6匹目の兎<日進月歩でゴー!!>*R-15*

2005年07月18日(月)   サイボーグは木曜の夜に笑う  

表にある「人形世界」の続き的な話。
仕上がるまで、ウンヶ月もかかってしまった難産パート2なSS。

絵茶での家族萌えーの絵を題材に書いたものだったりします。
話の前半(お笑い系)部分は、だいぶ前から書き上がっていたんですが。
後半(お色気系)部分が、なかなか・・・なかなか・・・・(悶々)

たいしたお色気じゃないのにね・・・orz

もう少し、もう少しで出来ますと、引っ張り続けておりましたが。
やっと、やっと出来ました!!(お待たせ致しました・・・orz)

「おMさーん!トグリ書けたYOーーーー!!!(叫)」

トグリマスター・おMさんに捧げます。
栄養ドリンクになれば、幸いですが・・・どうだろうか・・・orz























それは本当に突然の展開で。
トグサは、呆然と相棒の巨体を眺めることになった。

ただ。

そう、ただトグサはソファに横になり、床に寝転がって絵を描いているトグリを眺めていただけだったのだ。
それが何故、こんな展開になるのか?
トグサには、解らなかった。
「トグリ。しばらく、一人でいられるか?」
バトーはそう言いながら、トグサが逃げられないよう、その肩をソファに押さえつけた。
「なっ!?なに言って」
もがいては見たが、義体の力に敵う訳もない。
バトーに問いかけられたトグリは、ぴょこんと身を起こすと、手にしていたクレヨンを放した。
「どうしてぇ?」
純粋を形にしたようなつぶらな茶の瞳が、バトーを見上げる。
そんな無邪気なトグリに、バトーは平然と不純な義眼を向け、答えた。
「トグサと大人の話があるんだ」
「おとなー?」
「そう。大人の話だ」
「だ、旦那っ?!」
二人の会話に、トグサが慌てて割って入ろうとしたが、軽く無視される。
「どうだ?おとなしく、一人でいられるか?」
「何、言ってんだよ?!旦那、いい加減にしろ!!」
「・・・・・ひとりぃ??」
トグリは、二人の顔を交互に見て、何やら考えている。
その”間”に、嫌な予感が背筋を撫で。
トグサは必死で、トグリに手を伸ばして、言い募った。
「旦那のいう事なんか、聞かなくて良いぞ!トグリ、おいで、一緒に寝よう?!」
が、トグリはじっとトグサを見つめるだけで、答えない。
真っ直ぐにトグサを見、にっこりと微笑むのみである。
その笑みはいつもなら、トグサの心を癒してくれたが、今は何の救いにもならなかった。
「・・・ト、トグリ??」
トグサの願いも虚しく、トグリは衝撃の一言を口にした。
「ばとぅさんととぐぅ、おはなししてゆなら、とぐぃまってる」
「なぁっ・・・!?!」
その発言に、もう、打ちのめされた、とでも言うしかない。
トグリの言葉に、二の句が継げなくなったトグサは、ソファの上で固まった。
バトーは、そんなトグサには構わず、話を続ける。
「じゃあ、俺達の音声はシャットアウト」
「?」
可愛らしく首を傾げるトグリにバトーは、
「まだ、わかんねえか」
そう呟くと、分かりやすい、簡単な言葉を選んだ。
「トグリ、声を”ないない”するんだ。いいか?」
「・・・!うん、わかったぁ!!」
それで、バトーの言っていることが理解できたトグリは、元気よく頷いて、またにっこりと笑った。
「ないない、ね?じゃあ、とぐぃ、そふぁでえほんよんでる」
「良い子だ。終わったら、呼ぶ」
「うん!!」
嬉々として言う事をきくトグリの頭をバトーは、その大きな手で撫でてやった。
トグイはそれに、きゃぁと嬉しそうに笑う。
そんな、バトーとトグリのやりとりを呆然と眺めていた、トグサは。
絵本を取りに駆けて行くトグリの小さな背に、涙目を向けた。
「ト・トグリ・・・」
それから、いまだに自分を押さえつけているバトーを睨み上げ、悲鳴に近い叫びを上げた。
「なんで、こういう時だけ、旦那の言う事きくんだーーーーーー!!!」
「人徳ってやつかねぇ〜」
それに、バトーはにやにや笑って、トグサを見下ろした。
トグサはいっそう声に棘を含ませ、バトーを攻撃する。
「人徳?ふざけんな!!あんたの人徳が有効なら、俺の人徳だって有効のはずだろ!?トグリは俺のこと、大好きなんだからな!!」
自分に押さえつけられても、怯むことをしない茶の眼を真っ直ぐに見、バトーの口許は、
「そう、そうなんだよ。トグサ。そこが重要な点だ」
意地悪気に歪んだ。
バトーはトグサの未だに真っ直ぐな光を宿している目が、感情に揺らぐのを見るのがこの上なく好きなのだ。
その為に、選ぶ台詞は、いつだって電脳の中にある。
「教えてやろうか?トグリはな、我慢を覚えた。大好きなお前が喜ぶなら、自分のことはあとでいいと学習したんだ。付け加えるなら。大好きな俺の言うことを聞くと」
その言葉に含まれる、嫌な気配をトグサは敏感にあ察知した。
「──────」
「ご褒美がもらえることも、覚えたんだなあ〜」
嫌な予感というものは、得てして外れないから、いっそう最悪である。
トグサは、腹の底から、怒鳴った。
「こっ・・・・こんの腐れサイボーグーーーーーー!!!」
しかし、そう言われた当人は、悪びれる様子も無い。
「褒めてもらえて、光栄だね」
などと言い、ニヤニヤ笑っている始末。
「トグリーーー俺は喜んでなんかいなーーーーい!」
「もう、聞こえてねえよ」
「・・・・・絶対、そのプログラム、削除してやる」
トグサは、バトーを睨み上げ、言い放った。
が、
「せっかく学習したのに、それを消す?これはいわば、人間でいう所の記憶の削除になるわけだが?」
と言う、バトーの正論に黙らざるを得なくなってしまった。
怒りに任せた言葉は、意味も考えずに吐き出されることが多い。
本意ではない、言葉。
今のトグサの言葉は、その典型といえた。
機械の記録だから、と、トグリの記憶を消すことは、もうトグサには出来なくなっていたのだから。
「っ・・・」
答えられず、トグサが口ごもると、
「お前にゃ、やれねえよ。そんなことはな」
バトーは笑って、トグサの髪を撫でた。
それから、目の前で苦悶しているトグサを有無も言わさず担ぎ上げる。
いきなり、抱え上げられたトグサは、いいようにあしらわれた、とやっと気付いた。
「だ、旦那!おろせよ・・・!」
「──────」
「はなせっての・・・!!」
頭上から抗議の声が降ってきても、素知らぬ顔で。
「毎度、往生際が悪いねえ〜」
バトーは鼻歌混じりで、答えた。
「すんなり連れ込まれる、馬鹿がいるかーーーっ!」
「すんなり諦める馬鹿もいないと思うぜ?自分のテリトリーに獲物がいるのによ」
トグサの身体を軽々と肩に担ぎ上げたバトーは、ゆったりとした足取りで寝室に向かった。
まんまと手中に収めた獲物を逃がすはずもない。

