医療保障の破滅によって被害を受けた、普通のアメリカ人数名のプロファイル。 危機的状況がしだいにあらわになっていく。 保険料を律儀に支払っているにもかかわらず、「保険」の意味をなしてないパターン。 カナダ、イギリス、フランスといった国では、国民全員が無料医療という恩恵を受けているのを目の当たりにするマイケル・ムーア氏。 最後はキューバに飛んで、医療現場の実態に迫る。。。
『ER』を見ていると、時々、保険云々のセリフがあるので、アメリカの医療保険が、日本の国民保険や社会保険とシステムが違うことだけは知っていた。 けど、こんなにも違いがありすぎたとは…ビックリ。 同時に、ムーア氏と同様、カナダ・イギリス・フランスの医療制度にも本当に驚いた。
劇中、取材するムーア氏の質問に「え?(当然でしょ?)」とか「は?(当たり前でしょ?)」といったリアクションをしているカナダ人・イギリス人・フランス人が多かったけど、その社会システムを「当たり前のこと」と当たり前に思って暮らしている人にとって、当たり前の事を疑問に思われると不思議なんだろうなぁ。
私が住む地域には、ブラジル人が多く住んでいます。 勤めている人は当然、社会保険があるだろうし、働いていない人は国民保険を納めているだろうけど、「保険料を納めている=医療費が無料」と思い込んでいるブラジル人が多く、病院や役所でトラブルが起きることもあるという話を聞いた事があります。
我々にとっては、「保険料を納める=保険適応の医療費」が当たり前なんだけど、ブラジル人からすると「保険料を納めて保険適応」というシステムが理解できないみたいなんです。
私が子供の頃、父や母(←社会保険の本人)は、医療費が1割負担だったんだよねー? 今や昔の状況ですね。
昨今の「妊婦たらいまわし事件」の発端も、国民保険を納めていなくて(保険証がなくて)かかりつけの病院がなくて、臨月⇒救急車⇒出産というパターンも増えているそうで、「病院だけが悪者じゃない!」という新聞のコラムを読みました。
アメリカほど極端ではないにしても、日本の医療も私が子供の頃に比べると(ここ20年ぐらいで)いろいろ変化してきていると思います。
総合病院に勤務医がいなくなって科の縮小や閉鎖なんて珍しくなくなってきたし、私の住む街でも、2つのマタニティクリニックが閉鎖して、産婦人科は、今や市立病院だけです。 数年前(まだ上記、開業医があった時代)「市立病院では1年に365人は産まれない(1日1人の出産がない日もある)」と言われていたのに、去年はナント1,100人の赤ちゃんが生まれたそうな。 「どこが少子化?」って思うけど、ここしか産む場所がないからしょうがないんだよね…。 今では「浜松と掛川に住んでる人は、自分のところの産婦人科にかかってください!もういっぱいいっぱいです!」というお知らせが貼ってあります。 待合で大きなお腹を抱えている妊婦さんを見ると、「あぁ…私は妊娠以外で来ててすみません…」と思わず小さくなっちゃう(笑)。
あと10年、20年、、、私がオバサンになる頃には、日本の病院や医療はどうなっちゃうのかなぁ?
お国は違えど、「医療」という身近な問題のドキュメンタリーで、とても興味深く見れた作品でした。
♪BGM〜『ヘアスプレー』サントラ
<<昨日は『アグリー・ベティ』
■感想予告■(映画見済・感想暫待) 『めがね』
|