株式会社JOYWOW
椰子の実日記【JOYWOW】
椰子の実日記 INDEXPASTwill

2003年04月30日(水)


なんでいつまでも長嶋なんだ

某版元と新企画打ち合わせ。話題になったのはやはり
出版業界のかかえる問題。「通りやすい企画ばかりが
まかりとおる」現状への憂い。これは版元だけではなく
著者、書店といった、ステークホルダーすべての責任。
「文化をつくろう」と、互いの志を確認し、エールの
交換をする。

この話に通じると思うのだが、今朝の大リーグでげんなり
したのがテレビ解説者に長嶋さんを起用していたこと。
なんであんな歴史博物館が出てくるのだ。
外国でスポーツをして苦労したり壁にぶつかったことも
ないあんな化石をひっぱりだしてきたのはどこのどいつだ。
イチロー、松井について語らせるのであれば、もっと他に
人材がいるはずだ。野球分野以外に求めてもいいのに。
どうせ40代、30代の現役のマネジャーが企画書を書いた
わけで、そのへなちょこな、臆病ぶりが許せない。
「通りやすい企画」を考える、腰の弱さがいらいらする。
オリンピックの監督も長嶋さんらしいが、一体どうなっとる
のかね。

 

2003年04月29日(火)
筍って、本当に竹の子だった!

みなさん、筍って、竹の子だって、知ってました?
「んなの、あったりめえじゃん」という声が返ってきて
いますが、では、実際に、あの、食卓に並ぶたけのこが
どうやって「大人の」竹に育つのか、見たことのある人
います? 少ないんじゃないかなあ。実は私、今日初めて
見たんですよ。近所の散歩道で、お寺の竹やぶを見上げる
位置になるところがあって、そこからやぶを見たら、にょきっ、
と。

そう、円錐形のたけのこが、地面からそそり立っていたんです。

ものほしざおのように成長した竹は、根っこのあたりに皮を
「脱皮」して、まるでお酒の包装紙をはがしたあとみたいに
身にまとっていました。あたまのてっぺんにはもしゃもしゃと
髪の毛みたいなのが生えてて。キャイーンのウド鈴木に似てた。

壮観ですよ。力強くて。見上げたから、余計にそう思ったの
かもしれません。何本か生えていたのですが、さて、どれくらい
の速度で大きくなるのか、散歩の楽しみがまた増えました。

 

2003年04月28日(月)
やる? やる

1月に青山でライブをやって以来冬眠していたバンド
「人生劇場」が動き出した。「やる?」「やる」という
ノリで、動き出せば非常に腰は軽いのだが、メンバー
いずれも超多忙のため、全員フリーであるにも拘わらず
日程の調整がなかなか整わない。とはいえ、一度開封
されるとあとはどどどどどどどとメールが飛び交い、
課題曲が瞬時に決まった。

バンド、ぼくのブルースハープによってできること
が広がった。好きな曲は(たぶん)全員バラバラだが、
ビジョンは一つ「わしが大将」というやつで、それさえ
満たされれば、あとは各自、好きにやるので、問題ない
のである。2001年2月にデビュー以来早いもので
2年が過ぎ、3年目になった。正直、ここまで続くとは
思わなかった。続いた理由は、「いつやめてもいいよ」
という「ゆるさ」だったと思う。プロジェクト・マネジメント
の面白いケースだと思っている。

最初のきっかけは、Zenとぼくがシリコンバレーで
会ったことだった。たちまち意気投合し、Zenが今度
ニュージャージーに「世界一うまい焼肉」を食べに行く、
と言い出し、では一緒に行こう。たまたまインターネット
ワールド取材でNYに来ていた当時雑誌編集長のZonoと
ほか仲間総勢6人でわっせわっせと夜のニュージャージー
にタクシーを飛ばしたのだった。焼肉をつつきながら
「バンドやってたんすよ」というよくある話になり、
「では、また今度一緒にやりましょうか」普通はこの
社交辞令は社交辞令のままで終わるのだが、直後に
すぐシリコンバレー+東京+ニューヨークを結ぶ電子会議室
が立ち上がり、現在のバンドの前身ネットベンチャーズ
が誕生した、というわけだ。

キース・リチャーズが言った。「バンドを始めるのは
簡単だ。難しいのは、続けること」全くその通りだと
思う。しかし、ぼくたちは「続けること」を目的には
していない。いやなら辞めるだけのこと、と、ドライ
にやっている。そこがまた、続く秘訣なのかもしれない。