「たすけ・・・・!!!!!」

トグサの抵抗むなしく、いつものように寝室の扉は閉じられた。



一人、リビングに残されたトグリは、ソファに座ると大好きな絵本を開いた。
小さな足を揺らしながら、楽しそうに。


*********


トグサがトグリの為に、バトーのセーフハウスに通うようになってだいぶ経つのだが。
その間があまりに平穏に過ぎていたので、トグサは油断していたといって良い。
そう。
トグサはバトーのセーフハウスを訪れる、その理由をすっかりと忘れていたのだ。

合意の上に、行なわれる行為のことを。

柔らかなベッドの上に放り出されたトグサは、余裕の表情のバトーを苦々しげに見つめる。
このベッドに放り出されたのは何度目だろうか。
「あんたは本当に、意地が悪いよ」
トグサは、不貞腐れたようにそう言った。
「お前は相変わらず、迂闊だねえ」
それに、バトーはくつくつと咽喉の奥で笑う。
ここまできて、逃げようとは思わないし、結局はいつだって合意の上だ。
(誘うのはバトーだが)
しかし、あっさりと身を任せるのは癪に障った。
身体を起こそうとするとバトーに阻まれる。
「逃げやしないって。服ぐらい自分で脱ぐ」
「どうだか?」
バトーは笑いながら、覆い被さるようにして、トグサの肩を押さえつけ、むっつりと引き結ばれたトグサの唇をべろりと舐めた。
それから、深く、唇を合わせる。
誘うようなバトーのキスに、トグサはいつものように目を閉じた。

