました。
一年で一番、ボーダーTシャツが着たい季節です。

お元気ですか?



私は相変わらず、雀の泣き声だけが響く田舎で
時を過ごしています。

田んぼの中を帰ってくる中学生の制服姿が
映画「ユリイカ」の映像と重なります。
目に写るものは白と黒。

静寂と退屈の中にこれほどの狂気が潜んでいる。
青春とは
熱さ、血、笑い、涙、汗、それらとすべて無縁の
ただの窮屈さだ(私にとってそうだったかもしれない)と
ここに来て感じました。



古本屋には毎日出かけます。

私は開店から閉店まで、フルタイムで働くようになりました。
レジ打ち仕事もお客さんの数も、
毎日会う彼の透けるような白い肌も、
変化なく淡々と連続していきます。



「空腹だっていう共通前提の上に、
今僕らは完全に分かりあえると思わない?」

ある日の閉店後、彼がいった一言がきっかけで
私たちは夕食を共にすることになりました。

駅の反対側にある『ミキノヤ』という洋食屋。
オムレツ定食を看板にしているお店で、
ほとんどのメニューが500円程の良心的なお店です。

(そうえいばあなたと良くいったのも、洋食やさんだったわね。
私はフレンチやイタリアンの逢引に縁がない女の子なのかしら)



「君は料理が得意?」

「どうかしら、他の人に食べさせたことがないから分からない」

「手料理で大切なのは手際の良さだよ。
うまさなんて大して変わらないさ、日常の三食では。」



彼はまるで今までたっぷり溜めていたんだ、
というくらい色々なことを話すのに
言葉ひとつひとつはまるで
本当はなかったかのように空気に吸い込まれて消えてゆきます。

本人ももう一度思い出すことは絶対にない、というような儚さで。

美しい音楽にのっている、英語の歌詞のように、
そこからは涙の出そうな何かがが伝わってくるのに、
本来の言葉としての意味は、全く為していないのです。



「君は手際が悪そうだな」

悪戯っぽく言った彼に、私は「ふふ」と声を出して笑い
失礼だわ、という顔をしました。



AMのラジオからは天気予報と、
「こどもからだ相談室」が流れていました。



あれから私たちは毎日、
一緒に夕食を食べて帰るのが日課になっています。
特別なこと、具体的なことは何も話しません。
彼が何処に住んでいるのかさえ、知りません。

休みの日の彼は
ニューヨークでギャングをやっているかもしれないし、
アフガニスタンでNGO活動をやっているかもしれない。
東京ドームで歌っているかもしれない。

それは私にかかわりのないことです。
それはわたしにかかわりのないことなのでしょうか。



他愛のないことを長々とごめんなさい。
古本知識が、蓄積されたらあなたにも紹介するわね。

ではまた。

かしこ



れいこ



2003年02月18日(火)

前略 れいこ様

スペインに来た。
マドリッドの「125ホテル」から書いている。
こちらはまだまだ寒くて、
ファーコートの婦人をよく見かける。
男はくたくたになったレザーのジャンパーを
かっこ良く引っ掛けている人が多い。



君は元気だろうか。

突然のエアメールに、驚く顔が目に浮かぶよ。
(それとももう僕のこういう傍若無人ぶりにも、
すっかり慣れて免疫が出来たのかな。
それもつまらない)

実は夜汽車で、京都まで行くつもりだったのだけれど、
突然気が変わってしまった。
金沢まで例の少女を送り届けて、
それから成田に戻った。

彼女には結局、何も聞けずじまいのまま、
向こうが話す他愛のないおしゃべりだけが時間を埋めた。

ジャンリュックゴダールの映画では居眠りをしてしまう、とか、
あなたの鼻はゲンズブールに似てるわね、綺麗よ、とか
これといって広がりようもない話題だったように思う。