 

2003年04月27日(日)
文化を築こうよ

出張先で、書店回りは楽しみの一つだ。
特に昔なじみの大阪の書店は、その変遷も面白い。
A書店ドーチカ店は昔から私の本を置いてくれない
のだけれど(『パーミション』、3刷あたりで
ようやく置いた)、いまもまだ一冊も置いてない。
いや別にケンカしたわけでもなんでもないの
だけれど(笑)。
近所にジュンク堂ができて以来苦戦しているのか、
いつのまにか改装していた。ここは昔からの悪癖で
客がいる時間に本の整理をする。昨日私が行った
のも昼だったのに、棚を見ている私がじゃまと
ばかり、目の前の本をわっせわっせと整理
しだした。

ジュンク堂で、拙訳『インビジブル・マーケティング』
を買うお客さんと遭遇。すかさずご挨拶した。
お名前を聞きませんでしたが、もしこのコーナーをご覧
になったら、メールください。

それにしても、書店の棚、コンビニと変わらない
生鮮モノになっちまっているのは、哀しい傾向だ。
出版不況だとかいうけれど、根っこにあるのは
本のコンビニ化を促進している書店と版元ではない
のか。もっとどっしり構え、文化を築いていこうよ。


 

2003年04月26日(土)
起業家のためのビジネスキット

起業家のためのビジネスキットをいろいろ開発していて、
既に利用が始まっているのが『商品開発キット』。
これはいまのところ大阪産業創造館の営業セミナー
参加者だけが使えるexclusiveなものだけれど、
なかなか使い心地は良い(と自画自賛)。

それに加えて、もう一つ発想したのがP/Lという
指標。

LUNCH/PRODUCTの商を指数として出す。

今日のあなたのランチに支払ったお金は、今日あなたが販売
した商品の何個分か

というものです。さて、あなたはどうですか?

 

2003年04月25日(金)
情報も、「個」の時代

つくづく、北京出張を延期してよかったと思う。
国を信用して、あるいは旅行会社を信用して
「北京は危険ゾーンではないですから」を鵜呑みに
のこのこ行っていたらどうなっていたことか。
SARSは、言ってみれば不治の病である。人類が
初めて遭遇する、対処法のない病だ。

国を信用しない、というのは、NY時代に身に沁みた
体験からきている。9.11における「不明邦人」
の人数に私はカウントされていない。カウントされ
たのは大手企業社員や官公庁職員が大半で、
私や私の周囲にいるような、組織に属さないアー
ティストたちはカウントされていない。
国は信用してはいけないのである。
情報も、個人の時代なのだ。

 

2003年04月24日(木)
元気の出る

「仕事と自分」というテーマでディスカッションした。
メンバーはAさん、Bさん、そして私の三人である。
多くのサラリーマンの悩みは「仕事を自分のものとして
のめりこめない」ことだという。

Aさんはそれを「幽体離脱」といった。
Bさんは「段違平行棒」と。
そして私は「仕事用のフロッピーを入れ、会社から
離れると、フロッピーを出す」といった。

「身過ぎ世過ぎ」という言葉も、ここから生まれる。

こういう話をしていて、1989年、まだサラリーマン
だった自分の言葉を思い出した。

「仕事はゲームだ」

この言葉には、仕事と自分との距離がある。

仕事を愛せない、そういう自分を愛せない人が、多い
のだろう。山本藤光氏が「元気の出る小説」を
書くとおっしゃっているが、まさに現代ビジネスパースンに
求められているのは、高邁な理論ではなく、「元気のでる」
サムシング。私もそのための発信や仕掛けをしていこう。

 

2003年04月23日(水)
パーミション・マーケティング

たいていのマーケティング担当者が陥りやすいあやまちの
最後のものは、彼らの作る広告が、あたかも人気コンテスト
の「作品」みたいに考えられてしまう、という点である。
オフィス中をねりあるき、守衛さんにまで「どう? カッコ
いい?」と尋ね、額に入れて壁に麗々しく飾る。「効果のある」
広告ではなく、「カッコいい」広告に走りがちになってしまう
のだ。どうしてこうなってしまったのか。
『USAトゥデイ』にはコマーシャル批評が掲載されている(コ
マーシャルの批評だなんて、信じられない気がするが)。
まあたしかに、人々はコマーシャルについて話題にすることも
ある。スーパーボウルの試合中継番組のあと、あの企業の広告
は長いばかりで退屈だとか、別の企業のはカッコいいとか。
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以上は私の意見ではなく、セス・ゴーディン『パーミション・
マーケティング』(拙訳・翔泳社)の引用です。99年、既に
セスはこのようなことを言っていました。日本の医療現場でも
パーミション・マーケティングが話題に出始めたようで、
当初ネットビジネスの理論的背景として論じられることの
多かったパーミション・マーケティングがようやく、ビジネス
のOSとして語られるようになり、喜んでいます。

