橋本裕の日記
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昨日の日記について、ある人からメールをいただいた。
<「二人を繋いだ宮沢賢治」は実にいい話です。お二人を結びつけた書物がいまもそこにある。他人ごとながら、嬉しい気持ちになりました>
ありがたいことである。私も返事を書いた。今日の日記で、これを紹介しよう。
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Kさま、日記の感想、ありがとうございます。この話はいつか、日記に書いてみたいと思っていました。たまたま「たましい」のことを書いたので、その続きとして紹介し、読んでいただきました。
小学生だった妻が、名古屋の書店で宮沢賢治童話集2を買い、大学生の私が金沢の書店で童話集1を買った。それぞれに思い出のあるその2冊が、私たちが結ばれることで、ひとつに寄り添った。そしてそこから、また新たな思い出や物語が作られていく。
この二冊の本は私たちにとって「縁結びの神様」だったのですが、その後の私たちの人生をも見守り、励ましてくれました。それはもはやだだの本ではなく、まさに私たち夫婦の分身であり、「たましい」の入った特別の存在のように思われます。
私は二人の娘に、この本を一冊ずつ形見として残したいと思っています。そして、いつかこの本が孫の誰かに伝えられる。別々に住む二人の孫はそれを読み、その本の由来と私たち祖父母の物語を聞かされるでしょう。心やさしい孫であれば、いつかその二冊を持ち寄って、一晩くらいはそっと一緒にしてくれるのではないでしょうか。
こうして私たち夫婦は、死んだ後も、その分身である宮沢賢治の二冊の本によって、霊の世界で再会することができるのです。私は書棚で仲良く並んでいる二冊の本を眺めながら、ときどきこんな楽しい空想をしています。
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