| 2011年11月28日(月) |
(SS)その後殴って無理矢理寝かせた |
『こんなにカワイイのに』
『こんなにカワイイのに』
『どうしてウチの奥さんは凶暴なんだ…』
泥酔した進藤のたわごとは何故か時々むかっとします。
| 2011年11月13日(日) |
(SS)イマドキの傾向 |
「イマドキって三ヶ月持てば良い方なんだってよ?」
ぱちりと石を置いた後、進藤が何気無いふうにぽつりと言った。
「何が?」 「レンアイ。一ヶ月、二ヶ月は当たり前で、三ヶ月持てば長い方って言ってた」
その、言っていたのが誰なのかわからないけれど、きっと彼の友人の誰かなんだろうなと思った。
「へえ…早いね」
そんなに早く人を好きになって、嫌いになって、そして別れて次に移る。そういうことに疎いぼくには全く信じられないことだった。
「だったらおれってすごくねえ?」
少し考えた後、彼の石を封じるように自分の石を置き、ふうと息を吐いたら進藤が言った。
「何が?」 「何って、最初に会ってからずっとだもん」
こんなに長い間、ずっとおまえのこと好きなおれってなんだかとってもすごく無いかと言われて頬が染まる。
「…そんなことは無いんじゃないかな」 「えー? なんでだよ」 「だってぼくも…」
だってぼくも出会った最初から今に至るまでずっとキミのことが好きなんだからと言ったら、今度は進藤が頬を染め、それから黙って長考に入ってしまったのだった。
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バカっぷるに祝福あれ!
親戚んちの赤ん坊を見せて貰いに行った時、上の子になる三才の女の子が持っていたぬいぐるみを見て、ふと何故か懐かしいような気持ちになった。
片腕だけを持たれ、後は床に引きずられているぬいぐるみは、タオル地で出来ていてとても抱き心地がよさそうだった。
うさぎだか、クマだか他のものだか、あまりに単純な形なので解らないけれど、色味も柔らかで、ああ、あんなのもしかしてガキの頃に持っていたっけかと考えて、いや結構最近だと思った。
そして唐突に思いだした。
「ああ!」
思わず声に出してしまったので、親や親戚に不審そうに見られてしまったけれど、おれはぬいぐるみで何を思いだしたのか解ったのだった。
(塔矢だ)
くったり。
今はソファの下に放り出してあるぬいぐるみは、力無くくずおれていて、した後の塔矢を思い出させた。
(あいつもあんなんになっちゃうんだよな)
抱いている時は張りがあり、しっかりとした手応えのある体なのに、終わった途端、魂が抜けたようにくったりとなる。
それがあのぬいぐるみととても似ていたのだ。
『大丈夫、ちょっと疲れただけだから』
構おうとすると五月蠅そうに言って、でも指一本も動かせない。動かしたくても動かせないのだと思うといつも愛しさに胸が痛くなる。
「…可愛いよなあ」
ぽつりと呟いて拾い上げたら、部屋の反対側から駆けてきた持ち主に嫌と言う程体当たりされた。
「返して、それまあちゃんの!」
コラと怒られながらも、おれの足を叩き続けている女の子にそっとぬいぐるみを返してやりながらおれはぼんやり思ってた。
(もっと、もっと大切にしよう)
くったりとしたあの姿はとてもたまらない程に可愛いけれど、でもそこまで無理をさせたら絶対いけない。
「…少し、可愛く無いくらいのが可愛いんだよな」
意地っ張りで頑固で意固地で健気。
でも、とても綺麗で抱き心地のいい『おれだけのもの』。
「ヒカル、あんたさっきから何やってんの。早くこっち来てご覧なさいよ」 「はいはい」
おれはくすっと小さく笑うと、親に手招きされて、本来の目的である小さな赤ん坊の顔を眺めにベビーベッドの側に行ったのだった。
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『ぐったり』ではなく、あくまで『くったり』で。
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