それにしても、広告業界はいまだセスが無駄だからやめろと
言っている無意味な広告を繰り返しています。
パーミション・マーケティングについて知らないはずは
ないのですが。

それはそうと;
広告を見たから、買いに走った、という体験、あなたは
何回ありますか? おっと、昨今はサラ金のCMばかり
だから、広告の指示通り借金して犬を買ったら、あとで
犬と一緒に「くぅーん」と泣く羽目になりますね。

 

2003年04月22日(火)
母国語で語り合う

ヨーロッパで生まれた近代的自我は人間を幸せに
するのだろうか。しないのではないか。狭量で、
例外を許さず、0か1かのジャッジしかできない。
相手をとことん追いつめ、自分が白だと思ったら
相手が黒だと言うことを許さない。

言語学の裏づけが欲しいところだが、0か1かで
建築のように構築していく言語体系はヨーロッパ
(ひいてはアメリカ)ならではのもので、ポリネシア、
日本、中国、韓国、アフリカ、ラテンアメリカ、など
の言語は、あいまいな、グレーゾーンを認め、それを
表現することで人間関係を「まとめる」方向に来ていた
のではないか。日本は西欧思想を明治以来輸入してきた
が、ハッピーの量は増えたのか。「論理的に考える」
ことは、実は不幸を増やすだけのことなのではないのか。

地理で言うとヨーロッパに入るがウェールズ人のR・S・
トーマス(詩人)の言葉。

「もう核爆弾が落ちて、世界は滅びるかもしれない。
しかし、人間は滅びるかもしれないけれども、世界の
終わりにも、この空間を、この世界を見渡しながら、
世界が美しいということについて、自分の母国語で
語り合う人間ということを想像するのが好きです」
(訳・大江健三郎)

母国語は重要であり、そもそも祖国というものは国語
のことだ。「読み・書く」ための日本語の研究を
続けるうち、この結論に至った。「西洋流」は、そろそろ
卒業しよう。

 

2003年04月21日(月)
言葉の銀行が豊かになる

亀田総合病院附属幕張クリニック 山田隆司氏、ファーマ・
マーケティング・コンサルタント 井上良一氏、コラボ
プラン山本藤光氏と会食。赤坂見附は久しぶり。この前
はまだニューヨークにいて、キャピトル東急に長期滞在
していたジャパン・セミナー・ツアーの頃だから、
ちょうど2年前のことになる。旨い餃子屋があったはずだが
探す間もなく、集合場所の店に到着。

山田氏、井上氏のような素晴らしい「知」の新たな人脈を
築けたのは山本藤光さんのおかげである。電車の中で読書
しながら思いついた言葉「経営は人脈」を、つい思い出して
しまう。井上氏より『マーケティング・サーフィン』(本
の方)と『インビジブル・マーケティング』を褒められ、
嬉しかった。『インビジブル』はもっと読まれていい本だ
と思っていたので、意を強くする。井上氏のようなマーケ
ティングの大先輩から褒められると嬉しい。人間、いくつに
なっても、褒められることはやる気につながるものだなあ。
また、山田氏の病院経営の現場の話、よそでは聞けないので、
とても勉強になった。自分の中にある言葉の海、言葉の銀行
((c)大江健三郎)がどんどん豊饒になっていくことが嬉しい。
大人の男が四人集まって数時間、酒も入っているのに話が
下卑にならない。知的な空気が何より楽しい。

帰途、大江健三郎、河合隼雄、谷川俊太郎の日本語についての
鼎談にのめりこむ。行きも帰りも電車車中では立ったまま本を
読んだ。おかげで今日は二冊、読了。

 

2003年04月20日(日)
インプットの日

家のまくらで寝たら、肩こりも身体の痛みも消えた。世の、肩こり
で悩む人、だまされたと思って、まくらをいいものに変えることを
お勧めします。昨日までのあの疲れは、ホテルのまくらとベッドの
せいだと確信。

