橋本裕の日記
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| 2007年10月09日(火) |
コスモスとモズと富有柿 |
今頃はコスモスがきれいだ。風に揺れている風情がとてもよい。散歩道にもコスモスが咲いて、一斉に風に揺れている。まるで私に微笑みかけているようだ。
そのコスモスのかたわらを抜けて、妻の畑に足を運ぶ。そして、私が2年前に植えた富有柿を見る。植えたときは私の膝ほどだったのが、今は私の背丈を越えている。
ただ枝ぶりはよくない。ただひょろひょろと上に伸びて、先端ちかくに大きな葉を何枚も茂らせているので、とても不安定だ。すこし強い風が吹くと折れてしまいそうなのが心配である。
その危険性は柿も感じているのか、最近は伸びるのをやめて、栄養を本体の幹にまわしはじめた。緑色だった茎の色も、いくらか茶色になって、木の肌らしくなってきた。この調子で少しずつ幹が太っていけば、なんとかこの冬は越せるのではないか。
山国に火色の赤き富有柿
これは森澄雄さんの句である。私の植えた富有柿にも来年あたり赤い実が一つか二つは生ってくれるかもしれない。来年のことを言えば鬼が笑うだろうが、これは私のささやかな楽しみであり、願いなのだ。
柿木の今日は高みにかたつむり
これは飴山實(あめやまみのる)という人の俳句である。柿の句のなかでも私が好きな句である。飴山さんは細菌学の研究者で、俳人の長谷川櫂さんのお師匠さんだというくらしか知識がない。この句も長谷川さんの「俳句的生活」(中公新書)という本で見つけたものだ。
柿木の高みに探すかたつむり 裕
飴山さんの句が念頭にあるので、柿木を見上げるたびに、なんとなくカタツムリをさがす。そして、こんな駄句をつぶやいていると、いきなり近くで鳥の鋭い叫び声がした。見るとモズである。棹の上に止まり、もう早々と高鳴きをしている。
このモズとも長い付き合いだ。私たちは夫婦とはすっかり顔なじみになっている。今年もよろしくと、私たちに挨拶をしているようにも聞こえた。
(今日の一首)
コスモスのゆれる畑にモズがきて 高らかに鳴く秋は来にけり
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