でもなかなか面白かったから、へえそうなのと聞いていたら
朝になってしまった。
結局二人とも一睡もせずに。

僕は窓の中から「さようなら」と丁寧に口を動かし、
手を降って別れた。

胸踊る瞬間も、人と人との素晴らしい出会いも、
語り明かした夜の、あたたかい息で曇った列車の窓も
こうして通り過ぎ、時を経て、なくなってしまうのだ。

こうして通り過ぎ、時を経て、なくなっていくことで
僕はまた新しいことを始められる。

それをとても、自由だと思う。



太宰は今、「物思う葦」を読んでいる。

スペインを選んだのは、
コスタデルソル(太陽の海岸)という地方を訪れてみたいと
長年思っていたことが理由と言えば理由だ。

しかしまあ、僕の場合(君も知っての通り)行動の殆どが思いつきだからね。
幸い航空券もすぐとれた。

この国は、カトリックのせいか日曜の安息日を厳格に守る。
うっかり土曜に買いだめを忘れると悲惨だよ。
通りの商店がすべてシャッターをおろしてしまう。
僕のいるホテルはマドリッドの中央広場に面して建っている、
つまり思いきり中心街の筈なのに、そんな調子だからね。

ホテルといっても素泊まりだけの安いユースホステルだから、
食事は自分で作る。

今日(土曜)は10時頃にもそもそと起きて、買い出しに出かけた。
大型のスーパーはないから中央市場に。
野菜、肉の塊、生ハム、それからオレンジをたくさん買った。



ビーフストロガノフ。

どうしても煮込んだ甘いにんじんが食べたくなって、
2時間くらいことことやってたよ。
半日をビーフストロガノフづくりで潰すっていう日も
人生でそうあるものではない。

「あなたはそうやって、好き勝手に生きられて
やろうとしたら才能もあって、でもやろうともしないでずるいわ
私みたいにやりたいやりたいと言って、
痛々しくもがいてるのが馬鹿馬鹿しくなる」

君が言った言葉が忘れられないけれど、
ビーフストロガノフの僕を見られたらあまりに無益なことばかり悠長にやっているから、
また怒られるのかもしれない。



明日は、ウフィッツィ美術館を一日かけて巡るつもりだ。
こちらは田舎に行くと英語が通じなくなるようで、少し心配している。



なんだかひとりよがりな話になってしまった。
申し訳ない。
君の日常も、聞かせてほしい。
私のはつまらないから、って良く言うけれど
そんなこと思うのならはやく出家でもしたらいい。

隣の部屋にアメリカ人のバックパッカーのカップルが
チェックインした。
人との出会いがあったら、また書くつもりだ。



草々



2003年02月16日(日) 「スカパラの人はかっこええなー」

拝啓 王子様





寒さが逆戻りね。
せっかく春物のTシャツを買ったのに、
お披露目はしばらく先になるのかしら。

お元気ですか。
旅先で風邪などひいていませんか。

あなたの便りに誘われて、私も家を出ました。
電車に乗って、長距離バスに乗って、此処までたどり着きました。

「誰だって根無し草なのだし、
私は人生にホームなんて求めていないからいいんだ」
そう自分を納得させても、あなたのようにぶらりと出かけるには
なかなか勇気がいったのよ。



綺麗な田舎です。近くに産廃処理場があります。
退屈で、のろのろとして、まわりは緑ばかりが目立って。
でも、おかげでとても内省的になれるの。
今は泊まるところも落ち着いて、
求人広告で見つけた本屋さんで働かせて頂いています。

アメリカ文学専門の、小さな古書店。
田舎町の古びた駅の東口、出てすぐの所にひっそりと建っています。
電車が来るまで時間を潰すお客さんがけっこう来るわね。
日に、30人くらいかな。

なんでも聞くところによるとそちらの権威にはなかなか有名な店らしく、
たまに電話がかかって県外から注文をしてくる人もいます。

実際に買う人はごくわずかだから、
特に仕事もないし私はレジの前でずうっと読書をしているだけ。
オーナーさんも「席を離れないでいてくれれば好きなようにしてていいよ」と言ってくれました。
寛容な方なの。



古書店には私ともう一人、雇われの男の子がいます。
私はレジで、その子はずっと、買い取った商品の袋詰めだとか
納品だとかをしているの。
線が細くて色は透けるように白くて、
前髪が目に入りそうな流行風(こんな表現ておかしい?)のヘアースタイルです。

昨日は仕事のあがりがちょうど彼と一緒になって、
喫茶店で話して帰ろうということになりました。

まるで生まれて初めてのデートみたいだったわ。
ドキドキして。
私だけドキドキして!
お互い目は合わせないで、下を向いて話すのよ。
誰かに見られたらお笑い草だわ、もう21なのに。