無言の同意。

バトーの肩を押さえつけていた手が、ネクタイを解き、太い指が器用にシャツのボタンを外していく。
「あんたはほんとに、意地が、悪い」
トグサは、掠れる声で、もう一度同じ台詞を呟いた。
「それがいいんだろう、トグサ?」
笑いを押し殺した低音が答える。
「・・・よくねえよ」
トグサは手を伸ばし、バトーの結わえられた髪を引っ張ってやった。
せめてもの、仕返しだ。
それに、バトーは笑って身体を起こした。
「ああ、そうそう。俺は自分で脱ぐが、お前は俺が脱がすことに決まってんのさ。だから脱ぐなよ?」
そんなことを言って、愉しそうに口許を歪める。
「───あほか」
トグサは、顔を顰めてバトーの義眼を睨みつけた。
宣言通り。
ベッドの淵に腰掛け、シャツを脱ぎ出したバトーの脇腹にトグサは蹴りを入れた。
「バトー」
「なんだ」
「これ以上、トグリに変なこと教えるなよ」
「変?それを言うなら、お前が不利になる様な事は、だろ?」
バトーの笑い含みのその言葉に、トグサはもう一発、蹴りを入れた。

「───うるさいよ」

ボタンが外れたシャツを脱ぐこともせずに、トグサはベッドに仰向けに寝転がったまま、大きな溜息を吐いた。


*********


バトーは軽くシャワーを浴びてから、トグリが待つリビングへ向かった。
トグサはというと。
先にシャワーを浴びさせていたので、バトーが戻った時には既に、不貞寝していた後だった。
ソファに座って、絵本に視線を落としているトグリの頭を撫でる。
「待たせたな、トグリ」
すると、その感触に気付いたトグリは、絵本を手放すと後ろを返り見た。
「ばとぅさん!もう、おはなし、おわったの?」
喜色満面、といったその表情にバトーもつられて笑ってしまう。
「ああ、終わった。偉かったな、トグリ」
「うん!」
手を伸ばして、抱っこをせがむトグリをバトーは抱き上げた。
「ばとぅさん、とぐぅは?」
「ん?もう、寝たよ。疲れたってさ」
本当は、不貞腐れて、が正解なのだが。
トグリにはまだ、そんな感情はわからないだろう。
バトーは、寝室に足を向けながらそんなことを思った。
「ねぇ、ばとぅさん。とぐぃね、あのえほんみたいに、ねんねしたい」
「─────」
それは先程までトグリが読んでいた絵本のワンシーンのことだと、バトーにはすぐ分かった。
友達になったウサギ達とオオカミが、夜空に散らばる星を眺めながら眠る、といったもので。
数匹のウサギが、オオカミを囲んでる絵が添えられているのだ。
その絵が大のお気に入りのトグリは、一つところに皆が固まって眠ることを度々せがんだ。

「いいでしょぉ?」
「ああ、いいよ」

──────また、両手に花か?
そう電脳で呟いて、バトーは苦笑しながら、寝室のドアを開けた。


もし、この言葉をトグサが聞いていたなら。
「あんたなぁ・・・」
呆れた表情をしただろうな、とも思いながら。




END



2005年07月17日(日)   優しさかも?いや、罠だよな。絶対。

メモ帳の中身が、大混乱の様相を呈してきたので。
整理整頓してみたところ。

情景とか。台詞とか。使ってみたい言葉とか。
書き捨てられたSSの断片を多数発見。

読み返しながら、思いつくままに、書き足したり削ったり。
で、出来たのがこのSS。

SACベースのつもりで書いた訳なんですが。
なんだか、トグがやけに若い気配で・・・(汗)どうしよう、ッて代物になりました☆
原作がヤヤ混じったかもNE・・・orz


いろいろ省いて、語り口調みたいにして。
書いてて、とっても面白かった。
書き出した当初の雰囲気からは、だいぶ、遠くなっちゃいましたが。
これのほうが、テンポがいい。

逆に、放置しておいてよかったのかもしれない(笑)
























きっかけは、いつもの、男の一言。

「うち、来るか?」

突然の言葉。
普通の誘い文句。
そこには何の含みも色も無く。
油断したといってもいい。

「なんで?」
「お前、どーせ、仮眠室で寝ねえんだろーがよ」
「ソファで寝るさ」
「そろそろ、仮眠室で寝ることを覚えろ」
「いいじゃん、別にソファだって。こっちの方が落ち着いて寝れるんだって」

