| 2009年02月07日(土) |
(SS)一生キミを許さない |
「どうして加害者の方が傷ついた顔をするんだ」
足元のシーツの染みを見詰めながら呟いたら、進藤が「だって!」と言った。
「だって…なんだ?」 「だって、おまえのこと傷つけちゃったから」
だからごめんと言った顔を睨み付けた。
「謝るくらいならしなければいい」 「やっぱ、そんなに嫌だった?」 「嫌とかそういうことじゃなくて」
煮えくりかえる程の腹立たしさと何もかも投げ出して泣きじゃくりたいような心細さが体の中でせめぎ合っている。
「そういうことじゃなくて…他に言うことがあるだろう」 「いきなりでごめんとか?」 「バカか?キミは」
堪えていたのに涙が一筋頬を伝った。
「キミはまだ言って無い。ぼくに一言も言わずにぼくを抱いた」
そんなこと絶対許せるわけが無いと言ったら進藤はやっとわかったようでおずおずと座り込んでいるぼくの側に近づいて来て、そっと足先に触れた。
「ごめん…マジ、本当ーにごめん」
おれ、好きだから。本当にすごく、ずっと我慢してたのに理性が吹っ飛んで思わずヤッちゃうくらいおまえのことが大好きだからと言われて再び涙が一筋こぼれた。
「そんな言い方で許せると―」
思っているのかと言いたくて、でも声にならない。
肩を震わせ泣くぼくを彼はぎこちなくそっと抱いたけれど、ぼくは決して抱き返したりはしなかった。
だって彼は言わなかった。
言わずにぼくを抱いたのだから。
「許さない。絶対―」
絶対キミを許さないからと言ったら進藤は今度はぎゅっと強くぼくを抱いて「許してなんかくれなくていい」とぽつりと一言、言ったのだった。
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何度も似たよーな話ばっかり書いちゃってすみません。 相変わらずのお初話です。
許さないとか言っていますが、本当は最初からちゃんと許しています。 許しているけれど、それとこれとは別なわけで。
その涙の分もちゃんとヒカルはアキラを大切にしなければいけないと思います。
不穏なタイトルですが結局ラブラブなのでご心配無く。
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