橋本裕の日記
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2006年01月31日(火) がんばれ、うまがき君

 散歩の途中、妻の農園に寄って、先月18日に植えた冨有柿の苗の様子を見ている。植えたときとほとんど変化はない。まだ値札までついたままだ。ちなみに、12月18日の日記にこう書いた。

<(散歩の)帰り道に「赤尾園芸店」に寄って、900円で冨有柿の苗を一本買った。それを妻と二人で畑に植えた。園芸店で言われたとおり、支柱を立ててしばりつけた。小さな苗木だから、実を着けるのは3,4年後になりそうだ。苗を植えていると、空が明るんできた。

 柿の苗植える背中に冬日あり>

 植えるのが時期的に遅かった上に、そのあと直ぐに記録的な寒波に襲われ、この地方も珍しく大雪になった。これでうまく根付くのか心配した。この心配は今も続いている。妻が次女の大学の馬術部へ行って馬糞をもらってきた。それが柿の苗の根本においてある。

 それを見て、私はこの冨有柿に「うまがき君」という名前をつけた。さっそく、妻にそのことを報告した。

「これからは、うまがき君だからね」
「へんな名前ね」
「君がやった馬糞で育つわけだろう。馬のうまと、あとは・・・・」
「うまい柿に育ってほしいというわけね」
「そうだよ。どうだ、これこそうまいネーミングだろう」

 一昨日の日曜日は快晴だった。散歩の後、いつものように妻の畑を訪れた私は、畑のはしにぽつんと日時計のように立っているうまがき君の前に腰を屈め、こんな風に話しかけた。

「寒いだろうけど、まけちゃいけないよ。そのうち、春が来るからね。君はきっと立派な冨有柿になれるよ。そのうち葉っぱがはえてくるさ。おしいい実もたくさんなるだろうな。そしたらみんなが君を尊敬し、感謝するよ。君の未来は明るいんだ。僕たちが応援しているから、大丈夫だからね。君もがんばるんだよ」

 こうして話していると、何だか新しい子どもができたようでもあり、友達ができたようでもあって楽しい。耳を澄ませていると、うまがき君の、「まあ、みててごらんよ。そのうち、りっぱな柿をたくさんつけて、よろこばせてあげるよ」という声が、私の心の中に届いてきたようだった。

 青空や柿の苗木も春を待つ  裕


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