「渋谷でたくさん見たんだ、リクルートスーツの人を。
自分とおんなじ格好した人が、あんまりたくさんいるから
僕はもういいだろうと思った。
僕はスーツで書類をもって歩かなくても
渋谷は渋谷として機能するだろうって」

「うん」

「青の稲妻っていう映画はいいよ。
ここに来る前に、最後に見た
あれが僕の青春に、一番近いと思う」

「うん」



あなたが女の子の話を書くの、
許せないって言おうとしていたの。
でも私も異性のことを書いたから立場が弱いわね。
ふふ。

夜汽車は何処の駅に着きましたか。
此処から遠いところでしょうか。

僕らの心の中には辺境がある、と村上春樹が書いています。
私の大好きな言葉です。
私の半径5メートルの、変わらない景色は何処までも続く。
何処まで行っても私は私として、あなたに手紙を書き続けるでしょう。



しまりのない文章ですが、読んでくれて有り難う。
おすすめのアメリカ文学を、是非教えてください。



ハッピーヴァレンタイン。
チョコレートを同封します。



2003年02月14日(金) だらだら文。メモ。

■(インタビューでお世話になった)林太郎さんが
「おまえMDいる?」って(コンポが壊れたらしい)
ビニール袋いっぱいに詰めてくれた。
50枚くらいあるかも。

凄いわ、もう。
本当に有り難うございます。
しばらく文化レベルが上がる。

TRAVIS ”THE MAN WHO”
BECK "MUTATIONS"
Blur "13"
サニーデーサービス「24時」

(皆様にはおなじみだと思うけれど)
私は初めて聞いたのですが、どれも非常に良くて涙がでそう。



■Invitation創刊号(ぴあ)

なにげに0号も買って準備していた私。

売れるのか、かっこいいのか、
そこらへんはよく分からないもやもや系の雑誌なのだが、
680円でこの情報量はお得ではないかしら。
執筆陣が豪華だし。(映画評が青山真司とか)

それにしても500円以下を貫くロッキング・オンの雑誌は
労働者階級の味方だと思う。



■集英社対策

ノンノを購入してみた。
私は中学の頃に毎号買っていたのだけれど
あのころより随分現実的になったなあと感じた。
「もて髪」とか、「くちびる力」とかさ、つねにこう男性の目があるのね。

昔は「ビーチ帰りのマイアミの女の子をスナップ!」とか
結構何の役にも立たない特集があった。

恋のテクニックやエロな感じは黒いページで特集する。
これはananよりも打算的かもしれない。

世間の男どもよ、ノンノ少女に騙されるな。

anan本気で読んでる22才が、実は最もけなげだったりするのだぞ。
(なんとなく林真理子っぽい芸風)


ああ、もうこんな時間。
おやすみなさい。



2003年02月13日(木) 血を採る。

花粉症の薬をもらうために大宮赤十字病院に行った。
不完全な人がたくさんいると
少しも不完全だっていうことを気にしなくてすむ。

「車椅子の人を本当にフラットな視線で眺められる社会ならば
ドラマの(主役ではなく)通行人に彼らが出てきてもいいはずだ
それが普通の道路だろう」

友達が言ったひとこと(後日松尾スズキのぱくりと発覚)に
目からうろこが落ちる思いだった。一年前。



私はどうやらマイノリティらしい。

古本屋さんが好きで、ドレステリアの服が好きで、
松尾スズキさん!と騒いで、
ママレイド・ラグを聞いて、
「ミナの新作はアーミッシュからインスピレーションを受けたんだって」
とか言っている女の子は
10万人くらいはいるけれど1000万人はいないらしい。

今までは自分と同じような子が10万人もいることを嫌がってきた。
しかしそれよりもむしろ
1000万人は私の前提を全くわかってくれないのだという心配を
しなければならないのだということに、
就職活動をしていて気が付いた。

最近「ロッキング・オンの雑誌がつまんなくなったよねー」という声をよく聞く。
私のまわりで、よく聞く。
でも同じ人が「一部上場するんじゃない?」と言う。
矛盾しているけど、
それがマイノリティの意見ということだ。



自分たちが絶対に正しいと思うことが
どこにいるかわからないものすごくたくさんの人によって
妨げられてしまうこと。

車椅子の人、目の病気の人、耳が遠い人、
病院で診察を受けるのさえつらそうなおじいちゃんや、おばあちゃんや
私の隣の小さい子を見ながら
1億分の一くらい、彼らの気持ちを想像できた。



