株式会社JOYWOW
椰子の実日記【JOYWOW】
椰子の実日記 INDEXPASTwill

2003年03月31日(月)


SARS怖い

マスコミはあまり真剣に報道してくれないので
よくわからないのですが、SARSって、ひょっと
すると、すごくヤバい病気なのではないでしょうか。

一つのテーマ(SARSなど)について徹底的に
フォローする、というメディアが生まれて欲しい
と思います。あれも、これも、という「総合」では
なく。

SARSをおそれ、来週から予定していた北京出張、延期
にしました。
航空会社も、ホテルも、SARSは「特に重要ではない」
と見ているようで、キャンセル料ルールは、通常
通りでした。う〜む。どのようになったら、
「特別扱い」になるのだろう・・・と考えたら、
「もっともっと被害者が増えたら」という答が
出てきました。なんだか、いやですよねえ。

そのためにも、一つのテーマについて多角的に
徹底研究するメディアの必要性を感じるのです。
SARSであれば、医学者だけではなく、社会学者、
ジャーナリスト、歴史家なども交えて、いろんな
方向から検討する。

 

2003年03月30日(日)
スランプ脱出法

私はだいたい原稿を書くのが早いほうで、パソコンの
前に座り、立ったら、はい、できあがり、という
感じです。そんな私でも、年に二回くらい、「もう、
どうしても、書けない!」と大スランプになって
しまうことがあります。

昨年では、『マーケティングサーフィン』着手直前と、『語ろう!』の、同じく
着稿直前がそうでした。何も浮かばないのです。

私が原稿を書いている最中は、「神サンが降りてくる」
状態で、一種「イッて」しまっていて、文字が全身から
溢れ出てきて、タイプが間に合わない状態になります。
しかし、スランプの時はアタマの中が
真っ白けで、文字の「も」の字も出てこない。

昨年『サーフィン』の時は初めてのスランプだった
ので焦りました。

日記によると

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6/18 書けない・・・ 韓国戦で感動した 
   全身カユイカユイになった

6/19 クソしたら、完全復活
   完全に生まれかわった。脱皮!!
(阪本註:実はまだこの段階では『完全復活』では
 ありませんでした)

6/20 起きたら完全復活
   ほんとうに脱皮。書きたくてしようがない
(註:これで本当に完全復活でした)

6/21 第一章完成、Y氏(註:PHPの担当編集者)に納品
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となっています。つまり、6/18あたりで真剣に悩み、
19日に復活の兆しがあり、20日に完全復活した。
悩んでいたときは身体がカユイカユイになっています。
これは非常に象徴的で、「脱皮前」だったんですね。
特に日焼けしたわけではないのに、かゆかったのです
から。『サーフィン』という、全く新しい試みに挑戦
したがゆえの、悩み、スランプだったのだと思います。

そして、実は、昨日の私がスランプでした。もう、
この世も終わりか、というくらい。

こういう時は、じたばたせず、焦らず、何も
しないでいるのが一番です。昨日は昼間から
寝てしまいました。こういうときは映画を
観ても、本を読んでもアタマに入りません。
覚悟を決め、寝る。
そして夜、呼吸法をいつもより長くやりました。
そうすると、だんだん回復の兆しが見えてきた。
今朝起きたら、ばっちり、回復です。
おかげで今日はこれから、原稿3本、書けそうです。

 

2003年03月29日(土)
絶滅寸前! 至急保護せよ

天然記念物で保護しなければならない動物っていますよね。
トキとか。それと同じように、絶滅しかかっていて
保護しなければ大変なことになると危惧している動物が
います。

商人(あきんど)です。

目のさめるような見事な商人が、本当にいなくなりました。
まずはeビジネス。
ITによって、だれにも商いの道が開かれるようになった
のはおめでたいのですが、「ちがうだろう」という話に
事欠きません。納期がわからない、一度注文したものが
わからない、毎回決済のためにカード番号を入力しなけれ
ばならない、・・・はまだかわいいもので、ある電子会議室
サービスを昨年6月から一年契約で使っていたのですが、今年
突然、使えなくなりました。理由は、結局、弊社のシステムが
悪い、という「顧客側を責める」ボールがカスタマーセンター
から返ってきて終わり、です。面倒くさいから黙っています
が、納得していないことには変わりありません。顧客から投げ
られたボールは、返球してそれで終わりではなく、「ありがとう。
解決したよ」と、顧客からのボールでピリオドが打たれること
が原則なのです。カスタマーセンターは、そこがわかっていない。
ただ、パソコンとインターネットの知識が多少あるだけの坊や
やお嬢さんがやっているのです。商人ではない。
価値経済において、一番気をつけなければならないのは、
このような、「ネガティブ・サイレント」(黙っている不満顧客)
です。商人であれば、そこを見逃しません。
このような「ぬるい」仕事でも、組織内にそれを指摘する
商人が不在なため、顧客に不満が残るだろう、ということは
だれにもわからないのです。

