rioshimanの日記
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2004年09月27日(月) レスヴォス島・ シグリ(泊)

 通常ホテルのチェック・アウトは10時なのでそれまでに出ようと準備するが、支払いに行っておじさんに日本の旅行ガイドブックにこのレンタル・ルームの記事を載せることを強烈に依頼され話込まれてしまったので部屋に戻って昨日までに食べようと買って来てしまった物を片付けるのに必死。だが出発の11時の15分前にはどうにか宿を出ることが出来た。

 出発時に宿のおじさんが見えないと思ったらバス停でちゃんと私を待っていて、車掌にシグリまでこの日本人が行くからよろしくと説明していた。

 バスはシグリに直接行くのかと思っていたら地図を見てみるとそうではなさそうだ。途中で乗り換え?。そうに違いない。

 やはり地図で目星していた分かれ道のカロニの町で車掌から目配せの合図がありバスから降りる。

 それからが大変だった。次の乗るバスの停留所が分からないのである。車掌はあちらの方だというように降りる時に指差したがそちらにそれらしき標示はない。
 三叉路になった公園のベンチに、ちょっとたよりなげなおじいさんが腰掛けていたので大丈夫かなと思ったがとりあえず訊ねてみる。ギリシア語の用例辞典を見せながらそのおじいさんと一緒に声を出して「シグリ行きのバス停はどこですか?」
 するとそこからずっとあちらだと指差す。お礼を言ってそのあたりに行くがやはりそれらしきものは見当たらない。
 分からないので今度は道を歩いている女の子に訊く。するとさっきのおじいさんのいる向こうの方だというので引き返して行くと又ベンチに腰掛けているさっきのおじいさんと目が会った。おじいさんは「しょうがないなあ」という風に急にシャキッと立ち上がり私を先導して杖を突き進んで行く。しばらく行くと前方に一台のバスが待機しているのが見えた。「アッ、分かりました。どうもありがとうございました」お礼を言い、重い荷物を持って走る。ぐるっと町を回った一方通行道路脇にバス停留所はあった。


 「このバスはシグリに行きますか?」
 「シグリ行きはここに停まるから待っていなさい。12時発だから」
 私は安心してホッとした。12時までまだ10分ある。
 すぐにバス一台がそのバスの斜め後ろにピタッと付けた。私はとっさにバス前面に回り電光掲示板で表示されている行き先を確かめた。「Mo………」。
 「シグリ行きではないな」と判断。
 そのバスは間もなく発車し、それから今までそこにずっと待機していたバスも続いて出発した。時計を見た。約12時になっていた。
 それから目的のバスが今にやってくるかとその方向をずっと見ながら待った。こちらの交通機関は遅れることもしばしばとの感覚があったので15分は待ってみなくちゃあと思った。
 来ない!。もう12時を20分はとうに過ぎている。
 30分待った、が来ない。
 40分で諦めなくてはならない、と思った。始発点ミティリニからこの町まではバスで約1時間の行程である。何がなんでもここに来るまでこんなに掛かりはしない。

 シグリ行きのバスは1日に1本だということを聞いていた。仕方ない。タクシーで行くか。それとももう一度バス始発点のミティリニまで行って1日泊まり、明日のバスでシグリにまで行くか。


 タクシー代はモリヴォスのおじさんも言ったようにこの距離では30ユーロ(4,200円ぐらい)かかる。ざっと計算してみると日程を稼ぐためにも今日シグリに行った方が良い。今晩ミティリニで泊まればそこでかかるホテル代と同じだ。何より少しでも早く到着したい気持ちがあった。

 ここバスを乗り換えるために降りたカローニは割合に大きな町で、タクシーは待っているとすぐに掴まった。シグリまでの料金を訊ねた。「35ユーロ」。
 予想していたより少し高い答えが返って来たがOKを出した。
 そこから目指すシグリまでは約30km。殆どオリーブと雑草がまばらに生えた肌山に近い。くねくねとした山道を走る。島のメイン道路だが山しか見えず変化なくとてつもなく退屈な道だ。昨日はおじさんの案内でカテドラルなどを見ながら回り道をしてそんなに感じなかったが、無口(片言の英語で話にならない)のタクシー運転手とではどうしょうもない、日本車の話などをした後は話題が無くなってしまった。バスの方がどんなに良かったことか。

 35ユーロだと言われたが、運ちゃんも大変だったろうなあと思い、ありがとうを言って40ユーロを手渡した。

 シグリは漁村をそのまま観光化したような小さな町だ。先ず町中に一歩踏み込んで一回りしたが町中にはホテルらしきものは見当たらないので再び元に引き返し、港近くにある一番目立ったレンタル・ルームを借りた。この季節、客らしきものは一組ぐらいしかいなくホテルはガラガラだった。一階はカフェバーになっていたがほとんど客は見えない。借り部屋は3階。テラスの眼前にはあこがれてやって来た目的の海が広がっていた。

 「翌日へ」


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