+女 MEIKI 息+
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2006年04月11日(火) 花散し


 あなたからの暖かさですっぽりと包まれている時、あなたのその気持ちにはほんの少しの澱みもなくまっすぐに染み込んできて、わたしの内側から広がるそれはあなたと同化することに焦がれ、時に切なさで息をすることさえ苦しく胸が押し潰されそうになる想いもゆっくりと塗り替え浄化させていく。欠けた部分を埋めたいと望んできた渇きを柔らかなもので満たし溢れさせていく。
 空腹が満たされ傍に居るという安堵で深い眠りに落ちたとしても、目覚めたその先にあなたが居るという確かな事実があったとしても、またすぐにその眼差しに抱かれたいと願う。
 撫でてくれとせがむ猫のようにあなたに擦り寄る。どこか触れていないとすぐに不安になる、触れていないと心が途端に騒がしくなってくる。その度に億劫がることなく応えてくれるあなたを、わたしは失いたくないと心から切に想う。
 暖かなもので包まれたその時は、これから先の物理的な距離にさえあなたの気持ちがそう容易く変わることは無いと思えていたはずなのに、それなのに聞き分けの無いこの女は、ほんの少しも離れていることさえ出来ずにその心地よさを欲しがる。飽くことなく欲しがり続ける。
 逢えなかった夜には素直に欲しがることもせずに、あなたには伝わらないのだと独りごちになり欠けた穴を自分で見つけては押し広げていく。
 穴を覗き込んであの日の暖かさを手探りで探すけれど、そんな気持ちのままじゃ在ったところで探し当てられるはずもなく、元に戻そうにも自分では修復することが出来ない。
 引っ掻き傷やだらしなく広げられた穴を隠そうとすれば、尚更に素直に欲しがることが遠くなっていく。

 そして週末。
 いとも簡単にあなたの手で修復されている。




 聴こえないフリをしたのは、もう一度聴きたかったから…9点



2006年04月05日(水) 桜うすぼんやり


 このところ肩凝りが酷い。
 人に揉んでもらっても触られてる程度にしか感じない。
 肩が不感症になってしまっている。




 昼間は雨が桜の散りを急かしてたよ。
 夜は高いところで尖った月が出ていた。
 アスファルトに落ちた薄紅の花びらが街灯に照らされていて、桜って散ってしまっても妖艶なんだね。




 いつもより早くに出勤してと意気込んだことは間違いだった。
 乗り込んだ電車の進行方向先が事故だそうで、電車の中に50分近くも缶詰になった。目的地の駅に着いた頃にはグッタリ。
 どうせ遅刻なら、ドトールで一服してやる!
 未だに通勤ってものに慣れていない。




 おいそれと会える距離に居ない彼女は、メールにゃマメで携帯には彼女専用のフォルダをこさえるほどに日々ガツガツ送ってきてくれる。
 メールの内容といえば、それこそ端から見ればくだらないどうでもいい話である。いや、端からでなくとも送受信してる当人ですら、そう思うぐらいの言葉のやり取り。
 その下らないメールの内容は時間つぶしのチャットに似たものもあり、近所のオバサンの立ち話チックでもあり、ファミレスでフリードリンク飲みながらのダラダラトークでもある。
 全く違った環境で、違った生活リズムを繰り返し、ヒトツとして似通ったところが無いと感じるから、そのダラダラトークが気晴らしになったりする。

 きっかけはYahooのチャットであった。
 当時、数回しかチャットで話をしたことのない彼女は、何を思い立ったのかわざわざ東京まで飛行機で会いにきてくれた。
 しかし彼女の予定した日は、わたしがオフの日ではなく二つの打ち合わせがブッキングしてしまった日であった。場所を移動する時間すら持てずに、その二社のかたに同じホテルに来てもらって時間をずらせての打ち合わせの日であった。
 飛行機のチケット予約の日取りの相談のときにも、その日は無理だと告げていても「もう取ってしまったから」で済ます『あーオンナだなぁ』と思わせる言動の人である。
 当日は、打ち合わせと打ち合わせの合間の時間に彼女とお茶してチャンチャンっていう、簡単な顔見せで終わったのであった。
 わたしには出来ない行動を取る彼女は、わたしにはとても魅力的に映るのである。
 一日の間に気分の浮き沈みがハッキリとあって、それを相手に出せるというオンナならではの言動も、これまた面白いと感じてしまうのである。

 今日も相変らずメールが届いた。
 彼女が地元で仲良くしている女友だちに彼氏が出来たそうである。
 正確には、2番目の彼氏が出来たそうである。旦那さまが居て、彼氏が居て、そして次の彼氏とな。彼氏の線引きがなんだかよく分からないが、とりあえずはモテモテなんだろうと勝手に解釈しておく。
 メールをくれる彼女はその女友だちと頻繁に遊ぶことが多かったから、寂しい気分になったと言っていた。
 それを一緒に飲みに行く友人たちに伝えたら、その中の一人の男友達から告られたとショゲていた。
 至極当たり前の展開のように感じるのだけれど、彼女には十分に落ち込む要因だったらしい。友だちだと思っていた男友達からそういう展開依頼は凹むのだそうだ。
 『あなたのことは友だちだと思っていたのに…』
 きゃーきゃーと騒ぎたくなるようなベタ青春しちゃってるじゃないの!と、思うわたしの感覚とは違うモノを持っていると思う。

 同じような経験は無いのか?と訊ねられた。
 女友だちに男が出来て寂しいって感覚は分からない、それまでよりその女友だちと遊ぶ時間が減るというのさえよく分からないのである。せいぜい思うとすれば「ヤツは今頃(ケケケ)」ってな感情かもしれない。
 元々、人と関わる時間が少ないからという指摘も受けた。確かにそれはあると感じた。
 友だちだと思っていたオトコから告られたらどうする?と訊かれた。
 スルorシナイとは別だとしても、♂と♀しか居ないのだから(あー、わたしの周りにはオカマも居た…)スキあらば!なヤツも居れば、ハズミなヤツも居るだろう。本人の思い入れがそれほどなくとも、流れでツイ…ってな展開もあるやもしれず。
 それでも自分が動かなければ何の展開も無いのだから、何も慌てることも無いと思う。

 彼女からのメールのレスをしていて、わたしは自分以外のものに対してホント他人事なんだなあと改めて思うのだった。

 そもそも、オチオチと近づいてくる男はわたしには居ない。
 裏返せばモテではないので、そんな心配やら凹む感情が分からないのかもしれない。




 頭のいい男は嫌いで、大好きだ。
 逢えない日、言葉で抱きしめてくれる術を持っていることを知って完敗気分。どうやっても、言葉が出てこないわたしとは脳みその造りが違うのか。
 敵わないからキライで、たまらなく大好きだ…10点。



香月七虹 |HomePage