「コンパに行ったってどーゆーことだよ、それ」 「…? 別にただ皆でお酒を飲んだだけでどうということも無かったけれど」
珍しくおれの誘いを断った日、何か用事があったのかと聞いたおれに塔矢はけろりとコンパに行ったと言ったのだった。
「大体どーしておまえが行くんだよ」 「え? 人数が足りなくて困っているから頭数を揃えるために来てくれって」
そう顔見知りの棋士に言われて行って来たのだと塔矢はあまりにも屈託が無い。
「そっ、それで? 何かあったんかよ?」 「何かって……ああ、たくさんの人から携帯のアドレスを教えて貰ったけど」 「それだよ! おまえも教えたの?」 「いや、仕事でしか使っていないからって丁重にお断りした」 「よ、よかった」
ほーっと胸をなで下ろしているおれの前で塔矢は余程コンパが珍しかったらしくにこにこと機嫌良く話を続けた。
「面白いものだね、皆でゲームをしたり、その後カラオケにも行ったり」 「行ったの? おまえ!」 「人が歌っているのを聞いていただけだけど…」
それでもとても面白かったよと言っているのに思わずおれは肩を掴んで言ってしまった。
「頼む、絶対にもう二度と誰に頼まれてもコンパには行かないで!」 「どうして? 面白いのに」
なんならキミも一緒に…と言うのにおれは思い切り真剣な顔で迫ってしまった。
「おまえと一緒に行ってどーすんだよ、とにかくもう金輪際、コンパには誰に誘われても行かないと誓ってくれっ!」 「わかった…」
キミがそう望むならと渋々と頷いた塔矢は、しばらく後に会った時、嬉々としておれに言ったのだった。
「キミの言う通り、あれからコンパには行っていないよ。でも昨日はまた誘われて『合コン』って言うのに行って来たんだ」
まいがっ!
「すごく楽しかったよ。世の中には色々な飲み会があるんだね」
おれは嬉しそうにその時のことを語る塔矢を見詰めながら、この天然ひよこ頭の恋人にどうやってコンパと合コンが同じものだと説明したらいいのかと真剣に考え込んでしまったのだった。
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もちろんアキラはわかってるんですよ。わかっていてヒカルをいじめているんです。困ったプレイです。
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