今日はとにかくインプットの日。気は発したままだとだめだ。充電
しなければならない。

とはいえ、スモールビジネスの哀しさ、書類、郵便物、領収書の整理、
自分でやらねば、だれもやってくれない。まあ、自分でやるから
こそ、現場のにおいを保ちつづけることができるし、起業家の話を
リアリティもって聞くことができるのだが。

 

2003年04月19日(土)
新千歳→伊丹→羽田

8時新千歳空港発というとんでもない飛行機に乗るため、
5:30起き。気がつくと阪急梅田駅構内の喫茶店でモーニング
セットを食べていた。それでもまだ10時。なんでやねん。
ここまでの記憶、一切なし。どうやってここまで来たのかわからず。
睡眠時間4時間30分のため、脳が酸欠を起こしている。
しかし、今日は大阪産業創造館の大切な初日。気を発しなければ
ならない。元気をつけるため、あえて、動き回る。血液循環が
良くなり、アタマが冴えてきた。紀伊国屋書店梅田店のビジネス
書棚を視察。棚を整理していたスタッフに挨拶する。
「売れていますよ〜。在庫が切れそうなので、注文いれます」との
嬉しい言葉。『語ろう!』はここでも大事にされているようで、
何より嬉しい。

いつもながら、セミナー終了後は空気のぬけた風船のようにしぼむ。
伊丹空港で小さくなって、飛行機を待つ。しかし、飛行機の座席
というものはなぜああも狭いのか。あれでいいと思っているのか。
客室乗務員の気のぬけかたといい、サービスの省略されかたと
いい、低価格戦争といい、米国航空業界の歩いてきた歴史をその
まま歩いている。先にあるのは「お手手つないでみな倒産」である。

 

2003年04月18日(金)
あたためておきました

日記風に。

中部マーケティング協会主催・活性化市場探訪ゼミナール
アテンドで札幌に来ている。

午前、キリンビールのエリア・マーケティングについて
勉強。サッポロの牙城にいかにしてキリンが
食いついていったか。興味深い話を多々聞いた。

午後、ロイズチョコレートのふと美工場訪問。ロイズのスロー
なビジネス戦略に触れ、心が洗われた。

夜はYOSAKOIソーラン祭・長谷川岳氏と再会。
氏のはからいで、旨い酒、旨いタラバを堪能。
店は出る品出る品いずれも絶品の日本料理『とらや』。
器へのこだわりもお見事で、『とらや』についてはいずれ
また。

寒いと思って革ジャケットを着てきたが、20度を越す
暖かさ。「皆さんを歓迎して、あたためておきました」とは
北海道生産性本部の諸橋理事事務局長。本当かもしれない。

 

2003年04月17日(木)
モチーフを磨く読書

構想中の作品が「読み・書き」なので、関連する
参考図書を集めるため、リアル書店へ行きました。
「日本語」「文章読本」といった類の本を片っ端から
手にとります。この醍醐味は、オンライン書店では
無理な相談で、本の手触り、活字から立ち上る空気
が、自分の頭脳の中にある工作機械に響くかどうか、
判断します。結果、購入した本を、公開します。

・阿刀田高、短編小説のレシピ、集英社新書
・趣味力、秋元 康、生活人新書
・斎藤 孝 +山下 柚実、「五感力」を育てる、中公新書ラクレ
・大江健三郎+河合隼雄+谷川俊太郎、日本語と日本人の心、岩波現代文庫
・中島 敦、李陵・山月記、新潮文庫
・夏目漱石、文鳥・夢十夜、新潮文庫
・井上ひさし、ニホン語日記、文春文庫
・西堀栄三郎、南極越冬記、岩波新書
・野口悠紀雄、「超」文章法、中公新書、
・吉岡忍+古木杜恵グループ、フリーランス・ライターに
 なる方法、生活人新書

新書と文庫ばかりですが、書店の同じ階にまとまっていたから
です(笑)。これだけですでに重く、他の階に行く時間がなく
なったので、打ち止めにしました。

中には漱石や敦など、中学時代から繰り返し読んでいる作品も
あるのですが、度重なる引越しで紛失したため、再度入手しま
した。

ただ、これらを読むのは、「中身を手に入れる」のではなく、
自分の中にある「核となるモチーフ」を磨くために読みます。

ここから先が創作の技術になってきます。
ともあれ、いまは、これらの本をもりもりと読みます。

 

2003年04月16日(水)
スタート!

