| 2005年06月28日(火) |
11のお題 「寝る前にふっ、と」 |
話が浮かんだ時も。 書いた時も。 むしょーに恥ずかしい気持ちになった話・・・・・orz
うぉー、妄想するにも程がある罠。
えと。 そっとしといて下さい。 わかってますから・・・・あふぉだって・・・・orz
自分、よくわかってますから・・・・・(悶死)
深夜。 それは、静寂に包まれて、つかの間の眠りを享受する時間。 が。 トグサは、瞼を閉じたまま、耳を澄ますことになった。 ぼんやりと霞んでいくゴーストを引き止める、何かがあったのだ。 それは。
聴き慣れたはずの低音。 しかし、まるで違う色の響き。
耳を撫でるその声が、酷く柔らかかったせいで。 それが、歌声である、と気付くのに少し時間がかかった。
遠い異国の言葉。
途切れ途切れの、囁きのような男の声。 深い闇に融ける音。
トグサは密かに、それに耳を傾けながら。 軍属の頃にでも、聞き覚えたものだろうか? そんなことを思った。
何を歌ったものなのか。
子守唄にしては、やけに、切なく。 恋を歌ったものにしては、甘やかな色が、無さすぎて。 故郷を思い出すにしては、しっとりと、哀しい。
この歌は。 胸の辺りに爪をたてられたような、そんな痛みを生む。 しくり、しくりと。 微かな、痛みを。
だから。
男が歌う、その意味に、トグサは興味を持った。 不意に、口の端にのせる、歌。 言葉に含まれる、隠された色。 それが知りたくて、電脳で検索しようとしたが。
──────止めた。
知れば、途端に、色褪せて。 この歌が、意味を無くす。 何故か、そう思ったのだ。
(ゴーストが囁いた、と言ってもいいかもしれない)
意味を知る必要はなく、響きを聴く、それだけで。 この歌は、生きて、胸に届く。 それでいい。
いや、それがいいのだろう。
外見に似合わず、ロマンティストな義眼の男に気付かれないよう。 トグサは、眠ったふりをして、耳を澄ませた。
あまりに、切なく。 あまりに、苦く。 あまりに、哀しい。
けれど、心地好いこの歌に。
寝る前に、ふっと、耳に届く。 異国の歌。 それを口ずさむ、傍らの男。
たまにはこんな夜があっても、いい。
トグサは胸のうちで呟いた。
だから。 このまま、眠る。 男には、声をかけずに、密やかに。 深く、その低音に身を任せるように。 寄り添うように。
耳を澄ませながら。
END
| 2005年06月22日(水) |
朝に解ける甘く苦い記憶 |
捧げちゃっ隊出張版。 ・・・捧げページ改装中で、しかも、進まないので・・・・・orz 6兎に出張してのアップでございます。
これは先日おこなわれたやこさん宅の絵茶で、調子に乗って、お題狩りしたものです。 その節は、失礼を致しました・・・・orz *調子にのせると、無礼を働きますので、要注意*
絵茶オーナー・やこさんから狩り取った(え?)お題は、素敵シチュエーション&アイテムのダブルコンボでした(笑)
「初めての朝」&「コーヒー」
んなっっっんて、萌えなお題か!!!!(萌え興奮) お蔭様で、あっという間に書けました☆
やこさん、お題くさだってありがとうございました〜〜VVV つたないSSですが、捧げさせていただきますです(笑)
や、お気に召せば、いいんですが・・・ネ。うふふ。
カーテンの隙間から差す白い光が、瞼を撫で。 朝か。 トグサは、それから逃れるように、寝返りをうった。 そして、戻ってきた薄闇に、安堵の息を微かに漏らす。 すると。 隣にいた男が、トグサの動きに同調したかの様に動いた。 その気配は、ベッドのスプリングを軋ませ、離れていった。
男の気配が遠くなってから、トグサは目を開けた。
見慣れた天井に、見慣れたカーテン。 ベッドやソファ、ライトスタンドの他に、目立つ家具はない殺風景な部屋。 フローリングの床に、無造作に投げられた雑誌は中途半端に開いている。
生活感が限りなくない部屋だ。 しかし、何故か落ち着ける。 トグサは、不思議なものだ、そう思った。
