rioshimanの日記
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| 2004年09月21日(火) |
レスヴォス島・ミティリニ 〜 モリヴォス(泊) |
お昼前11時のバスで島の東部にあるミティリニから島北部に位置するモリヴォスに向かう。ミティリニからモリヴォスまでは50kmぐらいの長距離だ。
昨日、長距離バスは市内バスとは違って乗り場が別だということを聞いていた。その場所の近くに行ってもそれらしい停留所がないので通りがかりのおじさんに訊くと、親切に近くまで連れて行ってくれあの大きな建物の裏側だと教えてくれた。
チケットを購入するとき係員が何時のバスに乗るの、と訊くのでやや不可思議に感じたが、やがてバスの用意が出来たアナウンスがあって、そのバスに乗ってみてようやくその意味が分かった。
地元の人は慣れているのだろう。案内があって一斉に急いで乗り込んでいるようだったが、私は重い荷物を一個バス脇の荷物室にエンやっと入れてバスの乗り口を上がると、何と座席は整列したように丁度ぴったり最後の人がいま腰を掛けたところだった。日本の私の田舎バスで何時も空きゝゝなのに慣れているせいか、この車内の混みようには驚いてしまった。しかし見渡してみると乗客の大半が私よりずっと年を重ねた方ばかりで早く乗り込む理由がなるほどと納得出来た。昨日バス停で私がモリヴォスに行くと行ったら、すぐタクシーの運ちゃんが自分の車に乗りなよ、と言ってくれた。しかし明日バスで行くと答えたので残念そうにモリヴォス行きの停留所はここでなくあの向こうだよ、とその大体の場所を指差して丁寧に教えてくれたんだっけ。そのお陰で今日はまごつかずバスに乗れたのだから仕方ないか。
その後も4,5人の若者達が出発間際にやってきて勿論わたしと同じ立席だ。最後までずっとこのままかと思ったが、全行程の2/3位のところに割合大きな町があり、大半の乗客はそこでバスを降りやっと席に座わることが出来た。 そこから一山超えるとやがて海が見え、カストロ(城壁)の下に扇子のように広がる見事な形をした町が眼前に現れてきた。ここが目的の場所モリヴォスだった。
どうしてモリヴォスにやって来たかって? 最初から計画に入っていた訳ではない、ガイド本の片隅にわずかしか載っていなかったけれど、もしかしたら良い町かも知れない、という勘だ。
ここは遥々やって来て想像以上に素晴らしい町だった。バスから降りるとすぐ宿引きのおじさんに捕まった。あまりにも熱心に日本に行って日本が好きだとその時のことを話すものだから、宿を見てから決めるということにした。でおじさんの後を延々ついて行って、やや高いところにあって少し歩き疲れたが何も断る理由のない程きれいな部屋だった。台所も電気コンロもついているし、ここなら一ヶ月ぐらい住んでも良いなという感じだった。宿泊一日25ユーロもまあまあの金額だったし私はすぐ2晩ということでOKを出した。
先ずシャワーを浴びてすぐさま飛び出す。下に海が見えて赤い屋根のコントラストも本当に素晴らしい。どこを採っても絵になる。 城壁のある上は明日にして今日は海の方へ下って行く。2,3カ所写真に撮って、それから少し行って民家の脇に入ると、そこに可憐に咲いている小さな花の薄紫色にすぐ惹かれてしまった。遠くには何重もの島々の輪郭が山水画のように浮かんでバックになっている。すぐスケッチ箱を広げて便箋大の用紙にフェルトペンで絵を描き始めた。
数時間かけてこの絵は先日久しぶりに電話をくれた大切な友人に手紙と一緒に送るよう気持ちを込めて、何とか自分でも満足のゆくものが出来てほっとしたところだった。それまでにも何人かスケッチをしている側を地元の人や観光客が通り過ぎた。最後に声を掛けてくれた観光客は珍しく側にじかによって来て絵を見てこれは素晴らしいと英語で褒める。何やら絵はいくらで売るのかと言っているらしかった。そして今お金を持っていたら買うのだけれどと勝手なことを言って帰って行ったが、しばらくすると本当にお金を手に持ち眼前に立ってこの絵を欲しがっているのが分かった。私はせっかく大事な友人に送るのが出来て目的を達し喜んでいたのに、この私の絵を実際に認めてくれた観光客の気持も無視することが出来なかった。少し、いや本当に迷ったあげく仕方なく彼にゆずることにした。絵は又良いのを描けばいいやという思いがどこかにあった。国籍を訊くとアメリカ人だった。手に持ってこれでどうかと示してくれたお金の額は20ユーロ。そんなにと一瞬思ったが落ち着いて計算してみると日本円で3,000円ばかり。そんな無茶な…と思ったが(日本で友人は私のハガキ大の水彩を10,000円で買ってくれる人もいる)今日はその気持ちを受けただけで感謝し絵を渡すことにした。そしてこれは初日、到着したばかりの第一作の小手調べで、明日から又頑張ればいいやと決心した。この様子ではこの町で予定以上滞在するようになるかも知れないという予感がした。題材はいくらでもありそう。
さらに下って小さな港付近の賑わう街並のある店頭で沢山の絵が並べられているのを見つけた。良い絵は一つも見当たらない。先程、観光客が私から買った絵の倍ぐらいのサイズのあまりパッとしない漁船の絵が一番手前に飾られていた。定価は40ユーロだった。ははーん、先程の客はこの絵からあの価格を判断したのだなぁ、と思った。
「翌日へ」
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