おっと、eビジネスだけで終わってしまいました。

 

2003年03月28日(金)
プロジェクト・リーダーに求められる資質

1.捨てる力
2.臨機応変な決断力

と考えます。これは猿之助さん

に学びました。

1.捨てる力
 脚本第一稿は長さを気にせず、とにかく書きたいだけ
 書いてもらう。それを練り上げたのち、上演時間に合う
 ようカットしていく。このカットという仕事が実は
 増やすより難しい。本質をしっかりと見極めていないと、
 ブレてしまうからです。

2.臨機応変な決断力
 プロジェクトの開始時に、全体の設計図を描きます。
 リーダーのなすべきことは、図面どおりに動い
 ているかどうかをチェックすることではなく、「動かない
 こと」を前提に、やわらかく軌道修正していくことです。
 車のハンドルにも遊びが必要なように、リーダーのこころ
 にも遊びが必要になります。それが、ゆるみであり、
 ゆるゆるしていることが重要です。
 そしてこれが一番、難しい。

 

2003年03月27日(木)
剣を置く

スーパー歌舞伎『新・三国志3』のヒーローは、三国志
の中でも、また、数ある戦国ものの中でも全く新しい
英雄です。通常、民に平和をもたらすというビジョンのもと、
戦争は行われます。しかし、戦争の過程においては、その
民の血がおびただしく流れます。
『三国志3』のヒーローは、剣を奮うのではなく、巧みに
扱うのでもなく、全く新しい方法にて戦争を終了させよう
とします。

それは、剣を置く、ということです。

剣を置く勇気を持つ者こそ、真の勇者であり、真に民のことを
考える者であると、思います。

 

2003年03月26日(水)
カオナシ、いらっしゃい

実はこの日記は、「書き直し」です。

もとは、「カオナシ」というタイトルで、
オンライン書店の読者レビューについて
書いていました。心血を注いだ作品に
匿名(カオナシ)で批判するのはいかが
なものか、という趣旨の内容です。
批判するなら、名前を出し堂々とせよ、
しかも、ひとが商いしている
店先で、「この商品、まずいよ」という
ようなケチをつけるのはやめてくんな、
そういう内容でした。

しかし、しばらくしたら、そういう自分がばかばか
しくなってきて、削除することにしました。
マイナスであろうが、プラスであろうが、
自分の作品に反応があることはありがたい
こと。カオナシになるのは、自分に自信が
ない証拠であり、弱者なのだと。
それにむきになるのは、自分もまだまだ修行不足と
思い至りました。
カオナシ、来るなら、どうぞいらっしゃい。
そして、店先をにぎやかにしてくれ。

いまは、そんな気分になっています。

 

2003年03月25日(火)
マーケティングに何ができるか とことん語ろう!

いよいよ明日は最新刊
マーケティングに何ができるか とことん語ろう!
の発売日。年度末なので、書店に本があふれる時期らしく、すぐには
並ばないかもしれませんが、どうぞご贔屓にお願いいたします。

これまでの書き下ろしと同じく、今回も、新しい試みをしました。
第一部では私のキャリアヒストリーを語ります。旭化成時代の
建材営業マン体験や、尼崎の実家のことなどを包み隠さず(笑)、
書きました。なぜなら、私は、どんな思想でも、どんな哲学でも
その人の歩いてきた道がその背景にある、という考えだからです。
私自身が、ある哲学者や思想家の研究をするとき、まずはその
人のキャリアを調べるようにしています。すると、理解できる。
アーティストでもそうですね。岡本太郎さんの芸術を理解するには、
やはり彼の父母の物語やパリで過ごした青春時代を無視すること
はできない。