衣擦れの音をさせて、身を起こし、鈍い痛みと残り香のような疼きを感じて溜息を吐く。 だるい身体とは裏腹に、ゴーストは甘く落ち着きを見せているのも不思議といえば、不思議だった。
この部屋の主である義眼の男に、抱かれるようになり。 身体を繋ぐことに抵抗感がなくなって。 心地好くすら感じ出してから。
何度目の朝だろうか。
トグサは、また閉じてしまいそうになる瞼を擦りながら、そんなことを考えた。 ぼんやりと。
妻も子も、いる身で。 同僚の、しかも、男と。 何故、こんなことになったのか。 今では、定かではない。
きっかけは何だったのか。
男を慰めようとしたのか。 それとも、男に慰められたのか。
トグサの中に、その記憶は、確かにあるはずなのだ。 けれど。 思い出せない。
それとも、思い出さないようにしているのか。
トグサは苦笑を浮かべると、ベッドの脇に落とされた自分の服を拾い上げ、身に着けた。 ひんやりとしたその感触で、目覚めが確実のものになる。 ズボンをはきベルトを締め、シャツに袖を通す。 トグサの背に、男の低音が投げられたのはそんな時だった。
「起きたのか?」
脳に直接、響くような声。 トグサは、その声に答えた。
「ああ」
肩越しに振り返ると、上半身は裸のままの男が立っていた。 じっと、こちらを見ている。 その義眼を見返し、不意に、気付いた。 微かに漂う、何かの香り。 それが、トグサの鼻腔を擽る。 コーヒーだ。 トグサは、心の中で、呟いた。 毎日の生活の中で、欠かすことのないものの匂い。
「コーヒー、淹れてくれた訳?」
首を傾け、問うと。
「お前の為にな。どーだ、お優しいだろ?」
男が、にやりと口の端を引き上げ笑った。 トグサは、それに肩を竦め、同じように笑いながら答えた。
「ええ、お優しくって、涙が出そうだよ」
男が笑い、トグサも笑う。 軽口を叩き合うのも、毎日、欠かすことはない。
「来いよ。注いで差し上げるからよ、俺様が」 「それは、有り難いことで」
顎で来いと招く男に、トグサは大人しく従った。 シャツの釦をとめながら、立ち上がると、いっそうコーヒーの香りがした。
そういえば。 身体を繋いだ夜を過ぎ。 初めての朝。 同じように、男はコーヒーを淹れてくれた。
香ばしい苦味を含む匂いに、トグサの記憶が引き出された。 フラッシュバックの様に、過去が戻り、その瞬間の鮮明さに。 トグサは思わず、足を止めた。 それに気付いた男が、トグサを返り見、また名を呼ぶ。
「トグサ?何してる、さっさと来い」 「────あ、ああ。今行く」
その声に現実に引き戻されたトグサは、何度か瞬きをした。 それで、過去は消えた。 思い出せない、思い出さない記憶のその欠片。 トグサは、その部分だけを思い出した。
甘いような苦いような、記憶だ。
トグサは、薄く笑むと、自分を待つ男のもとへ歩き出した。
End
| 2005年06月21日(火) |
常世 ─連鎖─ 「常世、散る花、その姿」 �� |
一度にアップしようと思いましたが、分割。
バトグサに見せかけて、モトグサちっくな罠。 ・・・・・・どうなの?(汗)
ほんとは、もっとバトグサ的にしたかったんですが。 書いてるうちに、こんなことになった。 ・・・・・・どうでしょうか、缶さん??(訊くなよ)
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少しだけ欠けた、いつもの日常の中、任務をこなし。 彼女のいない穴を必死に埋めようとした。 皆が、それぞれの方法で。 出来る限りの力で。
書類整理が一段落したトグサは、ふらりと屋上に足を向けた。 雲一つない晴天の中、フェンスに肘をつき、眼下を見下ろす。 増殖し続ける都市の姿をただ眺め、その眩しさに目を眇める。 と、背後から、聞き慣れた女の声がトグサの名を呼んだ。
「トグサ」