今日はPalmtree Inc.創業3周年記念日です。
読者、クライアント、そして支えてくださった
みなさんに感謝します。ありがとうございます。

この3年間に、翻訳4冊、書き下ろし6冊
を上梓しました。『パーミションマーケティング』
『パーミション・マーケティング・セミナー』
というサラリーマン時代の作品を加えると本は全部で
12冊になります。ざっくり、1年に4冊、発表してきた
計算です。季刊。ひと季節に一冊。

コンサルタントの仕事そのものは目に見えないソフト
なだけに、本はカタチとなって残るので、記録として
残しておいて良かったなあ、と思います。

走っていると、景色が見えなくなります。
速度が速ければ速いほど、視野が狭くなってしまいます。
今日は静かに、独立の背中を押してくれた私のバイブル
『経営創造』(トム・ピーターズ)をひもとき、
もう一度スタートラインに立とうと考えています。

 

2003年04月15日(火)
発想のコツ

今日はなんだか意地悪く寒いですね。

さて、発想のコツは、三つの異質なものにつながり
をつけることです。

落語にも三題噺があります。たとえば、デジカメ+プリクラと
まではだれでも思いつく。そこに「自前でつくる」をくっつける
ことで『フォトペタ!』という新商品が生まれた。

現在私が取り組んでいる三題噺は、「ブランド」「ちくわぶ」「選挙」
です。さてどうなるか。お楽しみは、Surfin'で(今日配信を目標に
しています)。

 

2003年04月14日(月)
選挙はマーケティング

選挙が終わった後のテレビ報道って、すごく面白い
ですよね。観ていて飽きない。画面に映っている
候補者たちは結果を知らないで行動している。
でもこちらは結果を知っている。まるでプロ野球ニュース
か熱闘甲子園のようなものです。

それにしても、各地それぞれ選挙の争点があったわけで、
選挙後の報道のほうが浮きぼりになっていてわかりやすい。
選挙前にこれがあったら、もっと投票率も上がったと
思います。投票に行かないのは、「答が難しい試験を
しに行く」気分だからです。石原さんならともかく、
多くの候補はそれぞれパーソナル・アイデンティティ(PI)
の旗が明確ではない。そこへもってきて「無党派」という
のだから、ブランドが生活者のマインドに刺さってこない
のです。そんな中で選べ、といわれても、試験勉強を充分
やらずに臨んだ期末試験みたいなもので、どうにも気分が
乗らない。みんな根がまじめだから、そういう自分を責めて
しまう。いやな気分になる。せっかくの日曜にいやな気分に
なりに行くのはいやだから、行かない。
選挙はマーケティング。よって、この改善のためのアイデア
が浮かびました。
詳細は近々発行のSurfin'で。

 

2003年04月13日(日)
アウトを取るために「守」る

野球を観ていて、ふと思いつきました。
「守備につく」というじゃないですか。
確かに野球の場合、ビッチャーがボールを投げる
までは、大きく動くのはピッチャーただ一人です。
不思議なスポーツですね。守備についている人
たちは動かない。だから「守る」という言葉が
似合っているのですが、しかし、野手の「業務
目的」は「守備位置についていること」ではなく、
「アウトを取る」という、攻撃的本質を持ちます。
「守る」という言葉のもつ「待ち」のムードは、
実は本質を見ると逆なのです。

野球をよくやる人には当たり前のことなの
かもしれませんが、大発見した気分でした。

 

2003年04月12日(土)
いくらえらそうでも漢語は野暮

耳できいてわからない言葉は言葉ではない。

よって私は商品の企画書ができてきたら電話でまず
話してもらいます。電話で聞いてわからなかったら
まず、ほかのどんなすばらしいメディアを使っても
わかりっこないのです。ブロードバンド? 
関係ない(*)。 

*註:そういえば、私の私製辞典のブロードバンド
の項はこうなっています。
【ブロードバンド】:(名)路傍にて無料で袋を配ること

沢村貞子、市川猿之助、志村けん、矢沢永吉、由美
かおる、諸氏の本がわかりやすいのは科白や音で
食べているから。

大学時代勉強しなかったのは、哲学書や社会学書が
難しくって読めなかったから。翻訳となると、もう、
宙返りしているような文章で、何が何やら、わからない。
これは自分の理解が足りないせいだと思っていたのですが
ある時翻訳書が高くて手が出せず、原書のほうが安い時
があったので原書を読んだらすらすらわかった記憶が
あります。要するに、「人に読ませる文章を書いた
ことのない先生方」が書いていたのです。