第二部でマーケティングについて語っていますが、ビジョンは
「現場で使える」です。商いが「ビジネス」と呼ばれるように
なってから、「お稽古事」になってしまった。MBA信仰。輸入
思想信仰。それに比例して活き活きとした熱さが消えた。
違う。商いは、「商は笑なり(しょうはしょうなり)」という
ほどで、商品を前にして、商人(あきんど)と顧客が笑って
いなければなりません。MBAとか輸入思想をお勉強したからと
いって、顧客の顔に笑みを浮かび上がらせる力が手に入るわけ
ではない。
結果、第二部では、机上の理論をぶっ壊すことになりましたが、
現場で使える自負があります。

是非、一人でも多くのかたにお読み戴きたいと願っています。

 

2003年03月24日(月)
ホカロンみたいな記事

時にGoogleニュース
チェックすることをお勧めします。最新のニュースを世界中の
英語メディアから拾ってくれます。
特に目をつけたいのは、普段馴染みのない国や地域のメディア・
ニュースです。たとえば「Gulf Daily News」はバーレーン。 
記事の並びを見るだけで、日本のメディアとの違いが面白いですよね。

バーレーンって、聞いたことはあるけど、はてどこにあったっけ?
そこでまたGoogleで「バーレーン」と入力してみる。
すると地図
が出てくる。詳しい情報もわかる。淡路島とほぼ同等の大きさの島だとか、
「バーレーンという国名の語源は、『海』を意味するバハルBahrと
それの複数形の語尾変化である『レーン』からきている」とか
だんだん物識りになってきます。

そして、注目したいのは、
「Gulf Daily News」で、
「かつてバーレーンに住んでいたフリーランスのカメラマン
(オーストラリア人)がイラク北部で自動車の爆発により
死亡したことを伝えています。記事ライターのスタンスが、
「おらが国で暮らした人が亡くなった」という哀悼がにじむ
もので、へんな中立・公正を標榜する日本の大手メディアに
慣れきった私にはこの視点がものすごく新鮮です。
小さい国だからこその暖かさなのだろうなあ、と思います。
落穂拾いのように、こういうホカロンみたいな記事を探し、
読み込んでいきたいと考えています。

 

2003年03月23日(日)
ハッピーのための三条件

昨日Surfin'「スロー蕎麦屋」で触れた蕎麦屋へ
また行ってしまいました。昼食なので、ほんの16時間
へだてただけなのですが、旨いものは、それだけの磁力
を持っている。

うまい蕎麦と天ぷらを食べ、昼間からビールを飲んでいる
と、本当にそれだけで幸せになります。

きわめて個人的な話であり、普遍化はけっしてできない
ですが

・近所に旨い蕎麦屋があること
・蕎麦を食べられるだけのお金があること
・おいしく食べられる健康

の三つがあれば、それだけでハッピーです。この三つを揃える
ことって、実はとても難しいのですが。

 

2003年03月22日(土)
自分自身を超える

岡本太郎氏が「ピカソに感動するからこそピカソ
を超えなければならない」とおっしゃっています。

ピカソに感動する要素はピカソの作品の中にある
のではなく、感動した自分自身の中にある。だから
ピカソを超える、ということは、自分自身を超える
ということである。常にこれまでの自分を破壊し、
乗り越えていかなければならない。

納得し、あこがれます。しかし、いざ実際にやる
となると大変です。そもそも人間はそんなに
自分自身のことがわかっているわけではない。
まず、自分の現在地をつかみ取ることからしな
ければならない。ここが一番、難しいのだと思い
ます。

 

2003年03月21日(金)
ツケを払いに来た客

朝日新聞夕刊(2003/3/20)の記事が印象に残りました。
ブッシュが宣告した48時間内のバグダッド市内。
化粧品店を営むサファ氏(38)は19日に休業した。
在庫を車に積んでいたら、近所の常連客がツケを
支払いにやってきた。「もう会えないかもしれないから」
サファ氏「まったく変な感じだよ。もう死ぬ気でいるみたいだ」
その夜、サファ氏は郊外の両親の家で、家族全員12人で夕食
をとった。最後のだんらんになるかもしれない、との思いが
頭をかすめた。数時間後。バグダッド市内を砲撃が襲った。

商人と顧客とのふんわかした、日常のいい関係の光景が目に浮か
びます。この顧客が、開戦するかもしれない報を聞いて、「何を
したらいいんだろう」と考え、いろいろな思いがよぎる中で
「そうだ、サファさんにこのあいだ買ったあの化粧品のツケが
あったんだわ」と思いつく。
なんとも不思議で哀しい話です。

