Land of Riches
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夏休み6日目、森美術館と映画館に行ってきました。 (六本木にもTOHOはあるのにスケールの差で日比谷で見たという)
まずは「地球がまわる音を聴く」について。コロナ禍にあって、心身共に健康である well-beingの意味を現代アートを通して考え直すというテーマですが…ヘビーでした。
写実に徹底して写真と見紛う、でも写真ではなくその場で描いた精密な樹木の皮。 直方体にミルクを張った『石』、蜂蜜の塊でくみ上げられた『家』。 地球の自転に反抗して北極点で逆回りする男のタイムラプス映像。 家をひたすら回り続ける、あるいはひたすら風呂や別途に入ろうとし続ける男のビデオ。 日常と非日常―COVIDのせいで境界の定義が怪しくなったのを意図しているようですが。
最も重苦しかったのは自身もDV被害者である女性が製作した男の形にパンを焼いて 食べる映像。DV被害者と加害者と対策担当者のインタビュー併映です。 加えて、森美術館の来場者が書いた感想から作者が思うところあったものを 紫色の壁に転写する(女尊男卑で不愉快になったという60代男性のも DV被害者の感想が多かった中に加えて書いてあったのは天秤座的には好評価) 現在進行形の作品でした。パンを食べる女性芸術家に自分を投影して癒されたという DV被害者男性の感想も転写されてましたが、不条理にぶつけられた感情は 結局何かにぶつける以外に昇華方法はないんだという虚しさを覚えました。
幽遊白書にあったんですよ。人間は誰でも壊せるおもちゃを持ってるって。 ただそれが人によって違うだけ。幽白の主人公は強すぎたから、壊すものが 一般的な倫理から超越しちゃっているだけ…というような話が。
力の弱いパートナーに当たる。大人のパートナーが無理なら非力な子ども。 子どもがダメなら言葉の通じないペット。ペットいないなら他人のペットや野生の生き物。 動かれるとぶつけられないなら、動かぬ物。ぬいぐるみをバラしたり。 パンは一体化もできますが、後に残らないから個人的にはぬいぐるみ以下。
結局、自分より弱いものに当たってるだけ。それが自分が練り練りして 焼いたパンだっただけ。被害者でもあるそのアーティストにとって癒しなのかは 本人じゃないと分かりませんけど、部外者=観測者の私にはただただ空しいだけでした。
もう一つ、催眠術を利用して、英語でI am not a machine...と繰り返させ、 舌が回らなくなってI'm a machineになる展示もだいぶ胸糞悪かったです。 特別な人間だという自負の出どころを表してる(実は大したことない)んでしょうが。
私は人間を演じさせられている、というフレーズは刺さりました。 ヒトであるから、ではなく、刀剣男士の主たる審神者として。
かなり鬱屈とした気持ちになってしまったため、美術館を出てから映画館に向かいました。 グラブルでコラボも始まるし、とチョイスしたのはONE PIECE FILM RED。 劇中歌が7曲もあって、ひたすらAdoさんの歌を聴かされる羽目になる…という評判も 知っていた(LIVEをアニメ化して応援上映させるルーツはKIG OF PRISMで 合ってるんでしょうか?)把握してたんですけど、逆にそれがいいかなと思って。
単行本は100巻、アニメも1000話を超えていて、私の推し(和田さん)も 大好きな漫画ですけど、私はチョッパー加入辺りで原作挫折した組。 グラブルコラボに出てくる麦わらの一味も、知らないキャラかなりいます。 (コラボ、ストーリーは楽勝だけどアイテム集めるのが面倒…!)
それだけの歴史がある物語に、後付けで、物凄い序盤に出てきたキーキャラである シャンクスの娘として…主人公の幼馴染として設定された世界一の歌姫ウタ。 夢小説作者も真っ青の位置にねじ込まれながら、それでも対戦相手としての 強すぎる爺キャラ設定に飽きていたという原作者がお出ししてきたヒロインは、 ワンピ知識が無くても泣いてしまうぐらいの大活躍をして去って行ったのでした。
帰宅してからyoutubeにUPされていたアニメの連動回を全部見たり、 特典の4/4巻を何度も読んだり、AdoさんのPVを繰り返し見たりしました。 端的に言うと、やられました(笑) 楽曲提供者、凄い豪華なんですけど、 ゆえにカラーが全然違うのに、全部歌いこなしてるAdoさん恐ろし過ぎです。 アニメの連動回で出てきた少女時代の上手じゃない歌い方も…。 (演劇でも感じるのですが、プロにとって下手な振りをするのってかなり難しい)
私、挫折から這い上がってきた人が好きなんですよね。完璧な完成形ではなく。 ウタは純粋過ぎて狂気の域に達してしまってましたけど…でも悪者ではありません。 (出来る限りたくさんのキャラが出た方がいい劇場版で主人公の現在の力量に適した 戦い甲斐のある敵を連れてくるって、本当に大変ですよね)
このLRもウタの歌を聴きながら書いています。 私は明るい未来を信じるのが難しくなってしまって、毎日毎日をやり過ごすように 生きているけれども、それでも明るい未来を希望する想いが無くなったわけではなく。
つまり、ウタは眩しかったのです。
2022.9.16 wrote
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