病院はおそろしく、居心地がよかった。



私はマイノリティや弱者や、裏方やだめ人間や、
負け組みや閉じてる子に本を作りたいといつも書いている。

しかしそういう読者が実はものすごく少なく、
私のひとりよがりの意見なのかと不安になることも多い。
何度も何度も、立ち止まってしまう。




ともかく松尾スズキがユリイカに載ったことは、
光なのだ。



2003年02月10日(月) もとねたは「上番報告」です。

ぼく球
輪廻を超えたストーカー
高野文子「黄色い本」
浦沢直樹「モンスター」と村上春樹「羊をめぐる冒険」の類似性
君は困った人だね
悪くない
好きな人はいない
社会人クラッシャー
じゃあ私も呪う
乙女の文化会、読書会
ロッキンオンでエロ本を作る
どこにも書いちゃだめだよ
でも大学生ってそういうもんだよね
あなたの言ったことは、一言一句忘れてないわ
ガラス張りの建築
木場公園
明るいだめオーラ
強度
バームクーヘン
田中紘邦の人気
ママレイドラグなんて難しいのはやめておけば良かったのに
relaxと渋谷洋一
ユリイカと松尾スズキ
アーミッシュと皆川明
松浦弥太郎とラフォーレ
B'zのファンは何処にいるのか
マイノリティだという自覚
私をみて!の映画、文学、音楽
糖尿病
ギャル
精神的に絶交
あたしは君のメロディやその哲学や言葉すべてを
守るためなら少しくらいする苦労も厭わないんです。
古本を買う人
文化を選び取る
本当の自分などない
健忘症
芯のある人が好きだ
褒められても困る
私みたいな子はいっぱいいる
一万人いても百万人いない
FOIL
non・no
戦争について聞き忘れた
うどんにこしがある
ちくわの天ぷら
「路地へ」
酔っている時しか話していない
ファミレスでビール
無職への道
言わないでくれたらそれで済むのに
再会
風俗のカード
身も心も
他の人に興味がない
嫉妬しない
笑わない
心の底から人を愛した方がいいよ
アダルトチルドレン
頭が悪いと言わない
ほんとにわかってる?
普通の大学生じゃん!
おだやかな日々
days
日記
権力に弱い
泣いたってことは誰にも言わないでね
その時の気分による
君は可愛い




2003年02月09日(日) 面白いからだらだら書いてしまった。拙すぎてすみません。遊びです。

前略 れいこ様

夜汽車の中にいる。
太宰の全集を読破するための旅だ。
酒を飲んで少し酔っている。
いつもの通り。

古い、紺色の車体。
電車の中で眠るなんて何年ぶりだろう。

窓からはオリオン座が見える。
君がよく星の話を出すものだから(池沢夏樹、読んだよ)
僕も星座下敷きとか言うくだらない文具を買ってしまった。
正直、理科が嫌いだったから
オリオン座とか北斗七星とか、
君の言うことが少しもぴんときていなかったんだ。

ふうん。と知ったふりをしていた。
御免ね。
あまり楽しそうに、君が話すものだから。

走っている途中にきぃ、きぃとベッドがきしむ。
他に客もあまり見あたらないし、
もしかするとこのまま廃車置き場に連れて行かれるのかもしれない。
それならそれで、僕はいっこうに構わない。



さっき食堂車でオムライスを食べた。

もう4年も前になるけど、
君と食べた「レッドピーマン」のオムライスはうまかったな。
早稲田の洋食屋は数年来行っていない。
懐かしくて、何度も夢に見る。

学生の頃の、あのだらんとした夏の夜は何だろうね。
不安で不安で、「意味なんて何もない」と
繰り返し日記に書いていた割に、
僕は女の子とのんきにビールを飲んでいたんだよ。

今でも変わらないのは貧乏なことくらいだ。
同じ貧乏ならマクドナルドより
500円定食を食べたいと思う。
それも変わらない。



二つ前の駅で、君くらいの年齢の少女が乗り込んできた。
僕の向かいのベッドだ。

潔い黒髪のショートヘアーで、
色がとても白い。
ニーレングスの、白のワンピースをつるんと着て
キャメルのロングコートを羽織っている。
旅行着というよりはパーティー用の正装という感じだ。
荷物もレザーの赤い鞄ひとつ。

