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大阪のつづき
2003年09月21日(日)

昨日の日記に続いて大阪の話を書きたいと思うのだが、全部書くと無駄な長さになってしまうと思うので割愛して書きたい。

まず、大阪城について。私はこれはぼられたなと思う。600円だけど。
黄緑のお城なんだけど、まあ作り直したお城。登っても景観もそこまでいいってわけじゃないし、私はよくある変な映像みたいのが嫌い。
何が一番いやって、ようするに戦争の話でしょ、ってとこだと思う。
昔の話だからって戦争を美化する理由がわからないし、真田幸村だの、武将がヒーローになる理由も理解できない。

大阪城の公園にはやはりビニールの家がたくさんあった。


それから大阪環状線の桃谷という駅で降りて散歩した。在日コリアンの人が多いらしくて、キムチなどを扱ったお店の多い商店街もある。

あとなんばをてくてく歩いたけれど、道がわかりにくくてすぐ迷った。
大阪の街は「キタ」と「ミナミ」と呼ばれる地域に分かれていて、キタはJR大阪駅、地下鉄梅田駅のあたりで東京とまったく同じ雰囲気がする。
ミナミはなんばを中心とした道頓堀、千日前、の辺りでなんばグランド花月なんかもある。ミナミの方がごちゃごちゃした感じがして面白い。
ここはかなり歩いた。

それから環状線芦原橋駅のところも歩いた。そしてリバティおおさかというところに行った。人権博物館というところ。
私はこれはかなり面白かった。
500円だったけど、もっと高くてもいい。
最初、ミニ映画みたいのを見た。ストーリー性のないものなんだけど、すごくがーん、と思う。
次に展示物を見るのだけど、引退した年くらいの男の人が何人かいてすぐ説明してくれる。ボランティアの人だろうか。
同和問題のこと女性問題のこと、在日の人や沖縄やアイヌの人たちのことなどの展示がある。
それから、色々な人のコメント(映像入り)を聴けるところがあって、私はここで色々な人の話を1時間半くらい聴いた。
住井すえという人の「橋のない川」という長い小説があって、大学のころ、長い話が読みたいという理由で私は読み始めたのだけど、はまったことがある。同和問題の話で、この映画化されたものの上映を大学の歴史学研究会がしたので見に行って、話し合いに参加してやたら発言してしばらくマンドリンと兼部して歴研に入っていたくらいである。
で、その住井すえの話が聴けたのでとても面白かった。
それから狭山事件の人の話と部落の人の話と在日3世の人の話を聴いてものすごく考えさせられた。
あと、字がかけなかった人が「識字」(そういう会があるのか)に通って字が書けるようになって作文を書いたものがたくさんあって、それを読んだ。
すっごくせつなくなる話がいっぱい載っている。
中でも家族の借金のかたとして体を売っていた人の話がぐっときた。
なんだかぜんぜん知らない話がいっぱいある。日本にもまだまだたくさんの問題があるんだ、と当たり前のことを思った。
それに、私は大学を出ているけど、どうも、それで頭が良くなったとか、そんなことはぜんぜんないみたいだ、と思う。
字がかけないような人だってものすごくたくさんのことを考えているし、年をとってからでも勉強するとたくさんの思いが出てくる。
うまくいえないけど、私にも思い上がりのようなものや、差別の心のようなものがあるような気がする。
そして私もまた誰かから差別されていたりするんだと思う。
同和問題、というとそこだけの話の話しみたいに感じられちゃうけど、そうじゃなくて、私の問題なんだ、と思った。
普段の生活の中にもそういうものはあるし、思い込みとか思い上がりとか、そういうのはものすごく気をつけたい。
私も私の権利は主張したい。


それから帰って来た。

あと、夜行バスを降りて、電車乗ったら、東京ディズニーランドの社員の人と一緒になって(バスから一緒だったらしい)なぜかずっと喋ってきた。「今の企業は」とかいう話で難しくてよくわからなかったけどうなずいていた。でもいいおじさんだった。

大阪はガイドブックに載ってない部分が一番面白かった。
最初はぜんぜん分からなかったけど、ちょっとずつ、なんとなくわかってきた。




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