隠居したら、当時歯が立たなかった哲学書を翻訳したいと
思っています。・・・ん? これって、隠居じゃないですね。

ともかく、耳で聞いてわかるような言葉を使うようにしましょう。

「いくらえらそうでも漢語は野暮」と言われていたのは明治。
大和言葉は本来耳で理解します。宮大工の世界でも、仕事の技
の伝承は、口伝(くでん)といって、耳うつしです。

さて、世に出回っているビジネス書、特にMBA方面の本。
電話で聞いて、わかりますか? 書いているひとたち、本気で
わかる、と思っているのかな。それとも、あれらの本は
「持っている」ことが一つのファッションか気休めで、
それはそれで意味があるのでしょうか。MBAそのものと同じく。

参考:完本 文語文、山本夏彦、文藝春秋

 

2003年04月11日(金)
フォトペタ!

今日はとても嬉しい一日でした。

Surfin'愛読者T氏からジャストシステムの新製品
『フォトペタ!』
が送られてきたのです。『フォトペタ!』開発責任者
T氏じきじきに「私(阪本)から吸収したものを具現化した
もの」などといわれては、もう、開封のときから頬が
ゆるみっぱなし。

開発コンセプト
「遊びの提案」
「デジカメをこんな風に使うとめっちゃおもろいで」
がパッケージにも表現されています。
デザインがいい。かわいく、パソコンソフトとは思えない
キュートさ。

通常パソコンソフトに入っている説明書といえば、難しく
て法律にうるさいおじさんが「はい。**についてはわし、
知らんかんね」とダメ押ししているような、そんな空気が
あるのですが、にこやかでかつ礼儀正しい学生アルバイト
が店番しているような、そんなやさしい空気があります。

『フォトペタ!』とは簡単に言うと、デジカメや携帯内の写真
データをプリクラ風シールにプリントアウトできる、という
商品です。
これで生活の楽しさが増えるし、会話が増える。そして、笑顔
が増える。まさに五感商品。

このように、「いいところ」が簡単に言える商品こそが、
素晴らしい。

仕事に追われており、残念ながらまだインストールして
実際に使ってはいないのですが(Tさんごめん)、デジタルの
世界と日常生活との橋渡しをする「フォトペタ!」、面白そうで、
早く使いたいです。

 

2003年04月10日(木)
文章の仕上げは音読する

昨日、今日と、原稿執筆に没頭しています。
15,427文字の原稿がついさきほど、ようやく
完成しました。完成に至るプロセスで気づいた
のですが、私は最後のさいご、仕上げの際、
音読するのです。声に出して読む。それに
よって、文章の次の点がチェックできます。

1.まわりくどくないか
2.一つの文章内で同じ言葉を使っていないか
 (接続詞や、自分の好きな言葉を結構繰り返し
  ていたりします。私の場合は「も」「しかし」)
3.意味が通るか
 冗談みたいですが、書くことに熱中するあまり、
 意味がちぐはぐになっていることがあります

ほかにも、こうして形式知にできない、自分の
これまでの文章経験から身体内に蓄積された
暗黙知によるチェックが行われているはずです。

仕上げに音読を習慣にしてみてください。文章を磨く
ことができます。

 

2003年04月09日(水)
なぜ部下は伸びないのか

『なぜ部下は伸びないのか―リーダーが変わるべきこと』山本 藤光 (著)かんき出版
に寄せた、アマゾンの書評を以下、転載します。

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 二つの課題の解を求め、本書をひもといた。
 
1.ある商品企画プロジェクトが商品企画以前の段階でごたついている。
 理由はメンバー間のコミュニケーション能力不足。これを指導育成
 しなければならないのだが、これまで試した方法がいずれも芯を食
 わず、暗中模索している。
 
2.近々始まる営業セミナーで話すにあたり、自分の営業体験だけではなく、
 良質の営業体験とそれを昇華した体験談が欲しい
 
以上二点の回答を、ずばり、与えてくれた。
 
著者が日本ロシュ時代に手がけたSSTプロジェクトは優秀な営業マンの
暗黙知を並の営業マンへと移転する、いわゆる名人芸移植プロジェクト
である。結果は社長命令通り「短期間で・2ケタ業績アップを達成し・
しかも効果が持続」することに成功した。本書はSST体験をもとに、主語
を著者自身として現場に視点を置いて描かれる。随所に挿入されている
ワークシートとセルフチェックも含め、営業マン育成キットとして、現場
でがしがし使える実践の書である。私は自分自身19年営業の現場に身を
置いたが、当時この本があればもっと良い成績を残せたのに、と、
切歯扼腕している。
 
