橋本裕の日記
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7年ほど前に、経済学について集中的に勉強したことがあった。経済こそ社会を動かす基礎だと思ったからだ。あちこちの図書館で経済学の本を借りまくり、なんとか経済現象のメカニズムや本質を理解しようとした。その成果が「橋本裕の経済学入門」である。
これはなかなか評判がよく、私が知らない間にあちこちのサイトで紹介されていたり、大学の経済学部の4年生に在籍していて就職活動中だという大学生から、「これを読んで、今まで大学で勉強していたことがはじめてよくわかりました。就職活動にも自信がもてます」とメールをいただいたりもした。
これはほめられすぎだと思うのだが、「わかりやすく説明する」ということにかけては自信がある。理科や数学の教師を30年近くやってきて、難しいことをやさしく解き明かし説明することについてはプロである。それに文章も高校時代から毎日書いているから、簡潔に書くコツも心得ている。
と、いつまでも自画自賛していてもしかたがないので、経済学について話をもどそう。経済学は現象の背後にあるメカニズムを論理的・実証的にあきらかにするという意味で数学や物理学と似ている。だから、私が物理学を大学や大学院で学んだことが、経済学を理解するうえでも大いに役に立った。さらに理論を応用して社会に役立たせるというゆたかな応用力を持つという点でも、自然科学と似ている。
といって、経済学は単なる科学ではない。経済現象が自然現象と根本的に違うのは、それが人間の集団が生み出す社会現象だということだ。だから、経済現象の背後には人間の集団的な意志や希望や欲望がある。数学や物理学のように意志を持たない「点」や「原子・分子」が相手ではない。この点が厄介だが、それだけに自然科学にない面白さがあることも事実である。
いずれにせよ、経済学を集中的に勉強したおかげで、社会のしくみや動きがよくわかるようになった。また、現在世界で起こっているさまざまな現象についても、自分なりの分析や判断が下せるようになった。これは経済学を勉強したことのご利益ではないかと思っている。
(今日の一首)
くさむらの虫のすだきに足をとめ こうべあげれば星もまたたく
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