聞き込み途中の街で見た西洋の恋人のように、出かける前に扉の前でキスを してみたいと思ったけれど、鳴海さんの朝は遅い。無理矢理起こすのは イヤだし、こんな子供っぽい憧れに付き合ってくれるかも不安なところだ。 仕方がないので、せめて寝ている頬にひとつ、と思ったら、鳴海さんは そんな僕の下心に気付いていたのか、頭の先まですっかり毛布を被って 鉄壁の守りで眠っていらっしゃる。仕方がないので毛布越しに唇を寄せたら、 寸でのところで毛布が開き、鳴海さんの満面の笑顔が飛び出した。 僕は吃驚して、思わず1歩下がる。「ご、ごめんなさい」謝った。 鳴海さんは目をこすりながら、こちらを見て「ライドウちゃんのお望みどおりに」 と言ってくれたけれど、こちらは顔から火が出そうだ。 「今日は何時ごろ帰ってくるの?」と聞いてくるから、 「志乃田に寄りますので、少し遅くなると思います」と答えたら、 「・・早く帰っておいで。ライドウちゃんが焦らすから、お兄さん、寂しい」 と言われた。腰骨の辺りに熱が溜まりかけたので、慌てて散らすように 踵を返した。今夜はつくねだんごでお祝いだ。
今日、電車の中で突発的に
ああ鳴海さんが好きだ
という気持ちが溢れてきて参った。
こう、なんていうか、恋をしていると白昼夢を見やすいと思うのです。 特に朝の電車の中って、寝ぼけてるし、本読む気力も無いし、そんな 状態で立ちっぱなしのせいで、意識が空蝉になって自分が好きなものに 持って行かれるような・・・。なんか、物凄くあたたかいやわらかい 気持ちになって、焦ってしまいましたよ!
でも寝ます。月曜日ですからね。
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