どうもこのところ、「無料で」「少ない資金で」「簡単に」「だれでも」
「短時間で」といった、お子様ランチ本が多すぎ、遺憾に思っている。
経営の本道をいく本書に拍手を送る。
さて、これから4度目の読み返しをしよう。
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みなさん、超・お勧めです。損はさせません。

 

2003年04月08日(火)
読み・書き

あるプロジェクトでコミュニケーションの不毛に悩んで
います。メンバーは全員「知」を扱う仕事に就いている
のに、言葉がない。足りない、というレベルではなく、
「ない」のです。おそらくいい学校を出ているのでしょう。
一部上場会社に勤務しているのですから。言えばだれでも
知っている有名企業ですから。
子供の時、塾にも行っていたに違いありません。
「**ちゃんはお勉強ができるわねえ」と言われて育った、
そんな気がします。

しかし、「白紙に最初の一筆」を描くことができない。
人の意図を読みとることができない。自分の思いを伝える
ことができない。

難しい経営理論ではなく、「読み・書き」能力が圧倒的に
低下してしまっている。これが現代日本のビジネス力の
低下をもたらしているのではないか、そう思います。

次の私の本のテーマは決まっていて、「読み・書き」です。
武道や空手の「間をつめる」という所作が非常に参考になる
と思っています。これは研究中なので、いずれ、本の中で。

 

2003年04月07日(月)
渾身

ジブリ作品『紅の豚』で好きな科白。

フィオ「優秀なパイロットの条件は経験?」
ポルコ「違う。インスピレーションだ」

これは商いにも言えると思います。
センスといってもいい。
万巻の本を読んでも身につかないのが
この不思議なセンスです。
ナニワ商人の言葉に「ガッコアタマ」と
いうのがあります。勉強ばっかりやって
いても、商いなんかできまへんで、という
意味。インスピレーションを養うために
はどうすればいいか。やはり現場で仕事を
通じ、汗を流す。打席に多く立つ。
「省力」なんて、もってのほかだと思います。
幸田露伴の言うとおり、「仕事に骨惜しみを
してはいけない。渾身でやれ」
・・・と、自戒をこめて。

 

2003年04月06日(日)
ジュンマはいたのか!?

休みの日の楽しみは、テレビの前でだらだら昼寝を
することです。
元気だとどうしてもパソコンの前に行って仕事
してしまうので、ランチにはビールを飲みます。
そしてテレビ前に座り、ぼーーーとする。番組は
できるだけ、前のめりになって見ないような、
どうでもいいタイプのものをあえて。

『藤岡弘探検隊シリーズ アマゾン奥地1500キロ!
テラプレータの密林に謎の猿人ジュンマは実在した
再』というのを流していました。ウソだろー、なんか
わざとらしいんだなあ、と一人で画面にツッコミなが
ら。とはいえ、結局、最後まで起きていたのですが、
いよいよ猿人の後姿らしきものを発見し、いざ、
という、まさにそのとき

あえなく、床に溶け込んで、寝てしまったのでした。

ふと気づくと次の番組『恋よりお金!新ドラマ"OL銭道"
一週間前SP』になっていて、あれあれ、結局ジュンマは
いたのか? いなかったのか? 教えてくれ〜 藤岡隊長!
と切歯扼腕。う〜。気になる。

 

2003年04月05日(土)
地域通貨「場」

大分県別府温泉で、地域通貨「湯路」が発行された
ようです。商品割引券や共同浴場の入湯券として
使える由。「ユーロ」と読ませるようですが、ここが
ちと惜しい。オリジナリティがない。なんで既に世の中
にあるネーミングに頼ろうとするのか。「ゆじ」「ゆみち」
などのほうが言の葉の美しさを楽しめるし、湯の町の旅情も
香る。

あるいはいっそ、「別府」にすればよかった。
1ベップ、10ベップとか。地域ブランドネームが
顧客マインドに刺さる効果が期待できます。

サラリーマン時代、担当商品「グランデ」にちなみ、
代理店会議のアトラクションで「グランデ」紙幣
を発行したことがあります。米ドルを思わせるグリーン
のデザインに、当時の販売部長の顔写真をくっつけて。
結構ウケました。