普通に会話してしまったのが、マズかった。

「こんなトコで寝て、疲れが取れるか?」
「・・・そりゃ、まぁ、取れやしないけど・・・」

それが、投げ掛けられた罠にも似た言葉だったと気付いたのは。
無機の義眼が表情を浮かべた時だった。

「だーかーら。そんなお前に、ゆっくり寝れる場所をお優しい俺様が提供してやるって言ってんの」

その瞬間の、憎たらしい、嫌な笑いときたら。
張り倒したくなるカオで。

優しさのような。
それでいて。
そうじゃない気配も見え隠れしていたり。

この笑いが示す意味は、多分、後者に違いない。
しかし、断る言葉がニヤニヤ笑いに弾き飛ばされるのが判っているので、従うしかなさそうだった。
自然、眉間に皺がよる。

我ながら、ウカツ。
自分に腹が立つ。

声や表情から、色を取り去ってしまうのは、この男の得意技だろーに。

罠なんていうものは、嵌まってからそれと気付くのだ。
迂闊だ、といつもこの男に言われているが、本当にその通りで嫌気がさす。
諦めたように、重く深い溜息をつくと、義眼の男は愉しそうに口の端を引き上げたのだった。




で。




気付けば、こうなっているのは、お約束な訳で。

「俺を寝かせる為に連れてきたんじゃなかったのかよ・・・・・」

自分の腕に顔を埋めるようにうつ伏せになり、呆れたように溜息を吐いた。
ぼやいたところで、どうしようもないところが、ムナシイ。

本部に一番近い所にあるセーフハウス。
そのベッドの上。
既に、衣服を着けてはいない。
憎たらしいこの野郎に数時間前に剥ぎ取られた。

「そうさ?」

いけしゃーしゃーと肯定の低音が耳に届いて、思わず、渋面になる。
顔を上げ、睨みつけてやると、にやーと笑われた。

「勿論、その為にこの場を提供してやったんだ。大先輩がな」
「なんだか、ヤるのが目的に思えるのは気のせいですかね?ダイセンパイ」
「嫌かよ?」

ああ。
この口許に浮かぶ笑みが、ムカつく。
腹立たしい。
同意の上だとしても、だ。

「・・・・・ここまでやっといて。今更、嫌もクソもあるか」
「じゃあ、いいじゃねぇかよ?」
「・・・・・(よくねぇよ)」

こんな会話を延々していたら、いつまでたっても寝られやしない。
寝よう。
寝てしまおう。
明日、いや今日の朝一で報告書を提出しなきゃいけないんだから。

「俺は寝る」
「──────」
「もう、触んなよ」

返答はない。
かわりに表情が答えをくれた。

あからさまに、不満そうな顔するなよ・・・。

無視だ。
そんなのは、無視。
男に背を向けて、目を閉じる。

「つか、あんたも寝ろ」
「・・・へいへい」

これ以上、言う事をきいてやる義理はない。
罠に嵌まってやったんだから。








さあて。
お優しい大先輩は、放っておいて。
安息の眠りを貪るとしよう。





END



2005年07月15日(金)   それすらも甘い拘束

久々の絵茶で捧げちゃっ隊。
6兎出張版。
タイマン絵茶で、凄いERO絵に遭遇。
思わず、筆を取る私。
妄想スイッチON☆

えー、駄菓子菓子。
あんまりにも久し振り過ぎて、えりょい文書くのに四苦八苦しましたYO・・・orz(汗)
しかも、難産だっただけあって、微妙な出来です。 ←ぅぉぃ

・・・でも、やっとこ裏らしい内容のSSを6兎にアップ出来たわけで。

感慨もヒトシオ。
でも、微妙なんだよなー?なんか。
うーんぬーん。

直しを入れても、どこがおかしいのか、判らない罠。



最後に。
Yコさん、絵茶で素敵な萌え絵をありがとうございました!
あのお色気には、到底かないませんが☆
このSS、謹んで捧げさせていただきます(笑)





















男の義体が与えるものじゃない、この拘束は酷く羞恥心を煽る。
両腕を縛り付けた暗灰色のネクタイが、薄暗い室内の中、やけに目に付いて。
トグサは瞼を固く閉じた。



***************


何が気に障ったのか。
護衛任務の為にスーツを着ていた男はネクタイを乱暴に引き抜くと、トグサの腕を縛り上げ。
不機嫌な口許は無言のまま、トグサをベッドに縫い付けると、更に荒々しい行為で、捻じ伏せた。

それは、抵抗さえ許さぬ、拘束だった。


***************



唇を噛みしめても、喘ぎ声が漏れる。
トグサは、それを押さえ込み、冷静さを装って声を上げた。
「解け、よ」
が、気持ちとは裏腹に、声は掠れ、弱々しく震えてしまう。
「こんな、の必要な、い」
隠しようもなく、甘く濡れた自分の声に、トグサは内心で舌打ちした。
しかし、男は繰り返されるトグサの言葉を徹底的に無視していた。


