SS‐DIARY

2005年01月29日(土) キミを想う


一人でいる時、キミのことを想う。

キミのことを想う時、ぼくはキミの体と、キミに触れられている自分をいつも非道く恋しく想う。

触りたい。

触って欲しい。



キミを体の中で感じたいと、それは飢えたほどの欲求で、一人、処理してしまうこともある。



好きという気持ちは、気持ちだけで繋がっているけれど、でも本当に好きという気持ちは気持ちだけでは全然足りない。


生々しく体で繋がりたいと。


一度それを知ってしまったから、たまらなく、たまらなく、たまらなく、キミの熱をぼくは欲する。




2005年01月28日(金) (SS)ある愛の詩(ぼくはとても幸せでしたが)


「なあ、塔矢はブログって知ってる?」

知らないというと和谷くんは、ネットで書く日記なんだけどすごくおもしろいの見つけたから教えてやるよとその日記のURLを教えてくれた。


家に帰って早速教えられた場所に行ってみる。


人様の日記を読むというのにはものすごく抵抗があったのだけれど、気がつけばかなりの量を読みふけってしまった。


「あれ…なに?棋譜の整理でもしてんの?」


あまりに夢中になって読んでいたので、進藤が帰ってきてうしろからのぞき込んだ時に咄嗟に閉じることが出来なかったくらいだ。


「って…わーっ!」



その後進藤は奥の部屋に立てこもり、ぼくがいくら謝っても翌朝まで出て来なかった。



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アキラへの愛をただひたすら書きつづった日記。

ヒカルは一晩中しくしくと泣いていたものと思われます。



2005年01月07日(金) (SS)ぼくの知らない彼の一面

「たまにはキミも付き合いなさい」

年明けて最初の指導碁の仕事の後、棋院に顔を出したら知り合いの棋士にそう言われた。

「孤高を保つのもいいけど、同年代の棋士たちと交流を持つのもいいもんだよ」と、何かと思えば何度か顔を出したことがある研究会で新年会があるのだと言う。

「新年会って言うか、若手メインの飲み会なんだけどね」


このすぐ先のカラオケボックスでやっているからと言われて、気がすすまなかったけれど「進藤くんも来ているはずだよ」の一言にじゃあのぞいてみようかなと思った。

友人の多い進藤はよく院生時代の友人や、中学時代の友人などと飲みに行ったりするのだけれど、ぼくが混ざることは希有だったので一体どんな風に飲んでいるのか見てみたかったのだ。


坂を上り、歩くこと五分。ああそういえばここはそうだったっけと見覚えのあるカラオケボックスに入って即、ぼくは進藤を見つけた。

その店で一番大きいというパーティールーム。

ごったがえす人の向こうで今正に歌っているのが進藤だったのだ。


ぼくの知らない歌を歌う、彼はまるで知らない人のようで、ぼくは初めて彼が結構いい声をしていて歌が上手いということを知った。


「あれー?塔矢も来てたんだ」
「わー珍しい。塔矢くんいらっしゃい」

薄暗い室内、ぼんやりとソファに座るぼくに、まわりの皆はドリンクや食べ物を勧めてくれた。

「進藤、上手なんですね」
「あー、あいつマイク持ったら離さないから」

もう三曲歌いっぱなし。見てなよ後三曲は歌うからと言われた通り、進藤はそれから出ずっぱりで歌い続けた。

「随分飲んだからなぁ」

苦笑しつつ、それでもみんながノセるものだから、進藤は三曲どころか五曲も歌った。

ほとんどはぼくの知らない曲で、でも何曲かは街中で聞いたり、CMで流れていたりして知っているものもあった。


「進藤、あれやれあれ! おまえがあれやんないとカラオケ来たって気がしねーだろ」

もうさすがに終わりか?と思った八曲目の終わり。どこにいたのか和谷くんが飛び出してきた。

「えー? あれって?」
「アレだってアレ。もうおれ入れといたから!」

進藤も酔っているが和谷くんも酔っている。それを言えばぼく以外のここにいる人は皆信じられないくらい酔っているようで、曲が流れ出した途端、わっと部屋が震えるくらいの歓声が上がったのだった。


始まったのはピンク・レディーのメドレー。
付き合いでカラオケに連れて行かれると芦原さんが必ず歌うのでこれだけはぼくもよく知っている。

でも進藤もまたこんなによく知っているのだとは、今日この時までぼくも知らなかった。

「ペッパー警部」から始まって「UFO」になって、後はもう個々のタイトルはわからないのだけれど、進藤と和谷くんは歌い、完璧な振りで踊った。

踊りまくった。



半ば呆然と見守っていたぼくは、曲が終わりみんなが拍手をするのに慌てて拍手をした。

「あーっ、今日は完璧ーっ。満足ーっ」

そして踊ったためか汗びっしょりになって進藤が戻ってくるのに気がついて、グラスに冷たいウーロン茶を注ぐと差し出した。

「はい、お疲れ様」


その瞬間、ぼくを見た進藤は汗だくなのに見る見る間に青くなった。それから赤くなり、また青くなり、それから再びまた赤くなった。

「なっ…なななななな…なんでおまえがっ……」
「キミ、歌も踊りも上手いんだね。知らなかったよ」


ぼくとしては本当に感心し、褒めたつもりであったのだけれど、何かが気に障ったのかもしれない。

進藤はさっきまでの元気が嘘のようにしおれると、よろけるようにソファに沈み込み、しくしくと悲しそうに泣き出したのだった。


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メドレーは別になんでも良かったのですが、見られた時に一番恥ずかしいのがこれでは無いかと思いピンク・レディーにしてみました。

いや古いけど、ノリがいいので結構、歌うんじゃないかなと。きっと進藤は和谷っちと二人、山本リンダのメドレーも歌えることでしょう。

あ、でも前半はきっとフツーにはやりモノをスカして歌っていたはずなんですよ。酔いがまわるとお尻も出したりするタイプなんじゃないかと思います。

うーん…きっとアキラにだけは死んでも見られたくないと思っていたに違いない。


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