橋本裕の日記
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若い人の失業率が依然として高いようだ。私はこれが日本社会の一番の問題だと思っている。次代を担う若い人が生き生きと働いている姿を見るのは何よりもうれしものだ。若者に働く場所と環境をつくり出すのは、政治の責任であり、私たちの世代の重大な責任ではないか。
もっとも、高卒にたいする求人数はかなりふえてきた。私の勤務する夜間定時制の職員室にも、企業の人がやってくる。企業やハローワークからも求人の電話がかかってくる。東証一部上場の名前の知れた大企業からの求人もある。
採用条件をみると、数ヶ月は試験的に採用した後、正社員に昇格というのが多いようだ。とにかく、企業はやる気のある若者を求めている。定時制には勉学と労働を両立させている若者がかなりいる。こうしたパワーのある人材が企業にとっては狙い目なのだ。
職場で進路関係の仕事を一手に引き受けて張りきっているM先生は、株で儲けて私にカニをおごってくれた人だ。自分はキャピタル・ゲインを楽しみながら、生徒には「労働」の大切さを説いている。この点を質問すると、こんな答えが返ってきた。
「若者が株や投資で儲けよう何てとんでもないことだよ。若者はしっかり働いてもらわなければいけない。これからの日本を背負っていく人材だからね。労働を通して人間関係や社会を勉強し、勤労の大切さを学ぶ必要がある。株なんて、そのあとでいいんだ」
まさに正論である。M先生は毎日のように企業に電話をかけ、定時制の生徒に仕事を斡旋している。生徒にできるだけよい職場を与えること、これが彼の生きがいのようだ。
こういうことができるのも、彼が株式の投資をとおして、企業や社会の現実をよく知っているからだ。聖人君子ばかりでは、こうした高度な教育サービスはできない。
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