驚いて凝視してしまった。

美しかったせいもあるけれど。

さすがの僕でも心配する。
いくら社会の「正しい」道から外れているとはいえ、僕だって常識はある。
二十歳やそこらの少女が
平日の夜中に古ぼけた寝台列車にいるなんて、(今はテスト期間中だよね)
絶対におかしい。
尋ねてみると、
「金沢のおばあちゃんに会いに行くの」と微笑んだ。
鼻にかかったセクシーな声だ。



眠くなったから今日はこの辺でやめておこう。

こんな風に女の子の話をしたら、
君に失礼なのだろうか。
僕はそこら辺の所、とても疎いので分からない。

いつも君は僕を褒めるばかりで、
なにひとつ否定しようとはしないんだね。
僕はそのことに、とても物足りなさを感じる。

きついことを言っただろうか。
それでもまた、書いてくれると嬉しい。
僕はしばらく戻らない。



敬具



2003年02月07日(金) ママレイド・ラグにはまる。

今日の私はひどかった。

テレビ東京の面接。

神谷町を神保町と間違え、(どうにか間に合った)
「たけしの誰でもピカソ」を
「たけしのテレビタックル」(テレビ朝日)
と間違え、(とりかえしがつかない)
やりたいことなどひとつも言えなかった。

それと日経BPに書類で落ちた。



落ち込んだ帰り道、
電車で読んだ一冊の本が気持ちを持ち上げてくれた。

松浦弥太郎「最低で最高の本屋」(DAI-X出版)。

この人の文章は「装苑」の書評欄で見ていて、
ただのおしゃれな”カフェー風”の人かと思っていたのだが、
どうも違うらしい。
就職活動を続けていく上で、非常に参考になる本だった。



長丁場になった時のために
何をしたいのかを見失わないようにしたい。

以下、自分のやりたいことをもう一度書き出しておく。
ごくごく個人的メモ。
(を他人に公開して意見をもらおうという姑息な手段)



■隠れている面白いことを、自分の足で掘り出して伝えたい。

ホームページのインタビューや合コンの片隅などで
まわりの人に直接話を聞くと
ロックバンドの話、ガンダムの話、料理の話、数学の話、同棲生活の話、
うどんの話、映画映像の「黒」の話など
面白いことがたくさん出てきた。

有名な人が言うことを
自信満々に伝える本はすでに沢山あるし、
他の人が作ってくれると思う。

私がやりたいのは「一般の人」のあいだに眠っている
面白いことや素敵な人を掘り出し、スポットを当てることだ。

自分が面白いと思って取り上げたことが
たくさんの人に共感を持って受け入れられることが
私の喜びだと思う。



映画のレイトショーの帰り、伊勢丹新宿店の前を通ると
今まであったマネキンの片づけをして
D&Gのブランドディスプレイをしている人たちがいた。

ファッションになんて興味がなさそうな、
作業服のお兄ちゃんたちだった。

ショーや展示会で現れるのは
ファッションのごくごく末端の部分でしかない。
その後ろにあるもデザイナーの苦労、支えるスタッフ、
町工場の職人芸が支える手仕事、下町から消えつつある織布工場。

裏舞台を自分の足で歩き、
見たままのリアルを伝えることでファッションはもっと面白くなるはずだ。



■世間のニュースを別の角度から眺めて、つっこみを入れたい。
最大公約数の情報を求められる新聞にも、
タブーが多いテレビにも出来ないことを、
活字という媒体で伝えたい。



■本当の志望動機は、
社会的だめ人間を受け入れられる場所が本の中にはあると思ったからだ。
社会的にはマイナスになるようなことが
プラスに働くのが活字の世界ではないか。