いまも似たようなことを考えていて、バンド「人生劇場」
メンバー内の冗談で話していたのが、ライブ会場でだけ
使える通貨を発行しようと。単位は「場」(じょう)。
ユーロに連動します、と、お客さんには言う。
ユーロと言われてもすぐにはレートがわからないところが
ミソで、「場」は、ライブ会場内でしか使えず、しかも、
一方向(円から場へ)しか換金できない。だから、お客さん
は使い切るか、残すと次のライブにも、また来なければなら
ない(笑)。円に換えてくれるヤミのブローカーがライブ会場
に跋扈したりする。金券ショップにも流れ、意外に高い価格に
なったりして。

このように、自分たちの都合しか考えていない、顧客不在の
よからぬたくらみを、しています。

 

2003年04月04日(金)
自分に郵便

オフィスの郵便箱を開けると昨日京都のFさんに向けて
送った本の小包が届いていました。

差出人の住所に届いたのです。

郵便局の窓口担当者が間違ってしまったのでしょう。
出した局は私の自宅近所なので、自宅住所が書いてあれば
間違わなかったのかもしれません。でもまあ、仕方ない。

小包に書かれた自分の文字を見ながら、しばらく呆然と
しましたが、そのうち、たまらなくおかしくなり、笑い出
しました。

息がつまりそうな社会空気の中で、こういう「おとぼけ」
って、楽しいじゃないですか。OKです。許します。

 

2003年04月03日(木)
プールサイドの法則

「プールサイドの法則」というのがあります。

男性サラリーマンが海外のホテルの
プールサイドにいるとします。

ボンボンベッドに寝転び、本など読んでいます。
隣のベッドに外国人がやってきて、
なにやら話しかけてきました。

「Hi! 君は何の仕事をやっているんだい」

「はい。トンカチ株式会社にいます」

「・・・・・・・。その『トンカチ』って、
 何やってるとこなんだい」

「えっと、いろいろなものを作ってる、
 日本ではfamousな会社です」

「あ。そうなんだ。ところで、君は
 何をやってるんだい」

「だからさっき言ったじゃないか。
 トンカチにいるんだよ」

「ちょっと待ってくれ
 (彼は東洋風のジョークを言っているのかな)。
 だから、君は何をやっているの」

「(おれの英語がまずかったのかもしれない)
 ト・ン・カ・チ!
 to-n-ka-chiなんだよ。なんで通じないのかなあ」

 そこで二人は黙り込む。

 あなたは、プールサイドで、日本人文脈を共有
できない人に対して、自分の仕事を説明できますか?

 

2003年04月02日(水)
歌の力

大正時代は、町中いたるところで歌が流れていたそうです。
おかみさんは洗濯しながら、こどもたちは道を歩きながら、
職人は仕事のリズムを取るために。

いま、町を歩きながら歌っていると「ヘンな人」と見られます(笑)。
それで思い出したのですが、ストーンズ『MISS YOU』に
「セントラル・パークを、日が暮れた後、歌いながら歩いて
いたら、人がぼくのことをcrazyという眼で見た」という意味
の歌詞があります。1978年発表の曲です。当時のNYの状況を
あらわしているのでしょう。ひょっとすると、昨今のわけの
わからない犯罪の多さにしても、「荒れていた頃」のNYに、
現在の東京は似ているのかもしれません。

歌はみんなの顔を明るくします。町が歌であふれていたら、
もっともっと楽しくなると思います。

 

2003年04月01日(火)
美的感受性

数学者藤原正彦さんの話。数学には美的感受性が必要
である。目の前に道が二つに分かれているとする。
右に行くべきか、左か。自分の後ろにある道は論理だが
右か左か決めるのは、美的感受性だ、と。
美しいか、美しくないか、という感受性が、磨耗しては
いけない。

大賛成です。お金が儲かるか、儲からないか、儲からない
からシケた顔をして、下を向いて歩く。いつから日本人は
そんな淋しい、文化マインド貧乏になってしまったのでしょう。

いま、桜が満開。上を向いて、桜を愛でながら、歌でも
歌いませんか。感受性は、そういうところから、生まれて
くるのだと思います。

 

Kei Sakamoto |株式会社JOYWOW