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夢の図書館新館

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-- 2013年12月10日(火) --

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『カブキブ!』 (1)

☆ラノベだって、あなどれない。

好きなことに打ち込むのが部活。それなら、大好きな歌舞伎に打ち込みたい。カブキブがないのなら、新しい部を作ろうと、主人公は奮闘する。当然ながら素人ではあるが、歌舞伎の鑑賞ではなく、実際に自分たちで歌舞伎を演じたい。難題が山積する中、友達に支えられながら、ついに人数を集め、同好会として活動を認められる。

『風が強く吹いている』を読んで以来、主人公たちが何かにひたむきに打ち込んでいる物語が好きになった。うまくいかず、挫折しそうになる主人公に共感して涙をこぼし、夢が叶いうまくいったらいったで、気がつくと、やっぱり涙をこぼしている。年のせいだろうか。「熱血」ものは避けていたはずだけれど、年を経るごとに「どきどき」「わくわく」を求めて、「ひたむきに頑張る主人公の物語」を探している。

ひたむきな主人公が個性的な同級生や先輩、後輩たちと協力しあい、登場人物みんなが着実に成長していく。成長が止まった大人としては、とてもまぶしくて、くらくらしてしまう。ふいに立ち止まって、己の来し方を振り返ってしまった。なんだか、大きな忘れ物をしてきてしまったような。いや、それとも、大きな借りを、若いころの自分に残したまま、ここにいるような。

随所にわかりやすく歌舞伎の魅力が語られ、歌舞伎を知らない中高生はもちろん、歌舞伎大好きの大人まで気持よく楽しめるエンターティメントです。カブキブの設立なるかどうか。カブキブの初公演成功なるかどうか。ページをめくる手ももどかしく、一気にラストまで読み進んだのですが…。

見事なラストでした。ほぼちゃんと完結しているけれど、そのラストの先はどうなったのと、即効、2巻が読みたくなります。(現在、2巻まで刊行されています。もちろん、即効3巻を…)うまくこなれている連載漫画のラストのように、後を引く、「次回必見!」的な終わり方に感心しつつページを閉じました。(全て描かれてはいないけれど、でもちゃんと完結しているので、もどかしいんだけれど、むしろ爽やかな読後感です。)

これを読んだ若い人たちが、「歌舞伎って面白いんだ」と、伝統芸能に興味を持ってくれるといいなあと、私も心から思いました。


『カブキブ!』 著者:榎田ユウリ / 出版社:角川文庫2013

2003年12月10日(水) 『ふりむけばねこ』
2002年12月10日(火) 『しろねこ しろちゃん』
2001年12月10日(月) ☆特集:英国オヤジ刑事四人衆。

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