家族との夕食のエピソード。「最後のだんらんになるかもしれない」。
自分のこととして考えたら、胸がぎゅっ、となります。

 

2003年03月20日(木)
現実主義の陥穽

丸山真男氏の『現代政治の思想と行動』所収論文に
「現実主義の陥穽」があります。太平洋戦争突入
直前の日本で「戦争反対」を言うと「現実を
見ろ。これでも戦争はしないというのか」という
論法にて相手をねじふせるやりかたが横行した。
つまり、理想ばかり並べるな、現実を見よ、
地に足をつけろ、というわけです。
21世紀日本の首相はそれすら言わない「ボキャ貧」
で、もっと始末におえませんが。

 

2003年03月19日(水)
ねじれ

ほかのことは書く気になれないので・・・。

国民がどう言おうと、政府が右といえば右に行く。
これも「議会制民主主義」なのでしょうか。
もちろん、戦争賛成という国民もいるのは承知
しています。

国境が消え、ボーダレスワールドになったのは
すでに20世紀最後の10年です。にもかかわらず
政治の枠組は18世紀以来の国境を元にした論理
で成り立っている。ここに現在の国民と政治家
との「ねじれ」が発生しているのではないかと
思います。

イラクの戦後復興に貢献する、と政府は言いますが、
戦争に反対している国民も税で負担することになり
ます。しかし、これも議会制民主主義だから仕方
がないのか。

上記の「国民」「政府」に、「日本」「米国」「英国」
という国名のうちどれをくっつけても話は成立します。

それだけ、ボーダレスワールドになっている。情報は
偏在している。

そういう中での国家間戦争。どう考えても、「ねじれ」
ています。

 

2003年03月18日(火)
開戦

21世紀にもなって、「開戦」という言葉を現実世界
で使うようになるとは。これまで歩いてきた歴史
から人類は何も学ばないのでしょうか。
戦争文学、反戦ソング、戦争映画。ピカソのゲルニカ。
レノンのイマジン。そして、広島、長崎の被爆体験。

病と戦い、生きるため無理やりにでも明日へ手を伸ばし
ている人がいます。別れたくなくても別れて暮らす人々。
不慮の事故に遭い、一瞬にして人生のカーテンを下ろさ
れてしまった人。その家族。死にたくなくても、死んで
しまった人。その家族。

ブッシュの演説を聞いて、たまらない無力感にさいなまれ
ています。考えがまとまりません。

少なくともいえることは、今後私はもう二度と、映画『007』
シリーズやハリウッドの「スペクタクル」映画を観ることは
ないでしょう。反米や反英というのではありません。
現実に人が人を殺している中、フィクションの中でまで
殺人を目にすることは神経が耐えられないからです。

 

2003年03月17日(月)
天真爛漫

棟方志功さんの映像を観ました。

板画作品を創作している仕事場にて一休み
しているときのものです。本当に嬉しそう
に話します。「彫刻刀がくい、と板を抜け
ていくときの気持ちが何ともいえず、いい
んだ」といった内容でした。そのこどもの
ような天真爛漫な雰囲気と、創造の悦びを
全身で表現する無邪気さにこころ打たれ、
思わず、感動の涙を流してしまいました。
映像はほんの1分あるかないかでしたが、
ほんものの創造者だけがもつオーラが、画面
からあふれでてきました。

「身体ごと板画にならなければ、本当の板画
は生まれない」とは志功さんの言葉ですが、
好きですきで仕方が無かったのだろうなあ、
と、思います。同じく創造する者として、
あのような「天真爛漫」の境地に至ることが
できたら、と願います。

 

2003年03月16日(日)
汗をかく

営業マン時代の悩みは、汗がすぐ出る、ということでした。
毛穴の開きが早い。だから、4月に入るともう夏物のスーツ
でした。10月に入るまで6ヶ月着るのですから、夏物スーツ
需要が私にとっては一番大きかった。独立してからは外歩き
がなくなったので、身体もワークスタイルに順応したので
しょうか、毛穴の開きが遅くなった。あまり汗をかかなく
なったのです。これが実は淋しい。だらだら出る汗が、実は
好きなんですよ。サウナに入ればいいのだけど、でも、サウナ
の汗は同じ汗でも意味が違う。身体を動かしてたらたら出る
汗がいい。
起きて、窓を開けると、今日はとても気持ちよいマイナス
イオンがたくさん入ってきました。こんな日は外を歩いて、
いい空気をたくさん吸い、がんがん汗をかこうと思っています。

