Niseko-Rossy Pi-Pikoe Review
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| 2009年02月27日(金) |
パウル・ザッヒャーの80歳を祝って作曲された『第一旋法によるティエントと皇帝の戦い』 |

『Christobal Halffter : Orchestral Works』 (col legno) ■
なんだかさー、80年代のはなしだけど、 NHK−FMで評論家でナレーターだと思っていた近藤譲の息詰まりの知性トーンで紹介された 「第一旋法によるティエントと皇帝の戦い」という曲を、 六本木のWAVEに行くたびに探していた記憶があります。
静かで穏やかなオーケストラが、毒がまわったように不協和音の嵐に呑み込まれていった、と、思いきや、能天気な皇帝お迎えマーチになってしまう、という、現代の分裂症ここに極まれり、というスケール感、ダイナミックな曲だった。 放送で聴いたのは。80年代的な歴史喪失のなんでもアリ感で、とっても良かったんですね。
最近HMVのサイトで見つけたのでさっそく入手して聴いてみたのですが、 作曲者本人の指揮によるものであるのに、ちっともダイナミック感が出ていない。ぜんぜん良くない演奏だった。
これは矛盾する事態なのだろうか。作曲者、当の本人が「この曲はこうなんだよ!」とCD化してみせたヴァージョンが、 かつての、おそらく初演時のどこかの国の放送協会提供の録音テープ、に比して別物のように劣っているという事態。
“パウル・ザッヒャーの80歳を祝って作曲された『第一旋法によるティエントと皇帝の戦い』はバーバーのアダージョのように穏やかに始まり、次第にクラスターの嵐になるかと思えばイギリス王朝の儀式を思わせる典雅な音楽となる、変化にとんだ面白い作品。” とHMVのトレーダーは記述している。
おお。パウル・ザッヒャーではないか。おれもよく知らんが、20世紀を代表する目利きのパトロンだったひとではないか。 ECMにも彼に捧げられた作品があった。でも、どしてハルフテル(アルフテル)はこんなキテレツな作品にしてしまったのだろう。

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