でも社会不適合人間は編集者になれないというから
これはずっと隠しておくのかもしれない。
抽象的だし。

ある大手出版社の会社案内で、書籍編集者の方のお話が掲載されていた。
「今でも人と話すのは恐いです」。
少し安心した。



メモ終わり。



ついに松尾スズキが「ユリイカ」(青土社)で特集されるらしい。
インテリゲンツィアの仲間入りか。
いいなあ。

「東大の先生と話したが、
相手の言っていることがほとんど分からなかった。」
とSPA!に書いていた。
そういうとこが好き。



2003年02月06日(木) いつまで続くんだろう。

拝啓 王子様

立春だというのにこたつから出られない寒さです。
節分には豆をまいて、鰯を食べました。
あのお魚は骨が多い。

お元気ですか。

お返事、いつも楽しく読んでいます。
あなたには文章の才があると思うから、
いつか素晴らしい小説を書くんじゃないかしら。

これはひいき目で見て言っているのではなくて
本当にそう思うの。
私は人を見る目だけは優れているのです。

ああでも、あなたが芥川賞作家さんになったら
今よりもっと遠くに行ってしまうのね。

完全に個人的な嫉妬心から
少し、作品を投稿するのを先延ばしにして欲しい気持ちもあります。



今日はインターネットのお友達が
東京にいらしたから、数人で集まってお茶をしてきました。
ドラゴンフライカフェ。

帰りに出口が分からなくて、おろおろしたのが失敗ね。
ああいうところは
だって、
「慣れてます」っていう態度が一番重要じゃない?
そんなバカなこと気にしていたら何も出来ないよって
あなたは笑うのかしら。



解散した後にはテアトル新宿で「呪怨」を見てきました。

先日映画好きの方とお会いしてから、
影響されて映画館に通うようになってしまったの。
完璧な非日常に浸れる。
読書と同じように、大切な時間となりつつあります。

内容。
恐かったです。
でも映画自体より、隣の女の子2人組が
体を震わせてすすり泣いてるのに一番びっくりしたかしら。

それから並んでいる時に隣だった人が
出版社の漫画編集者の方でした。
話している内容がたまたま聞こえて、分かったのだけれど。
映画のチケットを、領収書で切っていました。
やはりいい職業だと思います。



そう、漫画と言えば出版志望だというのに
私はコミックスの知識が足りなすぎるので
先日まとめ買いを敢行しました。
まだまだ足りないのだけれどね。

ヴェルサイユのバラと、
山本直樹を何種類か、
それから「つげ義春の温泉」。
この振れ幅が、(たいして振れてないか)吉と出るのか凶と出るのか。

山本直樹の世界の閉塞感はそれはものすごいもので、
この世に救いがあるとしたら
「気持ちいい」とか「痛い」とか「セックス」とか
それだけなんだっていう、非常に私としてはきついテーマでした。

久しぶりに行ったのですけれど
本屋さんのコミック売り場は異様な雰囲気が漂っていました。
現実世界とうまく折り合いがついている人は
あそこで10冊も漫画を抱えているはずもない。

二日連続で映画を見るはずもない。

誰かが書いていました。
小説というのは現実を補完するためにある。
もし、目の前の現実に完全に満足しているならば
もう一つの物語をなぞる必要もないのだから、と。



あなたは何故、本を読み、音楽を聴き、
映画を見るのでしょう。

私とは全く違う理由かもしれない。
おもしろそうだから是非、聞かせてね。



そう、バレンタインが近づいているから
どんなチョコが欲しいのか考えておいてください。
去年はガトーショコラだったかしら。

明日は福山雅治の誕生日、
明後日は私の父親の誕生日です。



体に気を付けて。
頑張って
とか、言いたくないけれど他の言葉言えるほど語彙がないの。



とりとめのない文面でごめんなさい。
将来の小説家様。



かしこ

れいこ



2003年02月05日(水)

拝啓 王子様

余寒厳しい折、いかがお過ごしでしょうか。
インフルエンザが猛威をふるっているようで、
あなたのからだが心配です。

私は幸い風邪もひかず、毎日元気にやっております。
でも日常生活を平穏な精神状態で送り続けるというのは
正直至難のわざね。



お元気ですか。



最近立続けに人の優しさに触れる機会があって、
とても嬉しくなりました。

「お薦めの本を教えてください」と気軽に聞いたつもりだったのに、
とても丁寧にメールくださった方。
「就職活動は粘った人が勝つよ」とわざわざ電話をくれた方。

こういう気持ちになる度に、
ああ、謙虚にいよう、腰の低さで世界一になろうと決意を固めます。



昨日はゲーム会社のセミナーがあって、その前に新宿ルミネの
青山ブックセンターに足を運びました。

書店には毎日行ってしまいます。
一番、落ちつく場所。

「編集会議」を買いました。

最近始まった連載、「本が生まれる場所」が好きです。
筑摩書房の松田哲夫さん(ブランチに出てる人ね)が
自分の企画書を公開しながら体験談を執筆なさっています。

がつがつ仕事をしてどかっとお酒を飲んで、
早口で話して、いつも忙しそうで、という人が
勝ち残っていきそうな業界にいながら
あの穏やかさ、折り目正しさは何なのか。
尊敬の一言につきるわ。