 

2003年03月15日(土)
ブックストアで待ちあわせ

私の宝物。 1983年10月28日水曜日、大阪の紀伊国屋書店
梅田店で買ったというメモが奥付に書いてあります。
1983年、新潮社から上梓された片岡義男氏の、アメリカ
本にまつわるエッセイです。雑誌『ポパイ』に連載されてい
た楽しいコラムがモトです。本のカタチが変則で、
ブックストアで待ちあわせ
を見ていただけば、その独特のスタイルがわかります。

3畳と6畳二間の、狭いせまい尼崎の実家でこれを読んでいた
私にとり、そこに書いてある世界はまるで違う星のできごと
でした。
カリフォルニア、ポンティアック、ブックストア。
ガールフレンドとブックストアで待ちあわせ。あり得ない。
ぜったい、自分にはあり得ない世界である。しかし、あきらめずに
チャレンジしてみてもいいのではないか。あるとき、ふと、この向上心
というか、無謀な冒険心が、むくむくと胸に生まれてきました。
しかし、実際にアメリカ本土に行くことができたのはそれから8年後、
住むことになるのは17年後のことでした。

ともあれ、遠い、痛いほどの憧れとともにページを繰ったものです。
その後、日本国内だけではなくアメリカも含め度重なる
引越しの際にも紛失しないよう、大事にだいじにしてきました。
だから、アメリカ原体験は、私にとって、この本です。

本書で知った、リトルゴールデンブックスを一時期
50冊は貯めこんでいました。米国へ行くたびに買い、一人
満足していたのですが、その後、米国でもあまり見かけ
なくなってしまったのが残念です。あっても本の綴じ代が
金紙ではなくなり、厚紙でできた表紙もソフトカバーになって
しまって。

私の英語の先生は、リトルゴールデンブックスでした。この本を
テキストに英語塾を開こうかとも考えたくらいです。ある事情が
あって、現在は手元から消えてしまったことが、とても残念です。

だからこそ、片岡義男さんのこの本だけは、今後も大切に持ち
つづけたいと考えています。自分の向上心の出発点として。

 

2003年03月14日(金)
麗しのサブリナ

麗しのサブリナ Sabrina
公開: 1954年
製作: パラマウント・スタジオ
ビリー・ワイルダー
監督: ビリー・ワイルダー
原作: サミュエル・テイラー
脚本: ビリー・ワイルダー
サミュエル・テイラー
撮影: チャールズ・ラングJr
音楽: フレデリック・ホランダー
出演: オードリー・ヘプバーン
    ハンフリー・ボガート
    ウィリアム・ホールデン

高校の古文の先生は、漢字コンクールで何年か連続優勝する
くらい博学でした。彼がしみじみ言ったことをいまでも覚え
ています。

「『麗しのサブリナ』は、原題より、いいタイトルだよなあ」

確かに。原題は『Sabrina』で、まんまです。想像の広がりの
あるのは、邦題でしょう。この時、翻訳の素晴らしさを、知り
ました。長じて自分も翻訳をするようになり、自戒のため先生
の言葉を時々思い出したものです。

さて、映画では、ボギーとホールデンが兄弟役ですが、いかんせん
二人とも、薹(とう)が立ちすぎている感が否めません。ボギーって、
昔はこういうタイプの大人の男がいたよなあ、という雰囲気があり
ます。それはそれで安定感があっていいのですが、恋にとまどう役柄
としてはちと苦しい。

とはいえ、ヘプバーンが美しいので、すべてOKですね。この映画は
もともとブロードウェイのヒットミュージカル『サブリナ・フェア』
を観たヘプバーンが「これは自分のためにある」と思ってパラマウント
に版権を買わせた裏話があります。ヘプバーンによる、ヘプバーン
のための映画。文句なし。白黒映画の美しさを堪能できます。

 

2003年03月13日(木)
貨幣博物館

東洋経済新報社でのアポにまだ時間があったのでふと見回すと
貨幣博物館
があることを発見しました。こんな博物館があることなど、まるで
知らなかったのですが、博物館好きとしては放っておけません。

