ノート

2003年04月01日(火) Play Back-4/1 夏にも花を咲かせ-

スライダーが、キャッチャーミットの横を通過していく。
ボールはファールグランドを転々としている。
3塁からゆっくりとランナーがホームイン。
捕手の清水康寛がボールを追わなくなった。
テレビは、喜ぶ東洋大姫路ナインではなく
マウンドで膝をついて涙を流す、福本真史を映し続けた。

先頭バッターに3ベースを許した後
マウンドに花咲徳栄ナインが集まった。
内野陣が真剣な顔をしていても、福本は白い歯を浮かべて
笑っている。いつもそうだった。
帽子には汗がにじみ、下半分が水色ではなく青に近くなっていた。
私の中で、それが彼のトレードマークとなっていた。

仲間が呼びとめるまで、福本はずっと膝をついたままだった。
姫路ナインが整列を終えても、徳栄ナインは乱れたまま。
泣いていたのは、清水もだった。
2人の涙がナイン全体に乗り移っていくのがわかった。

相変わらず、テレビは徳栄ナインを映し続けている。
テレビごしに、観衆の拍手の音が聞こえてきた。
徳栄ナインが甲子園を去るとき、1番大きかった。

「ミラクル花咲」2試合連続のサヨナラ勝ちで甲子園を湧かせた
ちょっぴり派手なユニフォームを着た選手達。
ユニフォームだけじゃない、高校野球ファンの心には
「花咲徳栄」の校名もしっかりと刻まれた。

そういえば、徳栄の初戦の日、ちょうど神戸でも桜が開花した。
それと同時に快進撃は続いた。
夏には、鮮やかなひまわりがナインを迎えてくれるだろう。

花咲|000 000 000 100 001 200 000 201 0
姫路|000 000 000 100 001 000 210 200 1×


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