今日でテストが終わります。
あなたのために親子丼とだしまき卵を作ったから、
一緒に食べませんか。



ではまた。
こうやって手紙を書くだけで気分が高揚するのです。
あなたって、凄い力を持っているのよ。


かしこ



2003年02月03日(月) 「悲しみにさようなら」

■とても魅力的な人が
「恋人にいつ捨てられるかってびくびくしてますよ」と言っていて、
ふうん。
謙虚な人とは気が合う。
そして、かくありたいと思う。

■ママレイド・ラグについて深く勉強。
snoozerひっぱりだして線まで引いて。
でも全く書けなかったよ、ロッキング・オンのエントリーシート。
もういい。
いい読者でいます。
鹿野さんは憧れの鹿野さんです。

■あの子に
「私お金貯めて古本屋やるから」
とメールした。

「れいちゃん、ブックオフの店長になるのね」

あなたのそんな毒がすきよ。

■read meというものを人から勧められたので、入ってみた。
参戦、というのか。
戦いなのだな、ウェブの世界は。



ああ、バレンタインが来る。
王子様、そろそろしんどいから
姿を現してください。
現さなくていいけど。

こんなにずっと、待たせるなんて
あなたは私が嫌いですか?
嫌いじゃないよ、好きになれないだけだよって?



2003年02月02日(日) 妄想は続く。

拝啓 王子様

去年の2月は暖冬で、花粉が早くから飛んでいたのに
今年はいつまで寒いのかしら。
アレルギーも嫌ですけど、
いつまでも暖房はのどに悪いわ。

元気?
お返事ありがとう。

私は「忙しいんでしょ」とまわりから言われるほど
忙しくありません。
そのことに少し、焦ります。



今日のNHK人間ドキュメントは
岡八郎の吉本新喜劇復活の裏側をやっていました。
妻の自殺、アルコール依存症、癌。
脳挫傷のせいで64歳の彼は台詞を覚えられません。

半分くらいにやせて、
娘に怒られ、
後輩に指導を受けてまで
どうして舞台に立つのか。

これじゃあ少しもお笑いじゃないよ、
涙が流れて、いたたまれなくなって、
それでも目が離せずにいました。

舞台の上には、何があるのでしょうか。
密のような、一瞬の幸福が待っていることを
彼は知っているのかなあ。
かつてそれを、はっきりと見たのかもしれません。

365日のうち、364日が生き地獄でも
たった一日の、一瞬のために
人は生きることが出来るのだ。



彼の「一瞬」ははっきりと、日常の世界=こちら側に
存在していたのです。
お酒の中でも、死の中にでもなく。
そのことに一筋の光を、見たように思います。

(なんだか神がかってしまったわ)




そう、あなたにおすすめのお店があるの。
渋谷にある、illi.coっていううどん屋さん。
美味しいわよ。

「おいしい」っていうのは味だけじゃなくて、
一緒に食べたひととか、
お店の雰囲気とか、
作り手の愛情とか、
そういうものが全部ごにょごにょと集まって
決定されるとても複雑な形容詞。

だから
「一緒にご飯食べようよ」って
素敵な誘い文句だと私は思います。



この前お友達が電話で
「僕は輸入盤屋をやる」と言っていて、
ああそれなら
私はその隅で古本屋を開かせてもらいたいと
頼んでおきました。



私は夫とカナダの農場に行く前に、
東京の輸入盤屋の隅で古本屋をやるんだと決めたのです。
もしそれが楽しくなったら
メープルシロップはもっとずっとずっと後でもいいと
そんな気がしたのです。

笑ってしまうような、でもこの上なく幸せな
夢物語ね。
目の前のリクナビよりも、素敵な未来を見せてくれます。



長くなりましたね。
いつも言うけれど
あなたは夜空に輝くオリオン座のように
凛として素敵です。



ではまた。
作文書かなくてごめんなさい。

かしこ


れいこ


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