少し低い、けれど柔らかい、彼女の声。 待ち望んだ声だ。 トグサは振り返り、草薙の姿をその目に捉えた。 「───少佐・・・もう、動いても?」 そこには、以前と変わらぬ、美しい姿があった。 じんわりとした、実感がトグサを撫でる。 「本当なら三日でも、良かったんだけれど。課長に止められてね。無駄に休んでしまったわ」 紅い瞳が細められ、唇が笑みを浮かべて、トグサを見た。 「おかえりなさい」 何とか紡ぎだしたその言葉に、草薙は微笑むと、頷いた。
トグサの寄り掛かったフェンスを草薙は軽く飛び越えると、ビルの際に立ち、吹き上げる風にその身をなぶらせた。 紫の髪が、その風に揺れる。 「本当に、動いても大丈夫そうですね、少佐。安心しました」 一連の動きに、まったく隙は無く。 トグサは、そう言って、草薙の背を眺めた。 すると、草薙は肩越しに振り返り。 「まるで、生きた人形ね」 囁くようにそう言い、以前と変わらぬ美しい唇に笑みをのせた。
「あれほど、死に近づいても。この身は死を受け入れない」
紅い瞳は、トグサから離れ。 拡がり続ける眼下の景色に向けられた。 そこには、僅かばかりの自嘲の色が含まれていた。
トグサは、それを敏感に感じ取り、確実に捉えてしまった。
常、隠し続けられているであろう、感情の一端。 草薙の素の顔。 それは、剥き出しのゴーストが揺らぐ姿。
胸に抜けない棘が刺さり、深く抉られるようだ。
聴きたくない。 見たくない。 そんな言葉も、表情も、似合わない。
「違う!」
トグサは、こちらを見なくなった草薙に向かって、叫んだ。 口に出さなければ、泣いていたかもしれない。 あの日、飲み込んだ叫びが溢れて、トグサの咽喉を詰まらせた。
「──────違います。生きている、人間だ、貴方は」
情けなく掠れていく声で、
「義体であろうと、何であろうと、少佐は生きてる」
トグサのゴーストは叫んだ。
「人形だなんて、言わないで下さい。少佐には・・・似合わない」
彼女の内に、弱く柔らかな部分があると解っているのに。 強くあって欲しいと願ってしまう。 これは、エゴだ。 生身であり続ける自分の、義体である強き者への欲求。
生きて欲しい。 どんな姿になっても。 死なないで。
生きてくれ、と。
そう思ってしまう、身勝手なゴーストが、いる。 なんて、ずるい想いだろうか。 トグサは、握り締めた両手に額を押し当てた。
「悪かった」
離れていた草薙の声が、不意に、近くから聴こえた。 目を開くと、気配なく近づいていた草薙の爪先が見えた。
「お前がそういう男だから、甘えてしまうのね。私も・・・バトーも」
優しい声が、降ってくる。 トグサはかぶりを振ると、言葉を続けた。
「俺だって、貴方達の強さに、甘えてるんです。偉そうに、こんなこと、言えないんです」
トグサの消え入りそうな、微かな囁きに応えるように。 耳元で、草薙の静かな、そして温かな声がした。
「トグサ、心配してくれて、ありがとう」
柔らかな手の平が、まるで子供をあやす様に、トグサの髪を撫でた。 何度も。 何度も、慰めるように。 そして、彼女の頬が、そっとトグサの髪に触れた。 その優しい感触は、生きて、今ここに彼女がいることを教えてくれた。
これが、現実であるのだと。
現実をつれて、草薙は戻ってきたのだと。
トグサは、それを黙って受け入れた。
痛みと、安堵。
二つの心をしっかりと自分の手に、握り締めながら。
常世とは、散る宿命。 その姿。 艶やかに、しなやかな花の如く。 咲き誇り、その後。 潔く、見事に散リ逝く。
常世とは、有限の花。 大輪の美しき、命。
END
| 2005年06月20日(月) |
常世 ─連鎖─ 「常世、散る花、その姿」 �� |
*この話は、缶さんのネタ「常世」をお借りして、書いたSSです*
缶さんが書かれたネタに、寄り添うような形で書きました。 原作・缶さん、というとこでしょうか(笑) 書いてみたい、と思い、それを書くことが出来て、楽しかったです。 缶さん、執筆の許可、ほんとにありがとうございました!!