重厚なドアの向こうには、愛想のいい警備員さんがいて、気持ちよく
出迎えてくれました。

展示物は、貨幣の発祥から、現代まで、実物のお金とそのエピソード
が時代順に丁寧に勉強できるようになっています。
教科書でしか見たことのなかった「和同開珎」、大判、小判、びた銭
(びた一文、まけらんねえや、というときの『びた』はここから)、
などを見て、感激しました。大判は、一枚いちまい、手書きで
書いていたということも、初めて知りました。

それにしても、こんな建物に収まる、人類が作り出した貨幣で、
これまでの歴史は動いてきたのだし、戦争の発端も作られて
きたのだ、と思うと、呆然としました。喜怒哀楽も、すべて、
この人造物がまきおこす営みなのだと。

ドイツの哲学者ジンメルに『貨幣の哲学』という著作があります。
大学時代、その講義を受けたことありますが、よくわからなかった。
いまなら、学ぶことができるような気がします。読んでみよう。

ところで、お札って、「日本銀行券」というのを、ご存知でした?
あらためて手元のお札を見てみると、たしかにそう書いてあります。

 

2003年03月12日(水)
マーケティング世界観をもった営業力

今年のテーマの一つに、「営業力」があります。

19年現場で営業をやってきて、身体にしみこんだ
営業の知(血?)を活かしたい。
そこで、毎年恒例の大阪産業創造館講座・春の部を
マーケティング実践塾「起業家のための3ステップ売上向上大作戦」
とし、12名様限定でみっちり、受講生と共に実践
していきたいと考えています。

営業こそ経営の先端であり、顧客と接触するマーケティングの
皮膚です。ところが、OJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)
という体のいい手抜きで、あまり正面きって取り上げられて
きませんでした。マーケティングとセリングは別とは
いうものの、ある一つのマーケティングの世界観のもとで
営業は語られるべきです。私はそう思います。この講座で
は、私のマーケティング原論に沿いながら、現実の営業
戦略を組み立て、結果を追求していきたいと思います。

また、起業家は、コンテンツ設計は得意でも、営業は
いま一つ勘所がわからない、という人が意外と多い。
あるいは、営業は大好きなんだけど、起業のステージに
よっては営業ばかりやっていても困る場合があります。

このあたりの匙加減も、起業ステージごとに違います。
私が診断し、一緒に考えます。

楽しみで、わくわくしながら、準備しています。

 

2003年03月11日(火)
ふたやまの男

人生二山の時代ですよね。いや。二つじゃ足りない人も
いらっしゃるかもしれない。ともかく、寿命が延びたし、
会社も頼ってられない。知ってました? 定年の55歳制度
というのは、昭和10年代に作られたらしいですよ。当時
の寿命から換算して、「余生」が4、5年と。これなら
退職金も余生を過ごすのにたっぷりの額だったのでしょうね。
でも、ちょうど65歳以上を老人と呼ぶのも既に実態に合わない
のと同じく、55歳定年なんていうのも、実態に合わない。
しかし、この定年議論はあまり意味がないですね。
一つの会社にずっといつづける、という人そのものが
少なくなったのだから。

江戸時代は人生50歳でした。彼は、婿入りした先の商家
の資産を、現在の貨幣価値にして3億程度だったのを、
商才生かして70億にまで育てた。随分あこぎなこと
もやった結果らしいですが。そして、50歳で隠居。
江戸に出て高橋至時に師事し5年間天文学を学んだ。
56歳から歩いて日本の測量を始めた。なんとそれから
17年。72歳になるまでに約35,000キロを踏破した。
日本の海岸線の長さは旧ソビエト、オーストラリアに次いで
世界第三位です。
彼の作った地図が日本唯一の地図であり、明治30年代まで
実際に使われていました。

His name is 伊能忠敬.
現代に通じる、「ふたやまの男」です。

 

2003年03月10日(月)
京劇

上海京劇院の「白蛇伝」をテレビで観ました。
京劇は、スーパー歌舞伎『新・三国志2』内
で役者さんたちが軽やかな立ち回りを見せて
くれているのを観ただけなのですが、今回
初めてアタマからシッポまで通して観る
ことができました。