冷たい義眼が、自分を組み敷いて、見下ろしているのを肌で感じる。


愛撫や羞恥で熱くなった体が、それでも冷えないのが、余計に嫌で。
トグサは、抗うように言葉を吐き出した。
「悪趣味、だぜ」
「イイんだろ?それが」
やっと、男が口を開いた。
男の低音は笑いを含んで鼓膜を撫で、容易くトグサを捉える。
「あんた、な、ぁ」
大きな手の平がトグサの膝を掴み、容赦なく押し広げた。
男の熱が侵入してくる感触に、きつく眉を寄せる。
「っ・・・あ」
もう、言葉にならない。
トグサは、直接、男の電脳に囁いた。


ネクタイなんか、使わなくても。
充分、あんたの身体に拘束されてるよ。
抵抗なんて、出来ないくらいに、ね。


だから、解いて、くれ。


「バ、トー」


ご機嫌斜めの旦那?





***************


身体のすべてが支配される。
与えられる優しい愛撫にだけでなく。
例えば。
無言の荒々しさ。




それすらも、甘い拘束。


***************


END



2005年07月14日(木)   互いを繋ぐ、それは、儚い蜘蛛の糸のよう

書いてるうちに。
犬扇子ベースになった。
そして、ものっそ、暗い感じに仕上がった。

あれ?(首を傾げる)

***

ここまでダークな話。
初めて書いた気がします。
今、自分も。
この話に引っ張られて、ダークです・・・orz

書いていて。
心を抉られるように感じたのは。
自分にも、覚えのある感情だからでしょうか。
心の奥深くに隠してあるものを覗き込んでしまった、そんな感じ。

かもしれない。
なーんつって。

ね?(笑)

















********************



何かを追うように流れる視線。
見えざる者を視る義眼。
過去があるだけの義体。

この男は。
決して。
現在に佇む自分を見はしない。



********************



視線の先。
義眼の男の背中がある。
それを俯き加減の視野にいれながら、歩く。

こんな時。
そう、こんな時。
堪らなく、荒んだ感情が咽喉を詰まらせるのだ。


不意に現れる心の中の真っ黒な部分。
深く薄暗い井戸を想起させる、その闇。
それを覗き込んでしまった自分。


そこに沈んでいたモノに、戦慄を覚えた。
いいトシをした男が。
まるで子供の独占欲で。
我が儘に、相手の総てを欲しいと。
心の奥底で叫んでいる。


気付かなければ、よかった。
暗い闇を覗き込んでしまった自分を悔いた。
実際、自分と違う、他人の総てを手に入れることなんて不可能だというのに。
自分がそれを望むのは、罪でさえあるというのに。
それを半ば、本気で求めている自分がいた。

そして、何よりも恐ろしいのは。

この心が消えない。
耳を塞いでも。
目を閉じても。
口を噤んでも。
そう。
どんなに見ない振りをしても。
無いものと思っても。
消えない。


消えないのだ。


判っているのに。
そんなことを望むのは、間違っていると。
自分と相手の間にある繋がりは、ほんとに細い蜘蛛の糸のようなものだと。
儚いものだと。
そう、判っているのに。



ああ。
泣いている。
吹き荒れる嵐のように。
自分の中の子供が。


ゴーストが、叫び続けている。




*********


あんたにはあのひとがいて。
おれというそんざいは。
あんたがもとめているものとはけっていてきにちがっている。
だから、だめ。
だめなんだ。

わかっている。
それなのに。
このきもちはきえてくれない。
いつまでも、いつまでも。
いつまでも、こころのそこにのこって。
きえてはくれない。

なきわめくこどものようにごーすとがさけぶ。




こっちをみてくれ。
あんたのことばをきかせてくれ。
すこしでいい、こころにふれさせて。




これをつたえれば、らくになるか?
けど、つたえるすべをもたない。
いや、もってはいるが、つたえることをためらう。

臆病。

そうさ。
おくびょうになって。
ずるがしこく。
そうやって、じぶんをまもるしかない。


*********



どうしたら、前のような関係に戻れる?
なんの躊躇いも、戸惑いも持たず。
あるがままの感情で、傍にいることが出来たあの頃に。
あの時の関係に?
どうしたら?
どうしたら、この、ゴーストの嘆きは消える?


そんな方法、ありはしない。
判っている。


だから。
ただ、あんたを見ている。
言葉なく、触れ合うこともせず。
ただ。
あんたの背中を。

何もかもを拒絶する背中を。





その背から伸びる蜘蛛の糸が。
切れない距離を保って。

泣き叫ぶ子供のゴーストを抱き締めながら。






END


 < 過去  INDEX  未来 >


武藤なむ