思考過多の記録
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そういえば、最近よく夢を見ると思っていた。自分が持っていた「夢」は、その多くが実現しないままに捨てられたり、忘れ去られたりしているのにもかかわらず、どうして寝ている間の夢だけはよく見るのだろうと思っていた。 それはどうやら、眠りが浅いということの証明であるらしかった。
先週末からなかなか微熱が下がらず、しかしこれはいつもの風邪だろうと思っていた。折しも職場で僕の目の前の席にいる人が、ここ数週間ずっと風邪をひいていて、微熱を押して出社し、咳き込みながら仕事をしていた。だから、てっきりそれをうつされたのかと思ったのだ。 しかし、ある程度安静にしながら市販の風邪薬を飲んでも埒があかない。そこで、近所のかかりつけの医者に行った。医者の診断は、「自律神経失調症」というものであった。
その病名は僕にも聞き覚えがあった。自律神経、その名の通り僕の意思や意識とは無関係に体の各系統の動きを司っている神経の活動が異常を来す病気だ。最近脳に関する本を読んでいて思うのは、人間の体は24時間知らず知らずのうちに、実に様々な外側からの刺激を受け、それへの対処を迫られている。そのいちいちを意識して行っていると、とてもじゃないが全てに適切に、かつ迅速に対処することはできないだろう。というわけで、人間の体の中には、勝手に判断して勝手に動いてくれる仕組みができあがっているというわけだ。僕達の意識は、その上に乗っかっているに過ぎないとも言えるだろう。 普通は個体の生存のための最適な方法を見出しながら動いてくれているこの自律神経に、どうかすると狂いが生じる。そして、外界の環境や刺激に対して必ずしも適切でない命令を出し始める。この状態が「自律神経失調症」というものである。 僕は医者ではないので正確な説明ではないのだが、概要は多分こんなところであろう。
自律神経を狂わせる原因としては、睡眠不足・不規則な生活・ストレス等々が上げられるそうである。不規則な生活というのはさほど当てはまらないとは思うが、睡眠不足とストレスは確かにあると思う。仕事はきつくなっているし、残業や組合の会議で帰宅遅くなれば、それだけ食事の時間も遅くなるし、就寝も遅くなる。また、就寝までの時間が短くなってしまうので、どうしても直前まで神経が高ぶるようなこと(新聞を読んだり、こうして文章を書いたり)をしてしまいがちになる。そうなると、寝付きは悪くなり、眠りが浅くなる。起床時間を変えるわけにはいかないので、結果的に睡眠不足になるというわけだ。 理屈では分かっていても、このパターンを変えるのは容易ではない。暫く仕事から遠ざかることができればよいのだが、ご多分に漏れずうちの会社でも人員は減る一方なのに、仕事の量はさほど変わらない。一人がこなさなければならない仕事の量は増えているのに、締め切りは変わらない。しかも、組合の会議で話される会社の経営状態に関する情報は悪いものばかりだ。 ストレスも溜まろうというものである。 「生活習慣病」という位置付けだからなのか、医者からこれといった薬は処方されていない。
それにしても、自分の意思ではコントロールできない神経が、勝手に自分の正常な状態を維持してくれていて、なおかつそれが勝手に狂って暴走を始めるということになると、一体この体は誰のものなのかと思ってしまう。しかし、考えてみると、人間以外の生物はおしなべてそんなものなのだろう(他の生物には自律神経失調症は発症しないと思うが)。人間は、その上に「意識」という(やっかいな)おまけが乗っかっているというだけのことなのかも知れない。 何しろ自分の意思で正常に戻すことができないものである。僕には正常化の手助けをするように努力することはできるだろうが、どこまですれば元に戻るのか、皆目見当もつかない。僕の自律神経の暴走はいつまで続くのか。過去と現在、空想と虚構がない交ぜになった、コントロール不能な夢の世界を連れて、浅い眠りが今日も僕に訪れる。
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