すばらしい。舞台の緊張の糸がきん、と
張りつめていて、目線一つにも表現が
あります。背中だけ、あるいは死体となって舞台の
上に寝ていても、演技をしています。

歌舞伎に似ています。「見得」や板に拍子木を
打って動作にリズムを与える「ツケ」の音
など、同じです。セリフの言い回しも、現代人
とは違う独特の抑揚です。

歌舞伎と違うのは、手がモノをよく言うんです。
ほんのちょっとした感情でも、大きく手で語らせて
いる。

しかし何と言っても圧巻は大立ち回りです。
ハリウッドのSFXなどあっちにいってなさい、
というくらい、人間の身体でここまでできる
ものなのか、と、感動します。

機会があれば、皆さんも、是非、京劇を。

 

2003年03月09日(日)
窮屈

3/8付朝日新聞夕刊で「就職活動いよいよ」とし、日産の
大卒向け会社説明会に4000名の学生が集まった記事があり
ました。写真には神妙な顔をした学生たち。
気になったというか、気にいらんのは、みな、スーツ姿
で、区別がつかないことです。試しに、彼らの顔の部分を
手で覆ってみると、まさにだれがだれかわからん。

その記事の下で「コケ生えぬ4人組」として、ストーンズの
来日を報じていて、ミックたちの写真がある。こっちを
試しに顔を隠してみる。ミック、キース、ロニー、チャーリー、
だれがだれか、すぐにわかる。

ミックは最も正当なビジネスマンタイプのシャツ。
キースは独特のベルト。
ロニーは「らしい」ペンダント。
チャーリーはナイステイストの英国紳士。

人材育成の仕事もしている私からすれば、トランプの
神経衰弱をしたら区別がつかないセンスの服装しか
できない若者より、「なかなかやるじゃん」と
思わずうなるカッコいいやつのほうに、自分の会社
の未来を託したい、そう思います。

きっと会社説明会会場パシフィコ横浜は、4000もの
同じスーツの群れで、異様な光景だったと思います。

窮屈な日本が、もっともっと窮屈になる。
そんな暗い気分になったのでは。

 

2003年03月08日(土)
大切な人への手紙

いよいよピース・パーム
がスタートしました。

戦争をストップするために、何ができるだろう。

戦争が始まると、何が起こるか。
大切な人を失う。
だから、大切な人に向け、自分の言葉で、
語りかけよう。手紙を書こう。そう思い至りました。

戦争を止めるのは、武器ではありません。
人の想い、です。

想いの力、相手を想うこころの力。これを信じたい。
ピース・パーム
皆さんも、是非、大切な人への想いを書いてください。

 

2003年03月07日(金)
パーティ知的演出法

パーティを、知的に演出する技を、特別に。

阪本塾のパーティでここ2回、実施しました。
私が発案したのではなく、事務局の塾生が
教えてくれたことです。

参加者に、「各自お気に入りの本と、なぜ
その本がお気に入りか、カードなり本の
裏表紙に書いて持ってくる」よう案内
するのです。そして、パーティの中で、
交換の儀式をする(やりかたは、いろいろ
ありますよね)。

すると、普段自分ならまず手に取らない本
が出てきて、楽しい。

静かに、知的な会話を交わすパーティが
あってもいいと思います。そのための
仕掛けとして、ご参考になれば。

CDやDVDの交換も、いいですね。あるいは
お気に入りの絵とか、も楽しい。

 

2003年03月06日(木)
かわいいサポート

ここだけの話ですが、実は私、「かわいいもん好き」
なんですよ。

で、今日、横浜駅構内のショッピングモールを
歩いていたら思わず立ち止まってしまった。
ウィンドウ・ガラスの向こうにくまたちが
たくさんいたんです。
ボディショップが継続的にやっている「PROTECT
OUR PLANET」絶滅の危機にある動物たちをサポート
する、という施策。
今回はホッキョクグマ、エゾヒグマ、ニホンツキノワグマ。

小さい、3センチくらいのくまの人形を売っている。
ボディショップの商品にくっついて、「ホワイトデー」
用に、と提案されていますが、人形単体でも買うことが
できます。

その利益を、動物たちを救う原資に充てるのでしょう。

早速、気にいった顔のくまを白とチョコレート色の
二種類、買ってしまいました。

かわいいくまが手に入って私もハッピー、
くまたちにも何か施策が打たれてハッピー。

このような、肩肘はらない、かわいい
サポート、いいですね。

 

