橋本裕の日記
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2006年10月06日(金) 仕組みが分かれば面白い

 自然科学が好きになったのは、中学生の頃だった。この世の中には100種類ほどの元素からできていて、すべての物質はこれらが結合してできたものだ。たとえば水は酸素と水素からできている。それが証拠に、実験室のフラスコのなかで水素と酸素をまぜて電気火花を飛ばすと、フラスコの中が真っ白になる。水蒸気ができたわけだ。

 また、水を電気分解すれば、酸素ガスと水素ガスが発生する。しかもその体積の割合が、1対2になっている。こうした実験をとおして、水が酸素と水素からできていること、そして水がH2Oという分子式で簡潔に表現されることを学んだ。

 こうした実験や先生の説明に、私たちは目を輝かした。なぜそんなにも感動したのか。それは物質の世界を成り立たせている「仕組み」が分かったからだ。新しい知識を得ただけではなく、そのメカニズムが分かり、その全体像がほの見えたとき、「なんだ、そうだったのか」という大きな知的満足が得られる。

 もの事を理解するということは、そのメカニズムを知るということだ。ものごとの仕組みやからくりがわかったとき、視界が一気に開けて、「面白い!」と叫びたくなる。これは自然科学だけではない。数学にも言えるし、社会科学や人文科学にも言える。そして語学の学習にもいえることだ。

 たとえば、6÷3が何故2になるのか。これは「6のなかに2がいくつありますか」「6は2の何倍ですか」と言い換えることができる。そうすると、たとえば、3を1/2のような分数で割ったときも、1/2の6倍が3だから、6という答えを得ることができるわけだ。ただ丸暗記するのではなく、こうした割り算の仕組みが分かれば、算数がグンと面白くなる。

 英語もおなじではないだろうか。ただ単語をや文法を丸暗記していても面白くない。その仕組みを理解すれば、「なあんだ、そういうことだったのか」と、知的な好奇心が触発されて、勉強するのがたのしくなるのではないだろうか。日本人が英語が苦手だというのは、教授法の不備ということも大いにあるのではないかと思われる。

 仕組みがわからないまま、むやみに色々なことを暗記しても、これほどの満足は得られない。そしてそうした知識はやがて忘れられてしまう。それは心を揺すられるような知的興奮がないからだ。私は暗記科目が苦手だったが、ひとつにはそこにはこのメカニズムを知ることで得られる「面白体験」が稀薄だったせいではないかと思っている。

 私の場合は自然科学が「面白体験」の出発点だったが、その後、いろいろな分野を勉強し始めて、数学はもちろんのこと、経済学や言語学、政治学など、例外なくすべての分野が、この「面白体験」の宝庫であることに気付いた。そして最近は英語まで面白くなってきた。英語を勉強していると、脳内に快感ホルモンがあふれてくる。

 からくりさえ分かれば、実のところ何をやっても面白い。私自身のこうした「面白体験」を集めたものが、「何でも研究室」である。現在60余りの「研究室」が並んでいるが、人生の時間が残されている限り、これからもどんどん増え続けるだろう。多くの人々と人生のいたるところにあふれているこの知的興奮をわかちあいたい。

(参考)
「何でも研究室」
http://home.owari.ne.jp/~fukuzawa/kennkyu.htm


橋本裕 |MAILHomePage

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