缶さんのHPはコチラ→「ひげファイア」 NOVELのネタ部屋に缶さんの素敵ネタは収納されています。
えと、何というか。 妄想の暴走が、かなり激しい出来に・・・・orz
缶さん、ごめんなさい・・・orz (最初に謝っておく奴)
微妙な出来上がりの上に。 だいぶ遅くなってしまいましたが(ええ、ほんとにね) このSSは、謹んで、缶さんのお誕生日祝いに捧げます。 お受け取り下さいマセ(礼)
ここで、改めてもう一度。
「缶さん、お誕生日おめでとうございます〜〜〜〜〜!!!」(遅)
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あの日から、実感がないまま、五日が過ぎた。 ゆったりと、至極、ゆったりと。 草薙が病院に収容され、集中治療を受けた時から。 たった、五日。 しかし、長い五日だった。
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草薙は、世界屈指の義体使いで。 誰もが焦がれるほどに強い存在だ。 女性であるとか、義体であるとか、そういう境界を越え。
ただ、純粋に。 その強さに焦がれることが出来る。
トグサにとって、草薙はそういう存在であった。 言葉にすれば陳腐に響くかもしれないが。 何者にも代え難い、特別な人というのが偽りない気持ちで。 温かい家族とは違う位置で、トグサを引き上げ、支えてくれた大切な人だった。
その彼女が、命に危険が及ぶほどの大怪我を負った。
しなやかで強靭な身体は無残に引き千切られ、恐ろしいほどに紅い血が滴り落ちる。 そうなってさえ、その手は銃を握り締め、闘い抜く意思を発していた。
その一途に似た草薙の強さが、トグサに痛みを与えた。
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白い部屋、規則正しく動く延命装置。 子宮を模した楕円のポッド。 その中に浮かぶ草薙。
閉じられた瞼。 薄く開いた唇。
透き通るような白、そこに滲むように黒い影が見える。 何かを象徴するその気配。 ぞっとする冷たさが、そこに存在していた。
生と死が、せめぎ合う空間にいる彼女。
まるで、現実味のない、鏡の向こう側のような光景に。 トグサは、吐き気さえした。 けれど。 込み上げてくるのは、きっと、ゴーストの叫びだ。 叫ぶわけにいかない。 吐き出すわけには、いかない、その叫び。 トグサは、それを無理に飲み下した。 自分だけが、この葛藤を抱えているわけではないのだから。 その一点を思って、トグサは口を噤んだ。
ガラス越しの彼女の鼓動を聴きながら。
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治療室から廊下に出る。 非現実のような現実に、戻る瞬間。 トグサの身体は、酷く、疲れ。 動くことを拒否するように、その場に立ち止まってしまった。
ここに立ち止まっている暇は、ないのに。
皆が、彼女のことをどれほど心配に思っても、ここに留まることは出来ない。 やらなければならないことが、あるのだ。 自分達にしか出来ないことが。 今回の事態の収拾をつけることが、現段階での最優先事項。
トグサはそう、理解していた。 でも。 震える足は、動いてくれなかった。
だから。 一足先に戻っていると言ったイシカワの言葉に、少し、安堵した。 もう少しだけ。 もう少ししたら、ちゃんと歩いて、すべき事をする。 トグサは、心の中で、呟いた。
治療室に視線をやり、深く息を吐く。
隣りに黙って佇んでいたバトーの少し体温の高い手の平が、慰めるように降ってきたのはそんな時だった。 その手は、優しく頭を撫で、肩を抱き寄せた。 トグサは、それに寄り掛かった。 自分を安心させる為か、頬に触れた、指先が温かい。 その指先が、やさしく髪を撫でる。 「・・・あの状態の少佐を見たのは俺も初めてだ」 その低い声に、自分に似た感情の色を感じとり、トグサはバトーから身を離した。 この男は、自分以上に、心を痛めている。 そう、感じた。 「まだ、泣くな」 バトーの唇が微かに触れ、離れた。 その温度が、トグサの心を引き上げる。 「────────」 自分だけが、寄り掛かっている訳にいかない。
バトーの感情を殺して、その優しさに甘えている訳には。
この足で、立ち。 彼のように、立たなくてはいけない。 立てるはずだ。 トグサは、心の中の揺らぐゴーストを押し隠し、バトーを見上げた。 それから、少しだけ、先程の口付けに、困った表情を浮かべてみせる。 動揺がおさまり、落ち着きを取り戻したと見て取ったのだろう。 バトーは、治療室にもう一度目を遣ってから、歩き出した。 「───9課に戻るぞ」 そのバトーの手をトグサは、とっさに掴んだ。 バトーの優しい強さに、少しでも、報いたいと思った。 「少佐は、大丈夫だ。絶対」 言葉と、握り締めた手の平で。 バトーの中に隠された感情を温めてやれたらいい。 「そうだろう、旦那?」 「ああ」 バトーは頷くと、逆にトグサの手を掴み、歩き出した。 「殺して、死ぬようなタマか?あの女が」 いつものようなバトーの口調に。 トグサは、いつもの現実に戻っていくことが出来るのだと思った。
ゆっくりとだろうが。 傷を癒した彼女が現れる、その時へ向けて。 戻っていくのだ。
絶対に。
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