2003年03月05日(水)
一緒にいると元気になる

・何かきっかけがあれば人は動く
・できるところから変わる
・いきなり完璧を求めない
・プロセスがあるからこそ、そこからつながる
・元気は自分から出すもの
・日本はいけいけどんどんで、大事なことを犠牲に
 しすぎた。今がんばって保存しなければ、消えてしまう
 ものが多すぎる
・一人一人が大事にすべきことを大事にする
・職人の技と感性の伝承をしなければならない
・街をアタマから変えていく。藁葺きの屋根。電柱をなくす。
・アタマを変えたら、今度は中身もそれに見合うように変わ
 らなければならない

以上、セーラ・マリ・カミングスさんの言葉です。
昨日ある仕事でご一緒し、桝一市村酒造の若いメンバー
たちと共に話をすることができました。みんな毎日が楽しくて
仕方ない様子で、すばらしいプラスの「気」をもらうことが
できました。さて、小布施、いつ行こうかと、スケジュール
にらめっこしています。

 

2003年03月04日(火)
良いプロジェクトには身体のリズムがある

戦争回避のため自分たちでできることはないかと電子会議室で
プロジェクトが立ち上がったPeace Palm。
先週末土曜日から加速がついて、ぐいぐい発言があふれ、
しばらくアクセスしないと「ひえーー」という状態に
なっています。今週末には発表できる「行動」が決定しました。

それはまたあらためて発表するとして。

『五感商品の創りかた』にも書いたのですが、プロジェクトが
ノッてくると、身体で感じることができます。プロジェクトの
もつ波動が、そのまま身体に響くリズムとなって伝わるのです。
電子会議室だから、メールだけなのですが、感じます。

 

2003年03月03日(月)
磨きフェチ

趣味の一つに、靴磨きがあります。
『スロビ』で渋谷の靴磨きのおばあさんの話を
書きましたが、当時はまだ自分では靴を磨いて
いませんでした。ある日、好奇心でやってみたら、
面白いのです。

1.靴墨をつける
2.靴がぼんやりした表情になる
3.磨き始める
・・・この段階ではまだ、靴はぼんやりした表情のまま
です。くすんでいる。ところが
4.ごしごしごし、ひじから手首までに力をこめて磨くと
あら不思議、見違えるような光沢が。

思うに、私は、「磨きフェチ」なのかもしれません。
磨いて、輝くのを見るとしあわせなんです。靴磨きも
それで好きなのかも。

真面目な話、靴磨きの親方に弟子入りしてみたい気持ち
があります。

 

2003年03月02日(日)
桃の花

休日の朝、花売りのおばさんの声。隣家の米国人奥さん
が、たどたどしい日本語でやりとりしています。
窓から覗くと、おばさんはお隣の門の前に立って話して
います。多分、奥さんは玄関にいるのでしょうが、壁に
隠れて見えません。

「桃の花」「ブロッコリー」という言葉が途切れ途切れに。

いいものだなあ。

そういえば、80年代後半、広島で仕事していた時、オフィスに
花屋のおばさんが背中にかついで売りに来ていました。

仕事していたら、いきなりおばさんが入ってきたので、最初は
びっくりした覚えがあります。でも、みんなは慣れたもので、
「今日はいらないよ」とか「何があるの」とか、おばさんに
話し掛けていました。窒息感の強い昨今の日本のオフィスでは
まず、ありえない光景だと思います。そもそもセキュリティ
チェックで、おばさんは中に入れない。

・・・回想はともかくとして。

のったりした花売り光景が、今朝のビタミンになりました。

 

2003年03月01日(土)
おもちゃが増えた

ブルースハープを購入。

Cだけではなく、D、E、Fなどもずらりと揃えよう
としたのですが、アドバイスをお願いしたヤマハ
の担当のかたが、「まずはCをマスターしてから
にしてください」「教則本も、一冊だけにして
くださいよ」と的確な助言をしてくださった
ので、まずはCと本一冊が手元にあります。

なぜブルースハープか。

ミック・ジャガーがうまいんですよ。昔から
かっこいいなあ、と思って見ていたのですが、
「自分でもやってみたい」になり、このたび
ついに購入となったのです。

早速吹きはじめましたが、いかんせん初歩から
一歩ずつ、というのが苦手。いきなり曲を何か
吹けないものかとブーカブーカやってます。

次のバンドのライブでは、ジャズのimprovisation
をやるので、そこで堂々とギターたちに渡り合える
だけの力をつけなければならない。

おもちゃがまた一つ、増えました。

 

Kei Sakamoto |株式会社JOYWOW